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シロアリ駆除でゴキブリ対策は可能?その真実とは

  • ゴキブリ
  • シロアリ
2025.03.23

シロアリ駆除がゴキブリの発生を防ぐと耳にしたことはありませんか。実現すれば一石二鳥の対策ですが、果たしてその噂は本当なのでしょうか。

本記事では、シロアリとゴキブリの関係性や、両者を同時に駆除できる可能性について詳しく解説します。さらに、シロアリ駆除がゴキブリ対策にどの程度有効かも、みていきます。

シロアリとゴキブリの関係性

全ての昆虫は、遺伝子や形態の違いに基づいて分類されています。その中で「目」という分類が使われ、例えばトンボは「トンボ目」、カマキリは「カマキリ目」と分類されています。

この「目」という分類単位において、シロアリとゴキブリは同じ「ゴキブリ目」に位置づけられています。

以前は、シロアリは「シロアリ目」という独自の分類でしたが、2000年代の遺伝子解析により、ゴキブリとシロアリが遺伝子構造的に非常に近いことが判明しました。※1

そのため、シロアリもゴキブリ目に分類されるようになり、生物学上は同じ仲間になったのです。

※1.参考:高度な社会性を持つシロアリのゲノム情報を解読 〜遺伝子重複が社会性進化の原動力であることを明らかに〜

シロアリとゴキブリの意外な共通点

シロアリとゴキブリは、一見すると全く異なる害虫のようですが、実はいくつかの共通点があります。

1. 湿気と暗い場所を好む性質

シロアリとゴキブリは、共に暗くて湿気が多い環境を好みます。特に、家の中でも風通しが悪い場所や水回り、木材やダンボール箱が溜まっている場所に巣を作ります。

シロアリは木材や紙類を食料源とするため、壁の中や床下に侵入しますが、ゴキブリも食べ物の残りや水を求めて同じような場所に潜むことが多いです。さらに湿度が高い環境は、これら害虫の繁殖を助長します。

特にゴキブリは、湿度の高い夏場に活動が活発化し、シロアリも同様に湿気の多い時期に繁殖します。

2. 増殖の速さと駆除の難しさ

両者は短期間で大量に繁殖する能力を持っています。特に巣を一度作ってしまうと、その駆除は非常に困難です。

ゴキブリとシロアリは巣の中で成虫と幼虫が共存しているため、一部を駆除しても生き残った個体が再び繁殖するので、徹底した駆除と予防が必要です。

3. 完全変態しない昆虫である

シロアリもゴキブリも、「不完全変態」の昆虫です。つまり、幼虫から成虫になるまでに「サナギ」の段階を経ることはありません。

そのため、蝶やカブトムシといった完全変態の昆虫とは異なります。ゴキブリは幼虫から徐々に成長し、何度も脱皮を繰り返して成虫になります。

一方シロアリも同様に、幼虫から働きアリや兵隊アリ、さらには繁殖能力を持つ女王アリや王アリへと変化しますが、いずれもサナギに成長することはありません。

シロアリ駆除でゴキブリ対策ができるのか

それでは、シロアリ駆除がゴキブリにも効果があるという噂は正しいのでしょうか。実際、この主張には限界があります。

噂の背景

シロアリ駆除を行えば、ゴキブリもいなくなるという噂が世の中に広まっていますが、どうしてこのような噂が出回ったのでしょうか。その理由はさまざまですが、シロアリがゴキブリの仲間だということを調べたり、聞いたりしたからだと考えられます。

また実際シロアリ駆除をした人の中で、同時期にゴキブリが出なくなったことが結びついて噂ができたとも予想されます。

確かに両者は同じ昆虫の仲間ですが、生活環境や行動パターンは大きく異なります。さらに、現在主流とされているシロアリ駆除剤で処理をしても、完全にゴキブリを駆除することはできません。

なぜなら、シロアリ駆除に使われる薬剤は、シロアリに特化しているからです。

シロアリ専用薬剤の効果範囲

現在使用されているシロアリ駆除剤は、シロアリに特化した成分で作られているため、ゴキブリにはほとんど効果がありません。シロアリは腹部を地面につけて歩く習性があり、薬剤が体に付きやすい構造になっています。

