シロアリの女王を徹底解説!役割や生態、駆除の際のポイント

シロアリは木材を食べ、住宅の構造を脅かす害虫としてよく知られています。その中でも、特に重要な存在が「シロアリの女王」です。女王は次々に卵を産み、働きアリや兵隊アリを増やしていきます。
シロアリの生態を理解し、特に女王の存在や役割を知ることで、効果的な駆除や予防対策につなげていくことができます。
この記事では、シロアリの女王について、生態の特徴や巣の拡大方法、効果的な駆除方法などを解説します。
シロアリの女王の外見と際立つ特徴

シロアリの女王は、他のシロアリとは異なる特性を持っています。ここでは、その主な特徴を詳述します。
シロアリの女王アリは白くない!
一般的にシロアリは白く、半透明な体色を持つことで知られていますが、女王アリは少し違います。
女王は若干色味が濃く、淡黄色から茶色っぽい色合いをしていることがほとんどです。これは、体内に卵を保持するための栄養が蓄積していることが関係していて、シロアリの中でも特異な外見となります。
くびれのない体と膨らんだ腹部が特徴
シロアリの女王の体つきも、一般的な働きアリや兵隊アリとは異なります。通常のシロアリには体にくびれが見られますが、女王にはこのくびれがなく、代わりに腹部が大きく膨らんでいるのが特徴です。
これは大量の卵を蓄えるために腹部が発達しているためで、通常のシロアリと比べて圧倒的に大きな腹部を持っています。この膨らんだ腹部はシロアリの女王が持つ高い繁殖能力を象徴しており、シロアリの巣が繁栄し続けるための生命力の源ともいえるでしょう。
年中無休で産卵し続ける驚異的な繁殖能力
シロアリの女王は、巣の維持と成長のために1年を通じて卵を産み続けます。その繁殖能力は驚異的で、季節を問わず産卵が行われ、巣が成熟するにつれて産卵数も増加します。
多い時には1日に数千個の卵を産み、これがシロアリの集団が急速に拡大する理由です。このような絶え間ない産卵能力により、巣の中には新たな働きアリや兵隊アリが次々と補充され、巣全体の機能が絶えることなく保たれているのです。
他のシロアリを凌駕するサイズ
シロアリの女王は、他のシロアリに比べて体が大きいことも特徴です。特に腹部が膨らんでいるため、見た目にも他のシロアリとは一線を画しています。
この大きな体は、巣全体の生命力を維持するための中心的な役割を担うために特化された構造でもあります。
シロアリの女王システムとは

シロアリの巣において、女王は単に卵を産むだけでなく、巣全体の繁栄を左右する存在です。女王のフェロモンは他のシロアリにとっても影響力があり、巣内の役割分担や繁殖行動に関わる重要な役割を果たしています。
シロアリの巣には副女王も存在する
シロアリの巣には、主女王以外にも「副女王」という存在がいます。副女王は、主女王が卵を産めなくなった際や死亡した際に、代わりに巣を維持するために活動を開始します。
副女王がいることで、巣全体の機能が突然失われないよう、繁殖能力が絶えず保たれるようになっています。
このように副女王が存在することで、シロアリの巣の組織が非常に高度に発達し続けられるのです。
産卵能力を失うと待ち受ける最期
女王アリの繁殖能力が衰えると、巣内の他のシロアリにより処分されることがあります。シロアリの巣は繁殖力を維持することが重要なため、繁殖能力のない女王は巣にとって不要と見なされるのです。
このような役割が明確なシロアリ社会では、巣全体の利益を優先して効率的に資源を利用するという仕組みが見て取れます。
飛び立つ羽アリの正体!将来はシロアリの王と女王に
シロアリの女王は巣の中心的な存在ですが、すべてのシロアリが最初から女王や王になるわけではありません。春から初夏にかけて群飛(ぐんひ)と呼ばれる飛行行動を取る「羽アリ」が、将来の王と女王になるのです。
羽アリは巣の中で育ち、外部へ飛び立つ際にペアを組んで新たな巣を形成します。羽アリが飛び立つ様子を見つけたなら、近隣に巣がある可能性が高いと言えます。
シロアリ社会を支える階層構造とその役割分担

