シロアリが嫌いなものは?効果的な予防法について

シロアリは、木材を好んで食べるだけでなくその中に巣をつくって生活するため、場合によっては住宅に深刻な被害をもたらします。
しかしシロアリが苦手なものを知ることができれば、被害を未然に防ぐ対策が可能です。
本記事では、シロアリが嫌いなものを活用した効果的な予防法について詳しく紹介します。
シロアリが嫌いなものの特徴
シロアリは、湿気が多い場所や柔らかい木材を好みますが、反対に苦手なものや避ける環境もあります。
これらを理解すれば、シロアリの侵入を未然に防いだり、被害を最小限に抑えたりする手助けに繋がります。
ここでは、そんなシロアリが嫌うものについて解説します。
硬くて食べづらい木材や加工された木材
シロアリは、主に柔らかく湿った木材を好んで食べ、硬く密度が高い木材は大変苦手です。乾燥が行き届いた木材や高い圧縮強度を持つ木材は、シロアリが噛み砕けないので餌としての価値が低いです。
さらに圧縮木材や集成材の中には特殊な加工が施されているものもあり、これがシロアリの活動を抑える一因になります。防腐処理が施された木材も、シロアリが苦手な成分が含まれているため、侵入を防ぐ効果が期待できます。
特に薬剤処理がされている木材はシロアリにとって刺激が強く、食害の対象から外れることが多いです。
このように、使用する木材の種類や加工法を工夫すると、シロアリの被害を抑えられます。
シロアリが嫌う成分や香り
シロアリは一部の成分や強い香りを嫌う習性があります。
化学成分
シロアリが嫌う忌避成分には、いくつかの薬剤が含まれています。
●ネオニコチノイド系の成分 シロアリの神経に作用し、麻痺を引き起こします。この成分は、シロアリが少量でも薬剤に触れると嫌がって逃げ出すため、予防効果も期待できます。 ●フェニルピラゾール系の成分 シロアリの中枢神経を鈍化させ、動きを鈍らせます。少量の接触でもシロアリにダメージを与えるため、シロアリの活動を効率的に抑え、遅効性の効果で巣全体に広がりやすくなります。 ●カーバメート系の成分 シロアリの神経に作用し、麻痺を引き起こします。即効性が高く、シロアリに対して素早い効果を期待できます。 |
シロアリを駆除をする場合は、これらの成分が含まれている駆除剤を選ぶと効果的です。
植物由来の成分や精油
植物由来の成分や精油には、シロアリを寄せ付けない効果があるものが多いです。
例えば、ヒノキやハッカに含まれる天然の精油成分は、シロアリの活動を抑える防虫効果が高いです。このような成分や香りを含む素材を家の構造や家具に取り入れると、シロアリの侵入を予防できます。
また、日常的にアロマオイルやスプレーを使ってシロアリが嫌う香りを漂わせることも、小さな対策の一つとなります。
シロアリが嫌いなものや場所【4選】
シロアリは快適な環境を求めて活動しますが、苦手とするものや場所も存在します。
輪ゴム
意外かもしれませんが、シロアリは輪ゴムの成分である硫黄を嫌います。そのため、輪ゴムを置くだけでシロアリが近寄りにくくなります。
ただし、輪ゴム単体での効果はそこまで発揮されないため、他の対策と組み合わせることが重要です。
日が当たる場所
シロアリは暗く湿った環境を好み、乾燥や高温を嫌うため、日当たりの良い場所には寄りつきにくい性質があります。
そのため家の周囲や床下も日常的に日光が入るように工夫すると、シロアリの予防につながります。
ベイト剤
ベイト剤はシロアリを誘引し、巣ごと駆除する効果がある薬剤です。シロアリがベイト剤に含まれる成分を嫌い、活動を停止することが確認されています。
シロアリが嫌いなベイト剤を適切に設置すれば、シロアリの巣を根絶できます。
乾燥した環境
シロアリは乾燥に弱く、湿気の少ない場所では活動が困難です。そのため、風通しが良く湿気の少ない家屋は、シロアリにとって不快な環境となります。
