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【北海道でもシロアリ対策が必要】自分でできる予防と駆除のポイント

  • シロアリ
2025.03.26

北海道の住宅でも深刻化するシロアリ被害について、その原因と対策方法を解説します。最近では新しい家でも被害が見つかっているため、早めの対策が大切です。

道内でもシロアリ対策が必須となっている現状を理解し、適切な予防・駆除方法を学びましょう。

北海道でシロアリ被害が増加中!3つの理由を紹介

北海道でシロアリによる住宅被害が増えている主な理由は、気候変動による温暖化、住宅の断熱性能の向上、そしてシロアリ自身が寒さに強くなってきたことです。

特に札幌市などの道央地域や函館がある道南地域で被害が多く報告されていて、札幌市内だけでも年間数十件の相談が寄せられています。築5年以内の新しい家でも被害が見つかっており、注意が必要です。

シロアリは家の強度に大きな影響を与える可能性があり、2018年の北海道胆振東部地震では、シロアリ被害により建物が倒壊した例もありました。

住宅瑕疵保険ではシロアリ被害は補償対象外となるため、予防対策が必要です。

参照:北海道住宅新聞2019年6月15日号

温暖化による生息域の北上

地球温暖化の影響で、北海道の平均気温は過去100年で約1.5度上昇しました。これにより、もともと暖かい地域にしかいなかったシロアリが、北海道でも活動できるようになってきました。

特に道南地域では、約100年前に現在の北斗市茂辺地で最初の生息が確認されて以来、徐々に生息域を拡大。現在では札幌市内や名寄市など道北地域でも被害が報告されています。

温暖化による気温上昇は、シロアリの活動期間の延長にもつながっており、従来5月から6月に限られていた羽アリの飛翔が、4月から7月まで観察されるようになっています。

このように気候変動がシロアリの生態に大きな影響を与え、北海道での被害増加の一因となっているのです。

基礎断熱工法の普及による影響

寒い北海道の住宅では、床下を暖かく保つ「基礎断熱工法」という建て方が一般的です。

基礎断熱工法は、住宅の基礎部分に断熱材を施工することで床下空間を温かく保つ工法です。この工法により、冬季でも床下が凍結せず快適な住環境が実現する一方で、シロアリにとっても活動しやすい環境が生まれています。

断熱材をシロアリが食い破り、そこを通路として木部に到達するケースが確認されています。従来の薬剤散布による防除も、基礎断熱材の存在により効果が限定的となるため、新たな対策方法の必要性が指摘されています。

シロアリの耐寒性獲得

北海道のシロアリは、本州のシロアリと比べて驚くほど寒さに強いことがわかっています。実験では、氷点下4度の環境でも、本州産のヤマトシロアリが16~20%程度しか生存できなかったのに対し、北海道のシロアリは84%が生き残れたといいます。

活動できる最低気温も本州産の6度前後に対し、北海道産は4度前後と、本州のシロアリより2度ほど低く、寒い北海道の環境にしっかりと適応しています。冬期の仮死状態からの復帰率も高いことが確認されています。

このように寒さに強くなったことで、昔は「シロアリは北海道にはいない」と言われていましたが、今では道内でも広く被害が見られるようになりました。

北海道での効果的なシロアリ対策方法

家庭でもできるシロアリ対策として、まずは定期的な家の点検が大切です。特に木材が土や水に触れやすい場所、水回りの設備、床下や壁の内部などをよく確認しましょう。

これから家を建てるなら、防蟻処理を施した断熱材の使用や、床下点検口の適切な配置を意識します。特に基礎断熱工法を採用している住宅では、断熱材の選定や施工方法に注意が必要で、防蟻機能付きの製品の使用が推奨されています。

不要な木材を片付けたり、水はけを良くしたり、庭の木を適切に管理することも効果的です。ただし、すでにシロアリが見つかった場合は、市販の殺虫剤は逆効果になる可能性があるので、専門業者に相談しましょう。

