シロアリ駆除を自分でするには?知っておきたい生態と駆除・予防のすべて

シロアリは木材を主な食料とする厄介な害虫で、住宅に深刻な被害をもたらす可能性があります。
シロアリ駆除は業者に任せることが多いですが、自分での駆除や予防も可能です。
本記事では、シロアリの生態から、駆除方法、さらには効果的な予防策までを詳しく解説し、あなた自身がシロアリ駆除に挑戦する際の手助けとなる情報をお伝えします。
シロアリ駆除は生態を知ることから始まる

シロアリの駆除を成功させるには、まず生態について理解することが不可欠です。シロアリの行動や習性を把握することで効果的な対策を取ることができるからです。
ここでは、シロアリの生態についてみていきましょう。
シロアリはゴキブリの仲間
シロアリは害虫として認識されることが多く、実はゴキブリの親戚にあたる昆虫です。そのため、シロアリとゴキブリは共通の祖先を持ち、分類学的にも非常に近い関係にあります。
シロアリは社会性を持つ昆虫であり、群れで生活する特性を持っていますが、ゴキブリは一般に孤独な生活をする傾向があります。またシロアリは巣を形成し、コロニーを維持するためにそれぞれ役割が異なります。
これらの特性を理解することは、シロアリの繁殖や生活空間を特定しやすく、駆除における戦略を立てる際にも非常に有効です。
羽アリにもシロアリが存在する
春先になると、特に湿度が高い日には羽を持ったシロアリが見られます。これらの羽アリは、主に新しいコロニーを形成するための繁殖個体です。羽アリは、特定の条件下で巣から飛び立ち、交尾を行い、新たな巣を作るための場所を探し始めます。
見た目は普通のアリと似ていますが、体形や触角の形状はシロアリ特有の特徴を持っています。また羽アリは、春から初夏にかけて活動が活発になります。
この時期に羽アリを見かけると、巣が近くに存在する可能性が高いため、早急に調査を行い、適切な対策を講じることが重要です。
特に4月から6月の間に羽アリが現れることが多いため、この時期は注意が必要です。
シロアリの種類によって駆除方法が変わる
シロアリは、その生態や食性によって異なる種類に分類されます。
日本でよく見られるシロアリには、「土壌性シロアリ」と「乾材シロアリ」があり、それぞれ特徴と駆除方法が異なります。
土壌性シロアリ
土壌性シロアリは、地面の中に巣を持ち、主に地下から木材に侵入していきます。
「イエシロアリ」や「ヤマトシロアリ」などがこれらに分類されます。
彼らの巣は、数千匹から数百万匹に及ぶ大規模なもので、湿度の高い環境や木材が地面に接している場所に多く見られることから、家の基礎や柱に注意が必要です。
駆除方法としては、土壌の薬剤散布やバリア工法などが効果的で、定期的な点検も重要です。
乾材シロアリ
乾材シロアリは、名前の通り乾燥した木材に生息し、地面とは無関係に木の内部で生活しています。
主な種類として「アメリカカンザイシロアリ」や「ダイコクシロアリ」がいます。彼らは主に家具や柱などに巣を作り、特に内部から食害を引き起こします。
そのため、外からは気付きにくく、発見が遅れることが多いです。また乾材シロアリは、自ら巣を構築するための木材を好み、その周囲に住み着く傾向があります。
駆除方法としては化学薬剤の使用が一般的で、シロアリ専用の薬剤を木材に浸透させる方法が効果的です。また、発見が遅れないように定期的な点検と予防が必要です。
我が家にいる?いない?シロアリがいる可能性

