蜂の寿命と対処法|巣の発見と室内侵入、状況別の安全な対策を解説

家の近くで蜂を見かけたり巣を発見したら、そのまま蜂の寿命を待ってみてもいいのでしょうか。蜂の寿命を知って、蜂と遭遇した後の対処を適切に行っていきましょう。
この記事では、蜂の寿命だけでなく、主な蜂の種類や活動時期、状況ごとの安全な対処方法を解説します。
住宅で見かける3種類の蜂の特徴と寿命
住宅環境で遭遇するのは、主にスズメバチ、アシナガバチ、ミツバチの3種類です。いずれも安全というわけではないので、無闇に近寄らない方が良いものの、ミツバチはそれほどの危険性はありません。
スズメバチやアシナガバチであれば、攻撃的で危険性があるのでより注意が必要です。
それぞれの特徴を簡単に紹介します。
攻撃的で最も警戒が必要なスズメバチ
スズメバチは体長2-4cmと大きく、黄と黒の鮮やかな縞模様が特徴です。日本の住宅地で最も注意が必要な蜂で、主にキイロスズメバチ、オオスズメバチ、クロスズメバチが見られます。
巣は灰色で紙のような質感を持ち、春先は握りこぶし大程度の大きさですが、秋には直径50cmを超えることもあります。軒下や樹木の枝、時には地中や壁の中にも作ります。巣の周囲10メートル以内に接近すると、それだけで攻撃される可能性があります。
スズメバチの働き蜂は1-3ヶ月の寿命で、寒くなる11月頃には死滅します。しかし、女王蜂は1-3年ほど生存し、越冬して翌春に新しい巣を作り始めます。そのため夏から秋にかけては巣の中の蜂の数が最大となり、精力的に活動するため攻撃性も高まります。
特徴的な見た目のアシナガバチ
アシナガバチは細長い体型と特徴的な長い脚を持ち、体長は1.5-2cm程度です。スズメバチより小型で攻撃性も低いものの、巣を守るために刺してくることがあります。
巣は茶色で小型、表面に六角形の巣穴が見えます。主に軒下や壁の隙間に作られ、比較的発見しやすい場所を好みます。働き蜂の寿命は1-2ヶ月、女王蜂は約1年です。10月頃には働き蜂が死滅し、新しい女王蜂のみが越冬して翌春に活動を始めます。
巣の材質は柔らかく雨風に弱いため、よく人の生活圏内の雨の当たらない場所を選んで作られます。建物の軒下や物置、ベランダの天井などによく見られます。
年間を通じて活動するミツバチ
ミツバチは茶色がかった体色で体長1-1.5cmと小型です。農作物の受粉に重要な役割を果たす益虫、通常は攻撃性が低く人を襲うことは稀です。ただし、巣を守るために集団で攻撃することがあります。
働き蜂の寿命は季節により大きく変化します。春から秋は約1ヶ月、冬は6ヶ月程度生存します。女王蜂は3-4年と長寿です。1つの巣には数千匹もの蜂が生息することがあり、冬でも群れで活動を続けます。巣の中では体を震わせて熱を作り、30度前後の温度を保ちます。
ミツバチの巣は建物の壁の中や樹のうろに作られることが多く、発見が遅れるケースがあります。
主な蜂の活動時期
蜂は春から秋にかけて活発に活動しますが、特に夏場は最も警戒が必要です。種類によって活動時期は若干異なります。
スズメバチは4月頃から活動を始め、7-9月に最も攻撃性が高まります。この時期は巣も最大となり、働き蜂の数も増加します。巣を守る本能が強くなり、巣から離れた場所でも攻撃的になることがあります。
アシナガバチは5月頃から目立ち始め、8-9月が最も活発です。巣の防衛本能はスズメバチほど強くありませんが、巣の近くでは注意が必要です。
ミツバチは年間を通じて活動しますが、春の分蜂期と秋の蜜集めの時期に特に活発になります。
室内に蜂が入ってきた場合の対処法
室内で蜂を発見したら、慌てずに冷静な対応が重要です。蜂は本能的に外に出ようとして窓や明るい場所に集まる習性があります。ここでは状況別の対応策と、予防方法について紹介します。
状況別の対処法
1匹の蜂を発見した場合
窓を開けて外に出る経路を作り、他の部屋への侵入を防ぐためドアを閉めます。エアコンは停止させ、空気の流れを最小限に抑えます。蜂は自然に窓から出ていくことが多いため、無理に追い払おうとせず、落ち着いて様子を見ましょう。
複数の蜂を発見した場合