床下換気や除湿機を活用して、家全体を乾燥状態に保ちましょう。
シロアリが嫌いな天然由来の匂い【4選】
多くの昆虫は嗅覚が発達しており、シロアリも例外ではありません。シロアリは、特定の匂いに強い嫌悪感を引き起こします。
ここではシロアリが嫌う天然由来の香りについてご紹介します。
ハッカ(ハーブ)
ハッカ油に含まれるメントールは、シロアリにとって非常に強い刺激物となり、大変嫌がります。その理由として、メントールは神経を刺激し、シロアリの活動を抑制するからです。
ハッカを使ってシロアリ対策をする場合は、ハッカ油を水で薄めてスプレーボトルに入れ、木材や床下、巣穴の周りに散布するとシロアリがその場所を避けるようになります。特に湿度が高い場所や、シロアリが潜んでいる可能性がある場所に効果的です。
またハッカは手軽に育てられる植物で繁殖力も強いので、庭先で育てるのもシロアリ対策としておすすめです。
シナモン
シナモンには、シロアリが嫌うオイゲノールやシナムアルデヒドといった防虫成分が含まれています。実際、シロアリ用の忌避剤や殺虫スプレーの中には、シナモンを配合したものも活用されています。
シナモンの強い香りはシロアリを遠ざける効果があり、シロアリが発生しやすい場所や巣穴周辺にシナモンパウダーを撒くと効果的です。
またシナモンオイルを水で薄めて、木材や家具に吹きかけることでもシロアリ予防に繋がります。
柑橘系の香り
オレンジやレモンなどの柑橘系の香りもシロアリが嫌う匂いの一つです。特にリモネンと呼ばれる成分がシロアリの神経系に働きかけ、活動を抑制することが知られています。
リモネンは、シロアリの匂い受容体に作用して嫌悪感を引き起こします。柑橘系のオイルを木材に塗布することで、シロアリがその場所を避けるようになり侵入を防げます。
また、柑橘系のオイルを水で薄めてスプレーするのも、簡単な予防対策です。
コーヒー
コーヒーの香りもまた、シロアリにとっては不快です。その理由として、コーヒーにはシロアリが嫌うカフェインが含まれ、シロアリを遠ざける効果が期待できます。
そのため、コーヒーの出がらしを乾燥させてシロアリが発生しやすい場所や、巣に近い場所に撒くと、シロアリがその場所を避けるようになります。
またコーヒーの粉末も同様に使うことができるので、庭や土壌に撒くことでシロアリの侵入を防ぐ効果が期待できます。
シロアリが嫌いな木の種類【5選】
シロアリは、特定の木材を嫌います。
これらの木材はシロアリ対策に役立つため、建材として活用するのがおすすめです。
ヒノキ
ヒノキは古くから日本で高級建材として親しまれてきた木材で、シロアリに対して非常に強い防虫効果を発揮します。
ヒノキに含まれるヒノキチオールは、シロアリを寄せ付けない香りを発し、その防虫作用は広く認知されています。さらにαカジノールというテルペン類の成分も含まれており、これもシロアリの嫌いな物質です。
しかし、ヒノキの防虫効果は産地によって異なるため、シロアリ対策として選ぶ場合は、特に北部産や福島、長野産のヒノキが有効です。
またヒノキは湿気や水に強く耐久性にも優れていますが、春材は比較的柔らかく、シロアリに狙われやすいことも知っておきましょう。
スギ
スギは、日本の住宅建材として広く使用されている木材で、防虫効果も高いです。特にスギの心材は固く、シロアリが食害を嫌います。
スギの防虫成分もシロアリに対して強い影響を与え、住宅建材として非常に人気があります。
ただし、スギを生木から加工する際の高温乾燥によって、これらの防虫成分が失われる場合もあるため、スギをシロアリ対策として使用するには乾燥や加工方法に気を付けて選んでください。
ヒバ
ヒバはヒノキと同様にシロアリを寄せ付けない強力な防虫成分ヒノキチオールを多く含み、非常に優れたシロアリ対策木材です。
