「蟻道」とはなにか?シロアリの被害を防ぐための基礎知識

シロアリは家屋に深刻なダメージを与える害虫として知られていますが、その被害の兆候を見逃さないことがなによりも大切です。
特に蟻道(ぎどう)は、シロアリが活動していることを示す非常に重要なサインです。蟻道を正しく理解して早期発見ができれば、家屋への被害を最小限に抑えることが可能です。
本記事では、蟻道の特徴と作られる理由や見分け方、そして対処法まで詳しく解説していきます。
「蟻道(ぎどう)」は移動するためのトンネル状の通路
蟻道とは、シロアリが安全に移動するために作るトンネル状の構造物のことです。
シロアリが巣と餌場を往復する際に作られ、外敵から身を守り乾燥を防ぐ重要な役割を果たしています。
そのため蟻道はシロアリが侵入している証拠となるため、被害の早期発見につながります。
シロアリの蟻道は土で作られる
蟻道は、シロアリが泥や土、木くずを口に運んで作ります。
これらを糊のように固めて作るので、地面や建物の壁に沿って見られることが多く、非常に頑丈です。
蟻道のおかげで、シロアリは乾燥や外敵から身を守りながら安全に移動ができます。
蟻道の長さはどのくらいあるのか
シロアリが作る蟻道の長さは、状況によって大きく異なります。
地中に巣を作るヤマトシロアリは、餌場までの距離が長い場合には数メートルに及ぶ蟻道を作ることもあります。
一方、家屋の中で活動している場合は、数十センチ程です。
蟻道は巣ではない
蟻道はシロアリが移動するための通路で、シロアリの巣そのものではありません。
シロアリの巣は蟻道の先に存在する場合が多く、巣は地中や壁の内部といった目につきにくい場所に隠れています。
そのため、蟻道を見つけても、巣を完全に排除するためには専門業者の力が必要です。
シロアリが蟻道を作る理由
シロアリが蟻道を作る理由は、移動を安全に行うためです。
シロアリは乾燥に弱く、外敵にも狙われやすい昆虫です。
そのため、土や木くずを用いて蟻道を作り、餌場と巣を往復できる環境を確保します。
シロアリの蟻道は種類によって異なる
シロアリの種類によって蟻道の構造や作り方はさまざまです。
例えば、ヤマトシロアリは主に地中に巣を作り、土を運んで蟻道を形成します。
一方、イエシロアリは壁や天井に巣を作ることが多く、空中に蟻道を作ることもあります。それぞれの特徴を理解することで、蟻道を見つけた際にどの種類のシロアリが関与しているかを判断する手がかりになります。
シロアリが作る蟻道の見分け方
蟻道を発見した際に、それが本当にシロアリによるものかを見分けなければいけません。
蟻道に似た構造物を作る他の虫も存在するため、正確に区別する必要があります。
ここでは、シロアリの蟻道を他の巣や通路と比較して見分ける方法を解説します。
クロアリが作る蟻道との違い
特徴 | シロアリの蟻道 | クロアリの蟻道 |
構造 | 長く堅固なトンネル状 | 短くてやわらかく、木くずや植物の残骸で作られる |
硬さ | 非常に硬く、触っても簡単には崩れない | 柔らかく、触ると簡単に崩れる |
崩れ方 | 塊で崩れる | バラバラに崩れる |
作る場所 | 家の基礎や湿気の多い場所 | 主に木くずや土中に作られ、地面に沿った通路が多い |
代表的な種類 | イエシロアリ、ヤマトシロアリ | トビイロケアリ |
害の程度 | 木材や建物を食害するため深刻な被害が発生する | 基本的に害は少ないが、大量発生した場合は駆除が必要 |
クロアリとシロアリが作る蟻道は、構造や特徴に大きな違いがあります。
シロアリの蟻道は、湿気を保つために粘土や唾液で作られ、堅固で長いトンネル状です。触れても崩れにくく、崩れる時は塊で崩れます。一方、クロアリの蟻道は木くずなどを使って作られ、柔らかくて脆いのが特徴です。触れると簡単にバラバラと崩れます。
またクロアリの中でもトビイロケアリは、乾燥を避けるために蟻道を作ることがありますが、シロアリのように長く頑丈なトンネルではありません。さらにクロアリの蟻道は、一般的に短く途中で途切れがちです。
シロアリの蟻道は、発見が遅れると深刻な被害を引き起こす可能性がありますが、クロアリは通常害が少なく、発生しても掃除などで対応できます。
ジグモの巣との違い
