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シロアリに殺虫剤は危険?プロが教える正しい選び方と使い方

  • シロアリ
2025.03.22

シロアリに対して殺虫剤は有効ですが、状況に応じて使わなければ逆効果になることがあります。安全かつ効果的に使うために、殺虫剤の特徴と選び方について知っておきましょう。

この記事では、シロアリ駆除剤の種類や選び方、効果的な使用方法について詳しく解説します。また、自力での駆除が難しい場合に備えて、専門業者への依頼を検討すべき状況についても説明します。

シロアリを見つけたらまずやるべき3つのこと

シロアリを発見したら、慌てて市販の殺虫剤を使用するのではなく、冷静に状況を確認することが重要です。殺虫剤を安易に使用すると、シロアリが逃げ散って被害が拡大する可能性があります。

まず最初にすべきことは、被害状況の把握と記録です。発見場所や被害の程度をしっかりと確認し、必要に応じて専門業者に相談できる準備をしましょう。シロアリ被害の初期段階で適切な対応をすることで、被害の拡大を防ぎ、効果的な対策を講じることができます。

ここでは、シロアリを見つけた際にまずするべき3つのことを解説します。

写真撮影で記録する

シロアリを発見したら、まずその周辺の被害箇所の写真を撮影して記録を残すことが重要です。写真は複数のアングルから撮影し、被害の全体像がわかるように心がけましょう。特に、シロアリの出現場所、蟻道の有無、木材の損傷状態などを詳しく記録します。

これらの写真は、後で専門業者に相談する際の重要な情報となります。また、即日対処しない場合は特に、時系列で被害の進行状況を確認するためにも、日付がわかるよう記録しておくのがおすすめです。

シロアリの種類を確認する

日本で家屋に被害を与えるシロアリは、主にヤマトシロアリ、イエシロアリ、アメリカカンザイシロアリの3種類です。各種類によって生態や被害の特徴が異なるため、適切な対策を講じるためには種類の特定が重要です。

ヤマトシロアリは体長約5mmで褐色をしており、湿った木材を好みます。イエシロアリは体長約6mmで乳白色、乾燥した木材も食べ、被害が大きくなりやすい特徴があります。アメリカカンザイシロアリは体長約4mmで茶色く、小さな集団で生活し、家具や建材の内部に潜んで被害を与えます。

被害範囲を特定する

シロアリ被害の範囲を特定し、効果的な対策を立てられるよう準備しましょう。まず、シロアリを発見した場所を中心に、周囲の木材や壁、床下などを丁寧に点検します。シロアリの活動の痕跡として、蟻道や食害痕、木材を軽く叩いた時の音の違いなどに注目します。

被害範囲の調査では、水回りや湿気の多い場所、建物の外周部分も重点的にチェックしましょう。建物の構造上、直接目視できない箇所については、専門業者による調査が必要になる場合があります。

被害範囲が広がっている場合や、建物の重要な構造部分に被害が及んでいる可能性がある場合は、早急に専門業者に相談することをおすすめします。

シロアリ対策に殺虫剤を使うと逆効果になる理由

一般的な殺虫剤をシロアリ対策に使用することは、多くの場合逆効果となり、被害を悪化させることになります。市販の殺虫剤の多くは即効性と忌避効果を重視して作られており、シロアリの生態に適していません。

その理由について詳しく解説します。

シロアリの高度な社会性

シロアリは高度な社会性を持つ虫で、女王を中心とした階級制の社会を形成しています。巣には数千から数万匹のシロアリが生息し、それぞれが役割分担をして生活しています。

一般的な殺虫剤では、目に見えるシロアリを駆除することはできても、巣の中にいる大多数のシロアリには効果が及びません。また、シロアリは木材の中や土壌中を移動するため、殺虫剤が届きにくい場所で活動します。

さらに、シロアリは互いをグルーミング(体を清掃)する習性があり、この行動を通じて薬剤の効果を薄めてしまうこともあります。

つまり一般的な殺虫剤では効果的な駆除が難しく、むしろシロアリの行動を予測不能にしてしまう危険性があるのです。

巣の分散リスク

殺虫剤の使用によって最も懸念されるのは、シロアリの巣が分散してしまうリスクです。通常、シロアリは一つの巣を拠点として活動していますが、殺虫剤による刺激を受けると、生き残ったシロアリが別の場所に移動して新たな巣を形成することがあります。

これにより、1か所だった被害が複数箇所に拡大し、対策がより困難になってしまいます。特に、ピレスロイド系などの忌避効果の強い殺虫剤を使用した場合、シロアリは薬剤から逃れようとして建物の別の場所に移動し、新たな被害を引き起こす可能性が高くなります。

また、殺虫剤の効果が一時的なものである場合、シロアリは薬剤の効果が切れた後に元の場所に戻ってくることもあり、結果として被害の完全な解決には至らないことが多いのです。

市販のシロアリ駆除剤の種類と特徴

市販のシロアリ駆除剤には、主に3つの種類があります。スプレータイプ、設置型ベイト剤、土壌処理剤です。それぞれに特徴と適した使用場面があり、状況に応じて選択する必要があります。