特に青森ヒバは、他のヒバに比べてヒノキチオールの含有量が高く、防虫効果がより強力です。またヒバは、シックハウス症候群の原因物質であるホルムアルデヒドを分解・除去する特性も持ち合わせ、室内の空気質を改善する効果もあります。
さらに腐食にも強く、住宅建材として非常に優れています。
チーク
チークは非常に硬く、シロアリが噛み砕くことが困難なため、シロアリの食害を防ぎやすい木材です。さらに耐水性が高いため湿気を防ぎ、シロアリが好む湿った環境を作りにくくします。
チークは世界三大銘木の一つとしても知られ、その美しい木目と色合いから家具や建材として広く使用されています。
しかし、チークは過去に大量に伐採されたため、現在では流通量が少なく、非常に高価な木材です。
ローズウッド
ローズウッドは非常に硬くシロアリが噛み砕くことができないため、シロアリの食害を防ぐのに適しています。またローズウッドは、シロアリが嫌う「テルペン類」の香り成分も持ち、シロアリを寄せ付けにくくします。
さらにヒノキやスギと比べて非常に高い防虫効果があり、長期間にわたってシロアリの侵入を防ぐことが可能です。
シロアリが嫌いなものは100%効果を発揮するわけではない
シロアリが嫌う植物や木材は確かに効果が期待できるものの、それだけで完全に侵入を防ぐのは難しいです。
シロアリは非常に適応力が高く、あらゆる環境で生き延びる能力を持っているため、単に嫌いなものを使うだけでは、侵入を防ぐには不十分です。
例えば、ハッカやシナモンなどの防虫成分を含む植物や樹木が挙げられますが、これらを家の周りに植えたからといって、シロアリが完全に逃げるわけではありません。
これらの植物の香りや成分が届く範囲には限りがあるため、家全体を守るのは不可能です。また、シロアリが好む木材を使った家と、シロアリが苦手とする木材を使った家では、もちろん後者の方が食害のリスクは低くなります。
しかし、完全にシロアリを防げるわけではなく、侵入経路や湿度の管理など、さまざまな要因が関わってきます。特にシロアリは土壌や湿気の影響も受けやすいので、植物や木材だけでは限界があります。
そのため、これらの植物を防虫目的で植えるのは、あくまで補助的な予防策と考えるのが適切です。
シナモンやハッカを庭に取り入れることは、シロアリの侵入を完全に防ぐのは難しくても、他の対策と組み合わせることで、家を守るための一つの方法として役立ちます。
シロアリを寄せ付けない家にするために
湿気を防ぐ
シロアリは湿気を好むため、湿度の高い場所を狙って侵入します。床下や地下室は湿気が溜まりやすいので、換気を良くして湿度の管理が大切です。
特に床下の換気口は風通しが良い状態を保つようにしてください。また、除湿機を活用して湿気を取り除くのも有効です。
湿度が60%を超えるとシロアリが活動しやすくなるため、湿度管理は予防策にも繋がります。
業者に依頼する
シロアリ対策には専門的な知識と技術が必要です。
シロアリの侵入経路や巣の位置を素人が発見するのは難しく、放置すると被害が拡大する可能性があります。その点、業者に依頼すればシロアリの侵入経路を特定でき、効果的な駆除や予防もできます。
また定期的な点検を依頼すれば再発防止にも繋がります。
シロアリの発見は早ければ早いほど、被害を最小限に抑えることができるので、一人で悩まずにまずは業者に相談してください。
まとめ
本記事ではシロアリが嫌いなものについて紹介しました。
シロアリが嫌いなものや環境を知ることで、自然にシロアリを遠ざけることが可能です。しかし、シロアリの完全な駆除や予防には、専門的な知識と対策が欠かせません。
湿気対策や木材選び、嫌いな匂いを活用しながら、定期的な点検を行ってください。
シロアリ被害が心配な人は、早めにプロのシロアリ駆除業者に相談しましょう。
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