シロアリの巣は、厳格な階級によって支えられており、それぞれの役割が明確に分担されています。
女王アリ・王アリ(繁殖専門の個体)
シロアリのコロニーにおいて、女王アリと王アリは特別な繁殖担当としての役割を果たしています。
女王アリの場合、毎日数百もの卵を産み、コロニーの維持と拡大に欠かせない存在です。寿命も非常に長く、繁殖を続けながら長期間にわたってコロニーを支えます。
一方、王アリは女王と共に生殖活動に従事し、安定した繁殖サイクルを築くパートナーとして重要な役割を担っています。
有翅虫(羽を持つ個体)
有翅虫はいわゆる「羽アリ」のことです。羽アリは、繁殖シーズンになると巣から飛び立ち、新たなコロニーを築くための役割を担います。
羽アリは通常、一定の気温や湿度の条件が整った際に群飛を開始し、交尾後に地中や木材内などの適した場所に巣を形成します。
次世代のニンフ
ニンフは、将来の有翅虫になる前段階の個体で、コロニー内で成長しながら繁殖の準備をしています。
次の繁殖期が来るまで巣内で生活し、将来のコロニー拡張のために備えます。特定の条件が整うと羽化し、有翅虫として巣を離れるようになります。この段階での個体数は、コロニーの拡大能力を左右する重要な要素となります。
副生殖虫(副女王アリ・副王アリ)
シロアリのコロニーでは、主役の女王や王が何らかの理由で役目を果たせなくなった場合に備えて、副生殖虫である副女王アリや副王アリが存在します。副生殖虫は、コロニーの繁殖能力を失わないようにするための控えとして、適切なタイミングで生殖活動を引き継ぎを行います。
そのため副生殖虫がいることによって、コロニーは継続的に繁殖を行うことが可能であり、外部からの影響にも柔軟に対応できるようになるのです。
兵蟻(巣を守る役割)
兵蟻(兵隊アリ)は、顎が発達して外敵からコロニーを守る役割を担っています。非常に攻撃的で、巣に近づく敵や他の昆虫に対して防衛行動をとるのが特徴です。
兵蟻は戦闘に特化した体格を持っており、顎で敵を攻撃することでシロアリ社会の秩序を守り続けています。
職蟻(巣内で働く個体)
職蟻は、いわゆる「働きアリ」のことを指します。働きアリは、コロニーの維持において最も多くの役割を果たす個体であり、巣の建設や食物の運搬をはじめ、幼虫の世話など多岐にわたって作業をこなします。
食料の供給や巣の清潔を保つ役割も担い、コロニー内の衛生環境を整えることで、他の個体が健康に成長するための基盤を作ります。
集団生活を支えるフェロモンの力
シロアリ社会では、フェロモンが重要な役割を果たしていて、コロニー内の各階層の役割分担や行動を調整しています。
女王アリから放出されるフェロモンは、他の個体に影響を与え、繁殖や防衛、労働のバランスを保つための指令として機能します。またフェロモンによるコミュニケーションによって、シロアリは各階層の役割を明確にし、効率的に集団生活を営むことができるのです。
シロアリを駆除する際は女王を優先すべきか?

女王アリを駆除しても巣の消滅には至らない理由
シロアリの女王を駆除しても、その行動が必ずしもコロニーの壊滅に直結するわけではありません。たとえ女王がいなくなったとしても、残された働きアリや副女王、副王といった生殖能力を持つ個体が次の女王に取って代わるため、巣の維持が可能な状態が続きます。
そのため、根本的なシロアリ駆除を行うのであれば、コロニー全体に生息する全ての階級のシロアリを対象にし、コロニーの生態や社会構造を理解した上での包括的な対策を行う必要があります。
駆除で見逃せない「王アリ」の存在
シロアリの駆除においては、女王だけでなく王アリも重要なターゲットです。
王アリが存在することで、女王が駆除された後も新しい女王とともに副生殖虫を生み出し、コロニーの再建が進められてしまうからです。そのため、王アリを含む生殖虫の存在を完全に排除することが、コロニーの拡大を止めるためには欠かせない要素となり、再発防止の鍵を握っているのです。
巣全体を駆逐して完全な駆除を目指す
シロアリの駆除を徹底的に行うには、コロニー全体を根本から取り除く、つまり巣ごと駆除する方法が最も効果的です。
シロアリの巣は、隠れている場所や深く構造化されたものが多いため、駆除の確実性を高めるためにも、シロアリ駆除のプロに依頼するのが安心です。
まとめ

シロアリの女王は、コロニーの中心的な存在であり、繁殖や社会構造の維持において重要な役割を果たしています。
シロアリの女王の生態や役割、駆除における注意点を理解することで、シロアリに対する効果的な対策を講じることが可能です。シロアリ駆除は一筋縄ではいかないため、専門的な知識と技術を持つ業者にまず相談して見ると良いでしょう。
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