シロアリは見えないところで活動するため、早期発見が難しい害虫です。しかし、いくつかの兆候があり、それによってシロアリが侵入している可能性に気づけます。
ここでは、その兆候について詳しく解説します。
可能性①:自宅付近で羽アリを見かけた
春から初夏にかけて、シロアリは繁殖のために羽アリを飛ばします。この羽アリは、特に雨上がりの日に多く見られ、明るい光に惹かれて家の周辺に集まります。
もし自宅の周囲や庭、ベランダで羽アリを発見した場合は、シロアリが近くに巣を持っている可能性を示唆します。
羽アリは普通のアリと違い、体が黒っぽい色で羽の長さは前後で異なります。
可能性②:蟻道(アリの道)がある
蟻道とは、シロアリが巣から食べ物や水を運ぶために作るトンネル状の道のことです。この道は、主に土や木屑で構成され、屋外では土の色が目立つことがあります。
特に外壁や基礎部分に蟻道が見られる場合は、その周辺にシロアリがいる可能性が高いといえます。また蟻道は、家の内部でも発見されることがあります。
家の中で蟻道を見つけたら、すぐに専門業者による調査を受けることをおすすめします。
可能性③:床がきしむ
床がきしむということは、家の老朽化や構造上の問題が一般的ですが、シロアリの被害も原因の一つです。
シロアリが木材を食害するとその部分が弱くなり、力が加わるときしむ音がすることがあります。特定の場所だけで音がする場合は、床下や壁内部でシロアリが活動している兆候かもしれません。
床がきしむと感じたら、決してそのままにせず早急に調査を行い、被害の状況を把握するようにしてください。
可能性④:壁をたたくと空洞音がする
壁を軽く叩いた際に、空洞音がする場合も注意が必要です。シロアリが木材を食べることで、内部が空洞化している可能性があります。
この音は、内部がスカスカになっていることを示しており、実際に目で見えないところで被害が進行しています。
このような音がする壁は特に注意深く点検し、必要であれば専門業者に依頼するべきです。
可能性⑤:きちんとドアが閉まらない
ドアや窓がスムーズに閉まらない場合、シロアリの被害の可能性があります。木材がシロアリによって侵食されると形状が変わり、ドアや窓が歪んで閉まりにくくなることがあります。
このような兆候が見られたら、木材が内部で劣化している可能性があるため、無視せず早期に対策を講じることが大切です。
可能性⑥:水回りの壁や柱の変色
水回りの壁や柱の変色は、シロアリの活動を示す明確な兆候の一つです。シロアリが木材を食害すると、その周囲の木材が湿気を吸収しやすくなり色が変わってしまうことがあります。
このような変色は、シロアリの被害が進行していることを示しているため、特に注意が必要です。また変色が見られる場所には、カビの発生や腐敗も併せて確認するようにしてください。
可能性⑦: 庭の木製品が被害を受けている
自宅の庭にある木製品や家具に被害が見られる場合、シロアリが近くにいる可能性が高いです。
特に庭に置いてあるウッドデッキやフェンス、木製のプランターなどが被害を受けていたら、シロアリが活動していることを示唆します。
自宅にある木製品が劣化していた場合は、まずは専門家に相談し、必要な措置を講じることが大切です。
シロアリを発見!自分でできる対処方法

シロアリを発見したら、早急に対処することが大切です。
ここでは、シロアリの侵入を防ぐためにご自身でできる対策をご紹介します。
侵入経路を完全にふさぐ
シロアリに対処するには、侵入経路を特定し、完全に封じ込めることが大切です。
亀裂や隙間を見つけた場合は、すぐにコーキングやパテで塞ぎましょう。特に基礎部分や窓枠など、シロアリが進入しやすい場所を重点的にチェックします。
粘着テープを使用する
粘着テープを利用してシロアリを捕獲する方法もあります。特に蟻道に粘着テープを設置すると、シロアリの動きを監視しつつ、捕獲することができます。
これにより、シロアリの動きを把握するだけでなく、被害を減少させることが可能です。
掃除機で吸引する
シロアリの巣を見つけた場合、掃除機で吸い取ることも効果的です。ただし、吸引後は掃除機の袋を必ず廃棄し、外に出しておく必要があります。
巣を取り除くことで、シロアリの繁殖を防ぐことができます。
熱湯をかける
熱湯を使った処理は、シロアリを効果的に駆除する方法の一つです。
シロアリは約20〜25℃の環境を好むため、高温の熱湯をかけることで簡単に死んでしまいます。特に浴室やキッチンなどの水回りでシロアリを見かけたら、シャワーを熱湯に設定してかけたり、沸騰したお湯を注いだりすることが効果的です。
また直射日光が当たる場所に木材を置くことで、自然に熱処理を行うこともできます。
自分でもできる?シロアリ駆除