スプレータイプは使用が簡単ですが、一時的な効果にとどまることが多いです。設置型ベイト剤は巣全体への効果が期待できますが、効果が表れるまでに時間がかかります。土壌処理剤は予防効果が高いものの、適切な施工技術が必要です。

それぞれの特徴を詳しく解説します。

スプレータイプの特徴

スプレータイプのシロアリ駆除剤は、使用が簡単で手軽に対応できる特徴があります。主に木部に直接噴霧して使用し、即効性のある成分が配合されています。

適した使用場面は、シロアリの発生が確認された木材への直接処理や、予防的な散布です。ただし、効果は表面的で一時的なものになりやすく、木材の内部や巣全体への効果は限定的です。使用する際は、必ず換気を行い、マスクや手袋などの保護具を着用することが重要です。

設置型ベイト剤の特徴

設置型ベイト剤は、シロアリを誘引して摂食させることで巣全体に効果を及ぼす駆除方法です。ベイト剤には、シロアリの成長を阻害する成分が含まれており、これを摂取したシロアリが巣に戻ることで、他の個体にも効果が波及します。

設置場所は、シロアリの活動が確認された周辺や、建物の周囲が適しています。効果が表れるまでに1~3ヶ月程度かかることが一般的で、定期的な点検と交換が必要です。また、子供やペットが触れない場所に設置する必要があります。

土壌処理剤の特徴

土壌処理剤は、建物周囲の土壌にバリア層を形成し、シロアリの侵入を防ぐ予防的な駆除方法です。主に液体タイプの薬剤を土壌に散布または注入して使用します。効果は比較的長期間持続し、新築時の予防処理や、既存建物の防蟻対策として広く使用されています。

土壌処理剤の施工には専門的な知識と技術が必要で、散布量や施工方法を誤ると十分な効果が得られない可能性があります。適用範囲は建物の基礎周り全体で、特に水回りや湿気の多い場所は重点的に処理する必要があります。

使用する際は、土壌の種類や地下水位、周辺環境への影響も考慮しなければなりません。

自分でできる安全なシロアリ対策の方法

家庭でできる安全なシロアリ対策として、まず重要なのが予防的な措置です。定期的な床下換気や水漏れの修繕、建物の点検などが基本となります。特別な技術や道具がなくてもできるので、ぜひ試してみてください。

具体的な内容を詳しく解説します。

床下換気

床下の適切な換気は、シロアリ予防の基本となる重要な対策です。床下は湿気がこもりやすく、シロアリの活動を促進する環境になりやすい場所です。換気口が設置されている場合は、定期的に清掃して目詰まりを防ぎ、空気の流れを確保することが大切です。

特に梅雨時期や雨の多い季節は、床下の湿度が上昇しやすいため、注意が必要です。換気扇の設置や、床下換気口の増設なども効果的な対策となります。

床下収納がある場合は、収納物が換気を妨げていないか確認し、また定期的に自分で換気を行い、必要に応じて整理するようにしましょう。

水漏れ修繕による環境改善

水漏れは、シロアリを誘引する最も一般的な要因の一つです。シロアリは湿った環境を好むため、放置された水漏れは格好の生息環境となります。水漏れの早期発見と修繕は、シロアリ予防の重要な一歩です。

キッチン、浴室、洗面所などの水回り周辺は特に注意が必要です。配管の接続部分や、シンク下の収納スペースなどを定期的にチェックし、漏水の兆候がないか確認しましょう。外壁や屋根からの雨漏りも要注意です。

雨どいの詰まりや破損、外壁のひび割れなども、建物内部への水の侵入経路となり得ます。水漏れを発見したら、応急処置としてバケツなどで受け止めるだけでなく、早急に修理を行いましょう。

修繕後は、周辺の木材や壁材が十分に乾燥するまで、定期的に状態を確認すると安心です。

定期的な点検で早期発見する

シロアリ被害の早期発見には、定期的な建物点検が欠かせません。床や壁、柱などの木部を注意深く観察し、表面の変化や異常がないかチェックします。木材を軽く叩いて音を確認する方法も効果的です。

特に重点的にチェックすべき場所は、床下、水回り周辺、外壁との接点部分、窓枠などです。春から初夏にかけては羽アリの飛来に注意が必要です。羽アリを発見した場合は、その場所を記録し、周辺の木部を重点的に調査します。

点検の際は、小さな蟻道(泥状の通路)や木くずの痕跡にも注目しましょう。

シロアリ駆除剤の正しい選び方4つのポイント

シロアリ駆除剤を選ぶ際は、被害状況や目的に応じて適切な製品を選択することが重要です。駆除剤は大きく分けて「予防用」と「駆除用」の2種類があり、それぞれ異なる特徴を持っています。

予防用は忌避効果が高く、シロアリの侵入を防ぐことができます。一方、駆除用は非忌避性で、シロアリを巣ごと退治することができます。

製品選びでは、使用場所や安全性、効果の持続期間、費用対効果などを総合的に判断しましょう。また、シロアリの種類によって効果的な薬剤が異なるため、被害を受けているシロアリの種類も確認する必要があります。