壁内や天井裏に巣がある可能性が高いため、その部屋から退避し、専門家に相談します。出入り口をふさぎ、蜂が他の部屋に広がるのを防ぎます。
蜂の室内侵入を防ぐ対策
網戸の点検と補修は予防として有効です。特に春と夏の前には入念なチェックを行いましょう。小さな破れでも蜂は侵入できるため、破損を見つけたらすぐに修繕します。
明かりで寄せ付けないよう、照明管理も重要です。夜間は不要な照明を消すか、カーテンやブラインドで光を遮ります。特に夏場の夜間は、照明に誘引される蜂が多くなります。玄関灯は人感センサー式に変更するか、黄色い防虫電球を使用するのも効果的です。
甘い匂いも蜂を引き寄せます。果物や清涼飲料、菓子類は密閉容器に保管し、ゴミは屋外に放置せず、蓋付きの容器で管理します。ペットの餌や生ゴミの管理も重要です。
蜂の巣を発見したら
蜂の巣を発見した場合、その大きさと場所で対応方法を判断します。巣の規模が小さいうちなら早期対応も可能ですが、大きい場合や手の届かない場所では専門家への相談が必要です。
巣のサイズと場所で危険度を判断する
基本的に、巣の大きさと蜂の数で危険度を考えられます。ゴルフボール大までの新しい巣は中の蜂も少なく、適切な防護があれば自力対処も可能です。ただし、スズメバチの場合は攻撃性と毒性の高さゆえに小さな巣でも危険です。
こぶし大以上の巣は蜂が多く生息しているので、素人による駆除は危険です。壁の中や地中の巣は、目視できない部分に巣が広がっている可能性があるので、専門業者による駆除が必要です。
高所の巣は転落の危険があり、地中の巣は踏み抜きのリスクがあります。また、建物の構造体内部にある巣は、建物への損傷も考慮する必要があります。
専門家に依頼したほうがいい状況とは
以下の場合は、専門業者に相談して見てもらいましょう。
- 巣がこぶし大以上
- スズメバチの巣
- 高所や手の届かない場所
- 建物の壁内部の巣
- 地中の巣
- 巣の規模が確認できない場合
また、過去に同じ場所で巣が作られた経験がある場合も、再発防止の観点から専門家による調査をお勧めします。
よくある質問
蜂は冬になれば全ていなくなりますか?
スズメバチやアシナガバチの働き蜂は11月頃には死滅しますが、女王蜂は越冬して春に新しい巣を作ります。ミツバチは群れで越冬するため、年間を通じて活動します。寒くなれば自然に解決するという考えは危険です。
一度巣ができた場所に、また巣を作られることはありますか?
その可能性は高いです。蜂にとって巣を作りやすい条件(日当たり、風通し、エサの有無など)が揃っている場所は、翌年も選ばれやすいです。そのため、巣の跡を完全に除去し、防虫ネットの設置など、再発防止策を講じることが重要です。
また、古い巣をそのまま放置すると、他の蜂が利用したり、カビや害虫の温床になったりする可能性もあります。巣を発見したら、適切な方法で除去することをおすすめします。
自力で駆除できる目安はありますか?
4-5月の巣作り開始期で、巣が小さく蜂の数も少ない時期であれば、自力での駆除も可能です。ただし、安全のために以下の条件を全て満たす場合にしておきましょう。
- 巣がゴルフボール大以下
- 手の届く高さにある
- アシナガバチの巣である
- 建物の構造体に影響がない
- 夜間に安全に作業できる
これらの条件を一つでも満たさない場合は、安全のため専門業者に依頼することをおすすめします。
まとめ
蜂は春から秋ごろまでが活動的ですが、冬になったら全て寿命が来て解決するというわけではありません。特に女王蜂は数年生きる種類もあり、1年だけ生きるアシナガバチでも、新しい女王蜂が越冬して同じ場所にすを作るかもしれません。
そもそも家に蜂の巣が作られていたら、対応しないと思わぬ事故につながることもありえます。
春先からの定期的な点検で、巣の早期発見に努めましょう。特に軒下や庇、物置、樹木の枝など、蜂が好む場所は注意深くチェックが必要です。
巣を発見した場合は、その大きさや場所、蜂の種類によって適切な対応を選択します。無理な駆除は危険を伴うため、判断に迷う場合は必ず専門業者に相談してください。
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