シロアリの被害を防ぐためには、早期の対策が重要です。
専門業者に依頼することも選択肢の一つですが、自己対策としてバリア工法やベイト工法を用いることが可能です。
それぞれの方法について詳しく見ていきましょう。
バリア工法
バリア工法とは、シロアリが侵入するのを防ぐために、薬剤を用いて家の周囲を囲むように施す方法のことです。
この工法は、シロアリが接触した際に薬剤によって駆除することを目的としています。
メリット
効果の持続性: バリア工法で使用する薬剤は、一定の期間にわたり効果を持続させることができます。
そのため、長期間にわたりシロアリの侵入を防ぐ効果が期待されます。
防御力の強化: 家の基礎部分や周囲に薬剤を施すことで、物理的なバリアを形成し、シロアリが侵入するリスクを大幅に減少させます。
視覚的な管理: 薬剤の効果が持続しているかどうかを、目に見える形で確認できるため、管理がしやすいです。
デメリット
施工の手間: バリア工法には土壌に薬剤を注入する必要があり、施工には専門知識と技術が必要です。
DIYで行う場合、薬剤の正しい取り扱いや施工方法を理解していることが求められます。
効果の変動: 天候や地盤の状態により、薬剤の効果が薄れることがあります。
特に水はけが悪い場所では、薬剤が流れ出てしまう可能性があるため、定期的な点検が必要です。
コスト: 薬剤の購入や施工にかかる費用が、初期投資として必要です。
また失敗した場合は、再度の施工が必要になります。
バリア工法に適した家
バリア工法は、基礎が地面に直接接している家に特に適しており、土壌に接触する部分が多いことでその効果を最大限に発揮します。
また庭がある家では、庭にシロアリが生息している可能性があるため、周囲をしっかりとバリアすることで家屋への侵入を防ぎやすくなります。
さらに、過去にシロアリ被害を受けた家においても、再発防止のためにバリア工法が効果的で、安心して暮らせる環境を維持する手段となります。
ベイト工法
ベイト工法はシロアリの食性を利用し、誘引剤を用いることでシロアリを捕まえ、その個体を駆除する方法です。
この方法では、シロアリがベイトを摂取することで、巣に帰った際に他のシロアリにも影響を与える仕組みになっています。
メリット
安全性: ベイト工法は、薬剤が直接的に周囲に散布されないため、環境に優しく安全性が高い方法です。
効果的な駆除: シロアリが巣内で餌を共有する習性を利用するため、巣全体を効率的に駆除できます。
施工の簡便さ: ベイトステーションを設置するだけで効果を発揮するため、比較的簡単に行うことができます。
特別な技能は必要ありません。
デメリット
効果が現れるまでの時間: ベイト工法は、シロアリがベイトを食べてから巣に戻り、他のシロアリにも影響を及ぼすため、効果が現れるまでに時間がかかることがあります。
定期的な点検が必要: ベイトステーションの中身が減ったり、劣化したりした場合、定期的に点検と補充を行う必要があるので手間がかかります。
限定的な効果: ベイト工法は、すべてのシロアリに対して効果があるわけではなく、種類によっては効果が薄いこともあります。
ベイト工法に適した家
ベイト工法は、シロアリの活動が見られる家に適しています。
すでにシロアリの兆候が確認できる場合は、早急にベイトステーション(毒餌箱)を設置することで、効果的な駆除が期待できます。
また周囲に自然環境が多い家では、シロアリが発生するリスクが高まるため、ベイト工法が非常に有効です。
さらに基礎が高い家の場合は、地面に直接薬剤を施すバリア工法よりも、ベイト工法が適用しやすく、効果的なシロアリ対策として活用することができます。
絶対にダメ!シロアリ駆除の注意点