被害の状況に応じた製品選び

シロアリ被害の状況に応じて、適切な駆除剤を選択することが重要です。シロアリの活動が確認された場合は、シロアリの行動を抑制せず巣まで薬剤が到達する非忌避性の駆除剤を選びましょう。

特に、ネオニコチノイド系やフェニルピロール系の薬剤は、シロアリに気付かれにくく、巣の奥まで効果が及ぶため、既に被害が発生している場合に適しています。

一方、予防的な対策として使用する場合は、ピレスロイド系などの忌避効果の高い薬剤が効果的です。シロアリが寄り付きにくい環境を作ることで、新たな被害を防ぐことができます。

被害箇所が広範囲に及ぶ場合や、建物の構造上重要な部分に被害がある場合は、専門業者による調査と施工を検討することをおすすめします。

安全性と効果持続期間の確認

シロアリ駆除剤を選ぶ際は、安全性と効果の持続期間を慎重に確認することが大切です。一般家庭で使用する場合、特に子供やペットがいる環境では、低毒性で人体への影響が少ない製品を選択しましょう。

効果の持続期間については、製品によって大きく異なります。一般的なスプレータイプの駆除剤は3ヶ月から1年程度、土壌処理剤やベイト剤は2年から5年程度の効果が期待できます。

ただし、あくまで理想的な条件下での期間であり、実際の環境や使用状況によって変動することに注意が必要です。

予算と相談しながら、定期的な処理が必要な製品か、長期的な効果が期待できる製品かを検討しましょう。

費用対効果を考えた製品比較

シロアリ駆除剤の費用対効果を検討する際は、初期投資額だけでなく、長期的な維持費用も考慮する必要があります。市販の駆除剤は1本2,000円から10,000円程度で、比較的手頃な価格で購入できます。

ただし、効果の持続期間や処理面積によっては、複数回の購入や追加施工が必要になる場合があります。安価な製品を選んで頻繁に施工するよりも、やや高価でも効果が長続きする製品を選ぶ方が、結果的にコストを抑えられることもあります。

また、製品の形状や使用方法によっても必要な数量が変わってきます。スプレータイプは手軽に使用できますが、広い面積を処理する場合は大量に必要になります。

一方、粉末タイプや液体タイプは希釈して使用できるため、広範囲の処理に適しています。ベイト剤は設置型で効果が長期間持続しますが、初期費用は比較的高額になります。

業者に依頼すべきケースの見極め方

シロアリ駆除剤での自己処理には限界があり、状況によっては専門業者への依頼が推奨されます。特に、広範囲の被害や建物の構造に関わる部分での被害が確認された場合は、早急に専門業者による調査と対策が必要です。

ここでは、業者に依頼するべきかどうか迷った際の見極め方について解説します。

被害規模による判断基準

シロアリ被害の規模が、駆除方法を決めるもっとも重要な判断基準です。小規模な被害であれば、市販の駆除剤による自己処理も可能ですが、複数の場所で被害が確認された場合は専門業者への依頼をするべきです。

特に、柱や土台など建物の構造材に被害が及んでいる場合は、専門業者による適切な補修と処理が不可欠です。また、床下や壁の中など、目視での確認が難しい場所での異常を感じた場合も、専門業者による調査が必要でしょう。

建物構造的な難易度

建物の構造によって、シロアリ駆除の難易度や必要な対策は大きく異なります。木造住宅の場合、床下や壁内部など目視確認が困難な場所に被害が広がりやすく、難易度が上がります。

基礎や土台周りの構造が複雑な場合、薬剤の行き届かない部分が生じやすく、専門的な施工技術が求められます。二階建て以上の建物では、シロアリが上階まで遡上している可能性があり、建物全体の調査と処理が必要になります。

在来工法の建物は、新建材を使用した建物に比べて木材が多用されており、被害が広範囲に及ぶリスクが高くなります。

過去にリフォームや増改築を行った建物では、構造が複雑化しており、素人による処理では見落としが生じやすくなります。そうなると、建物の構造にも詳しい業者に調査と対応をお願いする方が効率的です。

よくある質問

シロアリは殺虫剤だけで完全駆除できますか?

市販の殺虫剤だけでシロアリを完全に駆除するのは困難です。シロアリは巣の中で数千から数万匹の規模で生活しており、表面的な殺虫剤の使用では巣の奥深くまで効果が届きません。また、殺虫剤の使用によってシロアリが別の場所に移動し、被害が広がる可能性もあります。

シロアリ駆除にスプレーはダメですか?

スプレー型の駆除剤は、一時的な対処や予防的な使用には適していますが、シロアリの完全な駆除には向いていません。

スプレーは表面的な処理にとどまり、木材の内部や巣全体への効果は限られています。さらに無闇にシロアリにスプレーして回ると、むしろ散らかして被害を拡大させる可能性があるのです。

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