シロアリの木くずは危険のサイン!被害の見極め方と早期対策

シロアリは建物を蝕む害虫ですが、その存在を示す明確なサインの一つが「木くず」です。
家の床や家具の周辺に細かい木くずが落ちているのを見つけたら、それはシロアリ被害の初期兆候かもしれません。
この記事では、シロアリによる木くずの特徴や、具体的な対策方法、予防策について詳しく解説します。
シロアリが発生すると木くずが出る理由

シロアリの被害を受けると、家の周囲や床下に細かい木くずが落ちることがあります。
この木くずがどのようにして発生するのか、そしてそれがシロアリの活動によるものなのかを見極めるのが大切です。
万が一、木くずの原因を知らずに放置すると、シロアリの被害が進行して家の構造が大きく損なわれる恐れがあるからです。
ここでは、シロアリと木くずの関係や木くずの特徴について詳しく説明します。
シロアリの生態と木くずの関係
シロアリは木材を栄養源としており、内部から食べ進めることで木材に空洞を作ります。
その際の、消化できない部分や排泄物が木くずとして外に排出されるのです。
この木くずは、乾燥した粉状のものから湿った粒状のものまでさまざまで、発生場所によってシロアリの種類や被害状況を推測することができます。
木くずの特徴と種類
シロアリが出す木くずには、いくつかの種類があります。
例えば、ヤマトシロアリやイエシロアリは木材の内部を湿らせながら食害するため、湿った木くずが見つかることが多いです。
一方、アメリカカンザイシロアリは乾燥した環境を好むため、粉状の乾いた木くずを排出します。
この違いを把握することで、どのタイプのシロアリが侵入しているのかを判断する手がかりになります。
木くずの原因はシロアリ以外の害虫の場合も…まずは正しく見極めることが大切!
家の中で木くずを見つけたとき、多くの人がまず心配するのがシロアリの発生です。
しかし、木くずを発生させる害虫はシロアリだけではありません。
クロアリやキクイムシ、ナガシンクイムシなど、木材に被害を与える害虫は複数存在します。
そのため、木くずの特徴や発生場所を正しく把握し、原因となっている害虫を特定することが重要です。
シロアリによる木くずの特徴
シロアリが原因の木くずは、床下や浴室周辺、玄関の木部といった、主に湿気の多い場所に発生しやすいです。
シロアリの木くずは粒状で、近くの木材に画鋲ほどの小さな穴が開いていることもあります。
シロアリは木材を内部から食害するため、見た目には被害がわかりにくいです。
クロアリによる木くずの特徴
クロアリは木材をエサにはしませんが、巣を作るために木材を削ることがあります。
そのため、木くずのようなものが出てくることがありますが、実際には土や食べかすが混ざったものが多いです。
クロアリの巣がある場合は、周辺にアリの行列ができているので、巣の場所を特定しやすいです。
キクイムシによる木くずの特徴