殺虫剤の使用は逆効果
シロアリ駆除において、多くの人がまず考えるのは市販の殺虫剤の使用です。しかし、これにはいくつかの注意点があります。
まず殺虫剤は、一時的にシロアリを減少させる効果がありますが、完全に駆除することは難しいです。また殺虫剤が効かなくなる可能性があり、シロアリが耐性を持つことも懸念されます。
さらにシロアリは巣を持っているため、巣の近くで使用しても、他の場所から再び侵入されるリスクがあります。そのため、適切な薬剤を用いずに自己判断で行う駆除作業は逆効果になりかねないため、使用するのは止めてください。
閉所恐怖症や暗所恐怖症がある人は床下に潜らないこと
シロアリが潜んでいる可能性が高い場所の一つが床下ですが、閉所恐怖症や暗所恐怖症の人は、無理に床下に潜るべきではありません。
心理的なストレスは作業の集中力を削ぎ、適切な判断を妨げるからです。万が一、無理をして入った結果、怪我をしたり、気分が悪くなったりすることも考えられます。
このような場合は専門の業者に依頼し、安心して対策を行いましょう。
今から始められる!自分でできる予防対策
シロアリの被害を未然に防ぐには、日常生活の中で簡単に実践できる予防対策が重要です。
これらの対策を講じることで、シロアリが寄り付きにくい環境を作り出し、安心して暮らすことができます。
廃材や古紙などは処分する
シロアリは木材や紙を好むため、不要な廃材や古紙はできるだけ早く処分しましょう。
特に、湿気がこもりやすい場所に放置していると、シロアリが寄ってくる原因となります。廃材は風通しの良い場所に保管し、古紙はリサイクルに出すなど、清掃を心掛けるようにしてください。
清潔な環境を保つことで、シロアリの侵入を防げます。
外壁のメンテナンスを行う
シロアリは外壁から侵入することが多いので、定期的な外壁の点検とメンテナンスが重要です。
ひび割れや隙間ができていると、そこからシロアリが侵入しやすくなります。特に湿気の多い地域では、外壁の塗装や防水処理を定期的に行い、傷みを防ぐようにしてください。
また外部に木材が接触しないようにし、必要に応じてシロアリ対策の薬剤を散布することもおすすめします。
5年ごとの点検と予防消毒
シロアリの被害は目に見えにくいため、定期的な点検を行うことが肝要です。特に家を建ててから5年が経過したら、専門の業者による点検を受けましょう。
また点検に合わせて予防消毒を行うことで、シロアリの発生リスクを大幅に低減できます。
早期発見が被害を未然に防ぐ鍵となるので、忘れずに実施してください。
シロアリは業者への点検・駆除の依頼がおすすめ!

シロアリの問題は、専門的な知識と技術を必要とします。すでに被害が発生している場合は、自分での対策では限界がありますので、業者に相談するようにしてください。
シロアリを駆除する専門業者は、適切な薬剤の使用や点検方法を熟知しており、効果的にシロアリを駆除できます。また、専門業者による定期点検を受けることで、再発のリスクを低減し、安心して暮らすことができます。
まとめ

シロアリの被害を防ぐためには、早期の対策が不可欠です。
自己対策としては、廃材の処分や外壁のメンテナンス、定期的な点検が大切です。しかし、深刻な問題が発生した場合は、専門業者に依頼することが最も効果的な方法です。
シロアリの脅威から家庭を守るためにも、定期的なチェックと適切な対策を講じようにしてください。
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