シロアリの巣はどこにある?巣の見分け方や特徴について

シロアリは建物の基礎や木材を侵食し、大きな経済的被害をもたらす害虫として知られています。そのような被害の拡大を防ぐには、シロアリの巣を正確に特定することが大切です。
巣は、シロアリの種類によって作られる場所や特徴が異なるため、それぞれの違いを理解する必要があります。
本記事では、シロアリがどのような場所に巣を作るのか、種類ごとの巣の特徴や見分け方について詳しく解説します。
シロアリが巣を作る主な場所
シロアリが巣を作る場所は、その種類や周囲の環境によって異なりますが、主に以下の4つに分類されます。
それぞれの環境は、シロアリにとって生活しやすい条件が整っており、放置してしまうと建物や自然環境に深刻な被害をもたらす原因となります。
1. 地中
地中は、シロアリが最も頻繁に巣を作る場所です。この環境は湿度が高く、外敵から身を隠すのに適していることから、シロアリにとって理想的といえます。
日本国内ではヤマトシロアリやイエシロアリが地中に巣を作ります。地中に複雑なトンネル構造の巣を形成するため、発見しづらいのも特徴の一つです。
さらに巣が大規模化すると、家屋の基礎や柱を侵害し、耐久性を大きく損なう恐れがあります。
2. 木材内部
シロアリの中には、木材の内部を好む種類も存在します。
例えば、アメリカカンザイシロアリは乾燥した木材でも巣を作ることが可能で、建物の柱や家具の内部に侵入します。巣は木材内に直接作るので、外見からは被害の兆候を見つけるのが非常に難しいです。
そのため、木材内部に侵入されると、家屋全体にわたる被害が深刻化する恐れもあります。
3. 家屋の床下や基礎部分
家屋の床下や基礎部分は、シロアリが巣を作る典型的な場所です。これらの場所は、湿度が高く人目につきにくいことから、シロアリにとって非常に魅力的な環境といえます。
特にイエシロアリやヤマトシロアリはこの環境を好み、床下全体に広がるような大規模なコロニー(巣)を形成します。そのため、床下の湿気や木材の状態は定期的に点検し、異常がないか確認することが重要です。
4. 屋外の枯れ木や植木鉢周辺
屋外の枯れ木や倒木、植木鉢の下も、シロアリが巣を作る場所として一般的です。特にキノコシロアリやセイドウシロアリが屋外で巣を作ります。
枯れ木や庭木の根元、さらには雨ざらしのウッドデッキなどが侵害されるケースが多いため、屋外の環境整備もシロアリ対策には欠かせません。
シロアリの巣が家屋で見つかる主な場所
それではシロアリは、家のどの箇所に巣を作ることが多いのでしょうか。
水回り
シロアリは湿気を好む習性があり、特に水回りは巣が見つかりやすい場所です。特にキッチンや浴室、洗面所の配管付近、床の下地部分は要注意です。
シロアリは、見えない箇所に巣を作るため、気づいたときには被害が広範囲に及んでいる場合もあります。
床下
床下もシロアリが好む環境のひとつです。地面から直接木材に侵入できるので、湿気や暗がりといった条件がシロアリの活動を活発化させます。特に、湿気対策が不十分な住宅や古い建物では、床下に大量のシロアリが巣を作るケースが多く見受けられます。
床材や基礎部分が傷む前に、定期的な点検を行わなければいけません。
屋根裏や壁の中
シロアリは床下だけでなく、屋根裏や壁の内部にも巣を作ることがあります。外壁の亀裂や通気口、配線の隙間から侵入し、内部で静かに巣を広げていきます。
被害が発見されにくい分、長期間にわたって建物の強度を損なう可能性があるため、天井や壁紙に変色や膨らみが見られた場合は、シロアリ被害の兆候として対策が必要です。
屋外の木材
庭や敷地内の木材、木製のフェンスやウッドデッキは、巣作りの場所に最適です。
特に地面に直接触れている木材は、地面から直接侵入できるのでシロアリ被害を受けやすいです。また薪や枯れ木も放置すると、それがシロアリの巣になり、やがて家屋へと侵入してくるリスクもあります。
そのため屋外の木材は定期的に点検し、地面に接触させないようにするなどの予防策が必要不可欠です。
種類ごとの巣の特徴と見分け方
シロアリの種類ごとに巣の特徴は大きく異なり、それぞれが好む環境や巣の構造も異なります。
これらの特徴を理解することで、被害の早期発見や適切な対策が可能です。ここでは、シロアリの種類ごとの巣の特徴や見分け方について詳しく説明します。
1. アメリカカンザイシロアリ
巣の規模 | 個体数が数百~数千匹程度のシロアリが生息 |
巣の場所 | 住宅の木部や木製家具の中 |
乾燥した場所、高い場所に棲み付く |
巣の特徴
アメリカカンザイシロアリは、乾燥した環境下でも生息可能なシロアリで、木材の内部に巣を作り生活をしています。
湿度が低い場所でも活動できるため、他のシロアリとは異なり、建物の高い位置や乾燥した木材でも巣を作ることがあります。さらにアメリカカンザイシロアリは、木材を直接掘り進めることから、外部から巣が見えにくいです。
見分け方
巣のサインとして木材の表面に小さな穴が開いている場合、木材内部の空洞化が進行していることから、叩くと中から空洞のような音がします。
また6本の筋が縦に入った1ミリ以下の固く乾燥した砂粒状のふんを見つけたら、アメリカカンザイシロアリの巣が近くにあることがわかります。
2. イエシロアリ
巣の規模 | 数十万~100万匹程度のシロアリが生息 |
分巣を含めると、行動範囲は100mに及ぶ場合もある | |
巣の場所 | 本巣は地中数mの深い場所、分巣は壁中や屋根裏など |
高い場所にも巣を作る |
巣の特徴