ジグモの巣もシロアリの蟻道と形状が似ていますが、触ってみると明確に区別ができます。ジグモの巣は、シロアリの蟻道のように頑丈ではなく、やわらかい特徴を持っています。
ジグモは土の中で生活し、エサを求めて地上に巣を作りますが、その巣はクモの糸で覆われていてまるで綿のようにふわふわとした質感です。この巣は触ると簡単に崩れたり、引っ張ると破れたりします。
シロアリの蟻道は硬く崩れにくいので、触れてみると違いがよく分かります。ジグモ自体には毒性がないため、基本的には駆除の必要はありません。
しかしシロアリの蟻道は、住宅に深刻な被害を与える可能性があるため対策が必要です。
ドロバチの巣との違い
特徴 | シロアリの蟻道 | ドロバチの巣 |
作られる場所 | 地面から上に向かって伸びる | 外壁や軒下、木の枝など地面から離れた場所 |
形状 | 帯状の形 | とっくり型やドーム状 |
穴の有無 | 途中に穴は開いていない | 複数の穴があることがある |
構造の硬さ | 硬く、崩れにくい | しっかりとした構造で、羽化後の痕が残ることも |
攻撃性 | 攻撃性なし | 攻撃性が少なく、刺すことはめったにない |
ドロバチの巣とシロアリの蟻道は、作られる場所や形状においてはっきりと違いがあります。ドロバチの巣は主に外壁や軒下、木の枝といった地面から離れた場所に作られます。
巣の形状も、とっくり型やドーム状でいくつかの穴が開いていることがあります。これらの穴は、羽化した幼虫が出て行った痕跡である場合が多いです。
一方、シロアリの蟻道は地面から上に向かって伸びる帯状の形で、途中に穴は開いていません。シロアリの蟻道は木材や建物の構造内を通ることが多く、その硬さと密度から、触っても簡単には崩れません。
またドロバチ自体は攻撃性が少なく、人を刺すことはめったにありません。そのため、人が頻繁に通る場所でなければ、駆除の必要はほぼないといえます。
しかし、シロアリは木材や建物の内部に損害を与える可能性が高いため、早期の発見と対応が必要です。
どのような場所に蟻道は作られるのか
シロアリが蟻道を作る場所は、基本的に目立たない場所や湿気の多い場所です。
家屋の中でも特にシロアリが好む特定の箇所があり、これらの場所を定期的にチェックすることが被害を防ぐための第一歩です。
ここでは、シロアリの蟻道が作られやすい場所について詳しくご紹介します。
家の土台である基礎周り
シロアリは、家屋の基礎部分に沿って蟻道を作る傾向があります。
基礎周りは湿気がこもりやすく、外敵から身を守りやすい場所のため、シロアリにとって非常に魅力的な環境です。特に、コンクリート基礎の表面に沿って蟻道が伸びている場合は注意が必要です。
基礎部分の蟻道を放置すると、そこから家全体へとシロアリの被害が拡大する恐れがあるため、早期発見と適切な対処が求められます。
基礎に設置されている断熱材
断熱材は、シロアリにとって絶好の餌場となるだけでなく、蟻道を隠すためのシールドの役割も果たします。
断熱材の内部は、シロアリにとって侵入しやすい柔らかい構造で、一度蟻道が作られると外から発見するのが難しくなります。
特に、基礎断熱を採用している住宅では、シロアリが断熱材内部を通って広範囲に活動するケースが多いため、定期的な点検が必要です。
床を支える束柱
床下の束柱は住宅を支える重要な部分で、その多くは木材でできています。
木材はシロアリにとっては食糧で、束柱の表面や内部に蟻道が確認される場合があります。
またシロアリは木材を食害しながら蟻道を進めるため、束柱に見られる蟻道は家全体の構造に悪影響を及ぼす可能性もあります。
もしもこのような被害が発見されたら、早急に専門業者に依頼してください。
床下にある排水管や給水管などの配管
排水管や給水管は、湿気が発生しやすい場所であるため、シロアリが蟻道を作りやすい部分の一つです。
特に配管が床下や壁内を通過している場合、その周囲の隙間からシロアリが侵入することがあります。また配管周りは直接目視が難しいため、蟻道が作られても気づくのが遅れるケースが少なくありません。
定期的な床下点検によって、配管周辺の蟻道を発見し、早めに対応することが重要です。
化粧モルタルやタイル張り
建物の外壁に使われる化粧モルタルやタイルの裏側も、シロアリが蟻道を作ることもあります。
特にタイルの隙間やモルタルのひび割れ部分は、シロアリの侵入経路として利用されることが多いです。