シロアリ被害が確認された場合は、建物の構造や被害状況に応じて、薬剤散布やベイト工法など適切な駆除方法を選択します。

定期的に床下を点検する

シロアリ被害の早期発見には、定期的な床下点検が欠かせません。点検のポイントは、床下の木材や断熱材の状態、蟻道(シロアリが作る土でできたトンネル)の有無、床下の湿気具合などです。

北海道の場合、特に雪解け後の春季と、梅雨明けの夏季の点検が重要です。この時期は床下の湿度が上がりやすく、シロアリの活動も活発化するためです。

また、羽アリの発生時期である5月から6月にかけては、窓際や照明器具の周りに羽アリが集まることがあるため、室内からの観察も重要です。

発見が遅れると被害が広がり、修繕費用が高額になる可能性があるため、少なくとも年2回は専門業者による点検を受けることをおすすめします。

通気・換気を定期的に行う

シロアリは湿気の多い環境を好むため、床下の適切な通気・換気は効果的な予防策となります。北海道の住宅は高気密・高断熱が特徴ですが、その反面、湿気がこもりやすい傾向があります。

特に積雪期は換気口が雪に埋もれないよう注意が必要です。換気口周辺には物を置かず、定期的に掃除して通気を確保しましょう。また、結露対策として24時間換気システムを導入している住宅では、システムを常時稼働させることが重要です。

浴室や洗面所、キッチンなど水回りの漏水や排水管の破損は、床下に湿気をもたらすため、こまめなメンテナンスが必要です。さらに、住宅周辺の排水溝の清掃や、雨どいの点検・補修も忘れずに行いましょう。

家周辺の木材や庭環境を改善する

住宅周辺の環境管理もシロアリ対策として重要です。特に注意が必要なのは、庭に放置された木材や枯れ木、古い枕木などです。これらは格好のシロアリの餌場となり、そこから住宅本体に被害が及ぶケースが多くあります。

ガーデニング用の枕木は、地面との接触を避け、防腐・防蟻処理されたものを使用しましょう。また、植栽を建物に近づけ過ぎると、土壌水分が基礎に伝わりやすくなるため、適切な距離を保つことが重要です。

雨樋からの排水は建物から離れた場所に誘導し、基礎付近の土壌が常時湿った状態になることを防ぎます。落ち葉や刈った草なども放置せず、こまめに片付けることで、シロアリを引き寄せる要因を減らすことができます。

北海道の場合、冬季の積雪による湿気対策も重要で、春先の雪解け時期には特に注意が必要です。

シロアリ被害の早期発見ポイント

シロアリ被害の典型的な症状を、場所ごとにまとめました。以下、詳しく見ていきましょう。

確認場所 確認するポイント
基礎外周部 ・土でできたトンネル(蟻道)の有無
・配管周りの隙間
床下 ・木材の変色
・蟻道の痕跡
・木粉の堆積
室内 ・床の沈み込みやきしみ音
・壁紙の膨らみやシミ
・建具の開閉不具合
水回り ・浴室、トイレ、キッチン周りの湿気

被害の兆候と確認箇所

シロアリ被害の早期発見のために、基礎外周部では蟻道(シロアリが作る土でできたトンネル)の有無を確認し、特に給排水管やエアコン配管など、配管周りの隙間は注意深く観察します。

床下では木材の変色や蟻道の痕跡、木粉(シロアリが木材を食べた際の糞)の堆積に注意を払います。室内では、床を歩いた際の違和感(沈み込みやきしみ音)、壁紙の膨らみやシミ、建具の開閉不具合などをチェックしましょう。

特に水回り(浴室、トイレ、キッチン周り)は湿気が多いため、シロアリが好む環境となりやすく、重点的な確認が必要です。また、ウッドデッキや物置など、建物に付随する木製構造物の状態も定期的に確認します。