イエシロアリは日本で特に被害が多い種類で、大規模な地中型の巣を作ります。
地中から蟻道を伸ばし、建物の基礎部分や木材に侵入します。数十万匹から数百万匹が巣に生息していることがあり、一つのコロニーが非常に大きく繁殖力が高いのが特徴です。
見分け方
地面や基礎部分に蟻道が見つかることが多いです。
蟻道は乾燥を防ぐために土や木片、糞などで作られ、外部からも確認できます。また、春から夏にかけて大量の羽アリを発見した場合、近くにイエシロアリの巣がある可能性が高いです。
3. ヤマトシロアリ
巣の規模 | 数千~数十万匹程度のシロアリが生息 |
巣の場所 | 床下や水回りなど湿気がたまる場所の木材の中 |
高い場所に巣を作ることはあまりない |
巣の特徴
ヤマトシロアリは日本全土に広く分布し、主に地中や湿気を含んだ木材内部に巣を作ります。巣自体は比較的小規模ですが、複数のコロニーを形成しやすいです。
見分け方
湿気の多い木材や基礎部分に蟻道が見つかることが多いです。また、春先には羽アリが飛び立つことがあり、これが巣の発見に繋がる場合があります。
4. キノコシロアリ
巣の規模 | 個体数が数百~数千匹程度のシロアリが生息 |
巣の場所 | 地上部に「蟻塚」と呼ばれる巣を作る |
キノコを栽培することから、巣の近くにキノコがある |
巣の特徴
キノコシロアリは、湿度の高い場所を好み、庭の枯れ木や庭木の根元、湿った木材などに比較的小さな巣を作ります。
キノコシロアリは、キノコのような菌類と共生しており、そのために独特の環境を選ぶ傾向があります。
見分け方
湿った木材や枯れ木が多い場所は要注意です。木材の表面に薄い泥の膜が形成されている場合は、キノコシロアリが巣を作っているサインです。
5. セイドウシロアリ
巣の規模 | 300万匹程のシロアリが生息 |
巣の場所 | 地上部に「蟻塚」と呼ばれる巣を作る |
巣の特徴
セイドウシロアリは地中だけでなく、倒木や建物の基礎部分にも巣を作ります。湿った環境を好みますが、キノコシロアリほど湿気には依存しません。
巣がやや小規模なことが多いですが、複数の巣が分散して形成される場合があります。
見分け方
巣の付近に薄い泥のような物質や、細かい木屑が見られることがあります。
蟻道が建物の基礎部分に沿って作られることも多いです。
シロアリの巣を放置した場合に起こるリスク
シロアリ被害の進行は想像以上に早く、湿気の多い時期や温暖な気候条件下では、巣が急速に拡大します。そのため、一度被害が進行すると住宅の寿命が短くなり、居住者にとって大きなリスクを伴うのです。
ここでは、もしもシロアリの巣を放置した場合の具体的なリスクをご説明します。
建物の耐久性が下がる
シロアリは木材を食害するため、建物の構造部分に大きなダメージを与えます。
柱や梁が弱くなると、最悪の場合建物が倒壊する可能性もあり非常に危険です。特に木造建築では、シロアリ被害が進行するスピードが速いため、早急な対応が求められます。
耐久性が損なわれると、居住者の安全にも影響を及ぼすため、リスクを軽視することはできません。
高額な修繕費用が発生
シロアリの被害が広がるほど、修繕費用は膨らんでいきます。建材の交換や補強工事が必要な場合が多く、被害が深刻なほど費用負担は大きくなります。また外壁や床下、屋根裏など、複数箇所に被害が及ぶケースも少なくありません。
シロアリを早期に駆除すれば、修繕費用を抑えることができるため、迅速な対応が必要です。
シロアリの巣を発見した際の対応
シロアリの巣を発見した場合は、被害を最小限に食い止めるためにも迅速で適切な対応が不可欠です。
自己判断で問題を解決しようとすると、かえって被害を拡大させる恐れがあるため、計画的な行動を心がける必要があります。
初期対応で被害拡大を防ぐ
シロアリの巣を発見したら、まずは冷静に状況を把握して建物内での被害状況や、巣の規模を確認しましょう。ただし巣を無理に壊したり、薬剤を適当に散布したりするのは避けてください。
誤った処置を行うと、シロアリがさらに広範囲に分散してしまう可能性があるからです。特に巣のある場所を動かしたり、叩いたりすると、シロアリが危機を感じて移動を始めることがあります。
これにより、新たな場所に巣を作り被害が拡大する可能性が高まります。
まずは応急処置として、シロアリを掃除機で吸い取る、粘着テープで捕獲するなどの対策を行ってください。
専門業者に依頼する
専門業者はシロアリ被害に関する知識と経験を持ち、状況に応じた適切な駆除方法を実施します。そのため業者に依頼することで、効率的かつ効果的にシロアリの巣を根絶することが可能です。
また業者は侵入経路や湿気対策など、再発防止のアドバイスや施工も行ってくれ、長期的な安心を得ることができます。
特に大規模な被害や床下、壁の中など目に見えない場所にある巣は、業者でなければ発見や駆除が難しいため、専門家の力を借りることが最善の策です。
まとめ
シロアリの巣は、建物のさまざまな場所に潜んでいますが、特に水回りや床下、屋根裏、壁の中、そして屋外の木材といった湿気の多い環境に作られます。そのため、日常的な点検や管理が被害を防ぐ第一歩です。
また、シロアリの巣を放置すると、建物の耐久性や安全性を著しく損なうだけでなく、修繕費用や健康リスクといった問題にもつながります。
シロアリの巣を発見した場合は、まず応急処置を行い、その後速やかに専門業者に相談してください。
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