外見上は綺麗に見えても裏側で蟻道が伸びている可能性があり、外から発見するのが難しく、被害が進行する恐れがあるので定期的な点検を行ってください。
光が差し込まない場所
シロアリは暗く湿った環境を好むため、光が届かない床下や壁の内部などに蟻道を作る習性があります。
これらの場所は目視確認が難しいため、定期的な点検を行わない限り、蟻道の発見が遅れます。また暗所は、シロアリが最も安全に活動することができる場所のため、特に注意が必要です。
空中に蟻道が作られる場合もある
シロアリの中でも特にイエシロアリは、空中に蟻道を作ることができます。
イエシロアリの蟻道は、木材や壁を伝って上部に伸びていくことがあり、地面と接触していない場所でも確認されます。また空中蟻道は、シロアリが活動範囲を広げるための手段として利用され、木造建築物の高い場所や屋根裏などでも発見されます。
このような場合、蟻道の高さや位置を確認し、速やかに専門業者に相談してください。
蟻道を見つけた場合の対処法
シロアリの蟻道を見つけたら、早期の対応が大切です。なぜなら、シロアリは木材や建材を食害し続けるため、放置すれば大きな被害を引き起こすからです。
ここでは、蟻道を見つけた際に取るべき正しい対処法についてご紹介します。
シロアリが作った蟻道かどうかを確認する
蟻道を見つけたらまず、その構造や材質を確認してシロアリによるものかどうかを特定します。
シロアリの蟻道は、湿った土や木くず、シロアリの唾液が混ざった柔らかい材質でできているので、触ると崩れやすいです。形状は地面を這うように伸びた帯状で、内部は空洞になっています。
色は白っぽく、湿気の多い場所や木材の周りに見られることが多いので、このような特徴が確認できたら、シロアリの可能性が高いです。
蟻道を壊さない
シロアリの蟻道を発見したら、まず最も重要なのは蟻道を壊さないことです。
蟻道を壊してしまうと、シロアリが一時的に逃げる場所を失い、より深い場所や他の隠れ場所に移動する可能性があります。
これによりシロアリが巣を新たに作り、被害が拡大してしまいます。また蟻道を壊すと、シロアリの巣の場所が分かりづらくなり、駆除の難易度が上がります。
蟻道を見つけたら、まずは冷静にそのままにしておき、専門業者に依頼してください。
市販の殺虫剤を使うのは一時的な対策に留める
市販の殺虫剤でシロアリの蟻道を処理する人もいますが、これはあくまでも一時的な対策に過ぎません。
もちろん殺虫剤を使用することで、蟻道内にいる一部のシロアリは駆除できますが、全てのシロアリは駆除できないので、根本的な解決には至りません。
シロアリは巣の内部で繁殖し続けるため、巣全体を駆除しない限り、全てのシロアリを駆除することはできないのです。また市販の殺虫剤は効果が限定的であり、シロアリを完全に駆除することは難しいことから、長期的な対策としては不十分です。
殺虫剤はあくまで応急処置として使い、専門業者に依頼するのがベストです。
専門業者に依頼をする
シロアリの被害を根本から解決するためには、専門業者に依頼することが最も効果的な手段です。
シロアリ駆除の専門業者は、専用の薬剤や機材を使用して、シロアリの巣を完全に駆除し、シロアリの活動範囲を正確に特定して適切な処置も施してくれます。また、シロアリが巣を作る場所や侵入経路を確認し、再発防止のための対策を提案してくれることもあります。
プロの手による駆除作業は、長期的に見ても最も効果的で安全な方法です。
まとめ
シロアリが作る蟻道は、家屋への被害を防ぐための重要なサインです。蟻道を早期に発見して適切な対処を行うことで、被害を最小限に抑えることができます。
しかし、蟻道を壊すなどの素人判断ではかえって問題が悪化する可能性があります。シロアリは素早く巣を広げるため、早期の対応が重要です。
シロアリ駆除は専門業者に依頼することで、効果的に駆除し、家を守ることが可能です。業者は専用の薬剤や機器を使用し、確実にシロアリを駆除できるため、被害の拡大を防げます。
シロアリ被害にお悩みの方は、シロアリ駆除のプロに一度相談してみましょう。早期の対処で家屋の構造を守り、安心した生活を取り戻せます。
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