緊急性の判断基準

まず最も緊急性が高いのは、床が著しく沈み込む、壁に大きなひび割れがある、建具の開閉が極端に悪くなるなど、建物の構造に関わる症状が出ている場合です。これらの症状がある場合は、建物の安全性に関わる可能性があるため、直ちに専門業者に相談する必要があります。

次に緊急性が高いのは、複数の場所で羽アリが発生している、または大量の木粉が確認される場合です。これは巣が大きく成長している証拠で、早急な対応が必要です。

一方、羽アリを1-2匹程度見かけた、わずかな木粉を発見した程度であれば、すぐに対応する必要はありませんが、1週間程度を目安に専門業者による調査を受けると良いでしょう。

なお、基礎断熱工法の住宅では、シロアリが断熱材の中を進んで被害が見えにくくなるため、一般的な目視確認では被害を見落とす可能性があります。

シロアリを発見した時は

シロアリを見つけたら、まず落ち着いて状況を確認しましょう。市販の殺虫剤を使うと、かえってシロアリが散らばって被害が広がる可能性があります。

北海道の場合、特に基礎断熱工法の住宅では、断熱材の中を通ってシロアリが移動するため、被害範囲の特定が難しいことがあります。発見した場所と状況を写真に撮り、記録を残します。その上で、信頼できる専門業者に相談してみましょう。

新築から5年以内の家の場合、保証が使える可能性もあるので、建築会社にも連絡しましょう。シロアリ対策は、家の構造や状況に応じて最適な方法を選ぶ必要があります。

よくある質問

北海道でもシロアリは出ますか?

北海道でもシロアリは生息しており、住宅への被害も増えています。主にヤマトシロアリによる被害が確認されており、道南・道央地域での発生が特に多く見られます。

最近の研究では、北海道のシロアリは本州のものより寒さに強いことがわかっています。マイナス4度の環境でも高い生存率を示し、活動できる温度も本州のシロアリより低いことが確認されています。

2022年10月には、これまで見つかっていなかった帯広でもシロアリが確認され、生息域が広がっている可能性が指摘されています。

新築住宅でもシロアリ対策は必要?

新築住宅でもシロアリ対策は必要不可欠です。北海道では基礎断熱工法を使った住宅が多く、この工法はシロアリの活動を助長する可能性があります。実際に、築5年以内の新しい家でも被害が報告されています。

建築時には防蟻処理された木材や断熱材を使用し、定期的な点検と予防処置を行うことが大切です。家の周りの環境管理も重要で、木材を地面に直接置かない、雨どいからの水をきちんと処理するなどの配慮が必要です。

業者に依頼すべきシロアリ被害の程度は?

シロアリ被害は、発見が遅れるほど修理費用が高額になります。以下のような兆候が見られたら、すぐに専門業者に相談しましょう。

症状 緊急性 対応
床が大きく沈む、壁に大きなひび 極めて高い 直ちに専門業者に相談
複数箇所で羽アリを発見 高い 1週間以内に調査依頼
羽アリを1-2匹発見 中程度 2週間以内に相談
少量の木粉を発見 中程度 1ヶ月以内に点検依頼

一戸建てでシロアリ予防対策にかかる費用の目安は?

一般的な30坪程度の一戸建ての場合、予防対策の費用は以下のようになります。

対策方法 初期費用 維持費用
床が大きく沈む、壁に大きなひび 極めて高い 直ちに専門業者に相談
薬剤散布(バリア工法) 10-15万円 5年ごとに10-15万円
ベイト工法 20-30万円 年2回の点検料金
防蟻機能付き断熱材(新築時) 通常より数万円増 なし

これらの予防費用は、被害が出てからの修理費用(最低でも数十万円、場合によっては数百万円)と比べると、はるかに経済的です。業者によって料金や保証内容が異なるので、複数の見積もりを比較することをお勧めします。

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