一方、ゴキブリは足先で移動するため、薬剤が体に付着する量はごくわずかです。そのため、シロアリ駆除を行ってもゴキブリを完全に駆除することは難しいです。

シロアリとゴキブリの生活環境の違い

シロアリは「土の中」、ゴキブリは「地上での生活」に特化している昆虫です。

シロアリは土や木材の中に巣を作り、蟻道と呼ばれる通路を使って移動します。そのためどうしても動きに制限がかかってしまうことから、主な生活環境は家屋の内部や床下、壁内です。

一方、ゴキブリは地上での生活に適応しており、壁や天井を自由自在に移動する能力を持っています。そのため通気口や窓、ドアの隙間からも容易に侵入できます。

シロアリと違って立体的な行動が可能なので、侵入経路はシロアリよりも多様です。

したがって、シロアリ駆除で処理される場所はあくまでも床下の地面が中心となり、ゴキブリが生活している場所には薬剤がないので、効果は発揮されません。

シロアリ薬剤の安全性の高さ

現在シロアリ駆除に用いられている薬剤は、ゴキブリにはあまり効果が出にくいとされています。

20年以上前は、シロアリだけではなく家屋に浸入してくるありとあらゆる生き物を駆除するために、高濃度の薬剤が使用されていました。

また揮発性の駆除剤を使用していたため、床下で処理したにも関わらず、薬剤成分が上にあがって室内側にまで影響が出ていました。そのため、昔シロアリ駆除を経験した人の中には、ゴキブリも駆除ができたと認識する人も多いと推測されます。

それに比べて現在のシロアリ駆除薬剤は、昔と比べて濃度・揮発性共に低いことから、ゴキブリにはあまり効果が期待できません。ただ、薬剤処理をした5年後に再調査すると、ゴキブリが死んでいたという例もあります。

前述でお伝えしたとおり、シロアリ駆除をしたからといって必ずしもゴキブリにも効果があるとは限りません。しかし、シロアリ駆除薬剤効果試験をゴキブリに対して行うと、70%以上の致死率が出るケースもあります。

シロアリ駆除薬剤が必ずゴキブリも駆除できるわけではありませんが、場合によっては効果が出やすいといえます。

偶然床下で死んでいる可能性

実際に床下にある死骸が、シロアリ駆除の薬剤効果で死んだゴキブリかはわかりません。

毒餌タイプのゴキブリ駆除剤を使用している家庭もあり、たまたまそれを食べたゴキブリが床下で死んでいる可能性もあります。また、ゴキブリは玄関や窓からの侵入がほとんどで、床下で見られる割合は非常に限定的です。

これらのことから、シロアリ駆除を行えばゴキブリもいなくなるというのは、偶然の可能性が高いといえます。

シロアリとゴキブリの両者を同時に駆除・予防する方法

シロアリとゴキブリを同時に対策するには、それぞれの特性を考慮したアプローチが必要です。

1. 湿気対策の徹底

湿気はシロアリとゴキブリ双方にとって繁殖を促す要因です。

家の中の湿度を下げるために換気を良くし、水回りの修理を行いましょう。また、床下換気システムの導入も効果的です。

2. 食べ物と廃材の管理

ゴキブリのエサとなる食べ物の残りや、水分をそのまま放置しないでください。

また、シロアリのエサになる木材やダンボール箱を床下や押し入れに長期間放置しないことも大切です。

3. 専門業者への依頼

シロアリとゴキブリを効果的に駆除するには、プロの業者に依頼するのが安心です。

専門業者は、それぞれの害虫に適した駆除薬剤や方法を使うため、再発のリスクを最小限に抑えることが可能です。

まとめ

シロアリ駆除がゴキブリ対策に直接つながるわけではありません。

その理由は以下の3つです。

①シロアリとゴキブリでは生活の場が異なる

②ゴキブリの生活範囲に薬剤がない

③昔と今では薬剤が違う

これらのことから、シロアリ駆除とゴキブリ対策にはほぼ関連はありません。近年、ネットなどで簡単に情報が得られますが、それ故に間違った情報が簡単に伝わるようにもなっています。

シロアリ駆除でゴキブリもいなくなることはなく、そもそもシロアリとゴキブリとでは対策が違うため、全く別物だと理解してください。ただし、湿気対策や侵入経路の封鎖などの対策を組み合わせることで、両者の被害を防ぐことは可能です。

害虫対策には専門業者の力を借りることが最も効果的です。シロアリ駆除やゴキブリ駆除をお考えの方は、ぜひ信頼できる業者に相談してください。

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