キクイムシが発生すると、木材に小さな穴が無数に開き、きな粉のような細かい木くずが落ちてきます。
特に家具や本棚などの木材製品に発生しやすく、成虫になったキクイムシが木材から飛び立つ際に穴を開けます。
ナガシンクイムシによる木くずの特徴
ナガシンクイムシは竹材やラワン材に被害を与えることが多く、木くずに混ざるフンが比較的大きいのが特徴です。
被害を受けた木材には、約2.5〜5mmの大きな穴が開くことがあります。
木くずを発見した際の確認ポイント
木くずを見つけた際は、すぐに家の構造部分や被害が拡大していないかを確認することが重要です。
以下のポイントをチェックして、シロアリの被害が進行しているかどうかを判断してください。
木材を叩いたときの音の違い
シロアリが侵食した木材は、内部がスカスカになっていることが多く、叩いた音に違いが現れます。
通常、健康な木材は叩くと「コンコン」と詰まった音がしますが、シロアリに食害された木材は空洞部分が多いため「ポコポコ」「ボコボコ」といった軽く響くような音になります。
特に床下の大引きや根太、壁の柱などの構造材を軽くノックして、普段とは異なる鈍い音や軽い音がする場合は注意が必要です。
この現象は、特にイエシロアリやアメリカカンザイシロアリの被害が進行している家でよく見られます。
こうした音の変化は、シロアリがすでに木材の内部を食い尽くしつつあるサインであり、早急な点検と対策が求められます。
木材の表面がもろくなっていないか
シロアリの特徴として、木材の内部を優先的に食害することが挙げられます。
これにより、表面だけがかろうじて残る状態になり、一見しただけでは被害に気付きにくいです。
しかし指で軽く押したり、爪で引っかいたりすると、木材がボロボロと崩れることがあります。
また床材の場合、歩いたときに「ミシミシ」と異音がする場合や、特定の場所が沈むような感覚がある場合は、内部が食害されている可能性があります。
特に湿気の多い場所や水回りの近くの木材は被害に遭いやすいため、定期的なチェックが大切です。
さらに木材の表面に小さな穴が開いていたり、薄皮のようにめくれていたりする場合も、シロアリ被害の兆候である可能性が高いです。
羽アリやフンの有無をチェック
シロアリの活動が活発になる時期には、羽アリが大量に発生することがあります。
特に、春先から夏にかけての湿度が高い日や雨上がりの夕方に、家の周辺や室内で羽アリを見かけた場合は注意が必要です。
羽アリはシロアリの繁殖を担う個体で、巣から飛び立った後、新たなコロニー(巣)を作るために移動します。
つまり、羽アリの発生は、すでに家の中や近くにシロアリの巣が存在している可能性が高いです。
例えば、アメリカカンザイシロアリなどの乾材シロアリの被害を見分けるポイントとして、フンの存在が挙げられます。
アメリカカンザイシロアリの場合、乾燥した木材の内部を食害しながら、食べた木のかすをフンとして外に排出します。
このフンは、非常に細かい砂のような見た目で、床や家具の近く、窓枠の隙間などに溜まっていることがあります。
また普通のホコリとは異なり、触るとサラサラしており、均一な粒状なのが特徴です。
このようなフンを見つけた場合は、すぐに周囲の木材の状態を確認し、必要に応じて専門業者に点検を依頼してください。
これらのチェックポイントを定期的に確認することで、シロアリ被害を早期に発見し、深刻なダメージを防げます。
シロアリ被害の進行を防ぐ方法
シロアリの被害を最小限に抑えるには、早期発見と適切な対策が不可欠です。
シロアリは、一度家に侵入すると短期間で木材を食害し、住宅の耐久性を著しく低下させる恐れがあります。
そのため、被害が拡大する前に適切な処置を行うことが重要です。
ここでは、シロアリの被害を防ぐための具体的な方法について解説します。
専門業者による点検と駆除
シロアリの被害が疑われる場合や、すでに家の周辺で羽アリを見かけた場合は、専門の駆除業者に点検を依頼するのが最も確実な方法です。
プロの業者は経験と専門知識を活かし、被害の有無や進行状況を正確に判断してくれます。目に見えない床下や壁内部の被害は、素人では判断が難しいため、専用の機器を使って詳細な調査を行う専門業者に依頼するのが賢明です。
業者による点検では、以下のような方法が用いられます。
打診調査 | 木材を軽く叩き、内部が空洞化していないかを確認 |
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赤外線カメラ | 壁の内部や床下の温度変化をチェックし、シロアリの活動を検知 |
薬剤散布試験 | 特定の薬剤を使用し、シロアリの反応を観察することで被害の有無を特定 |
また駆除方法としては、被害の程度に応じて次のような対策が行われます。
薬剤処理 | シロアリの侵入経路や発生源に防蟻薬剤を散布し、駆除と予防を同時に実施 |
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ベイト工法 | 毒餌を設置し、巣全体のシロアリを根絶 |
木材交換 | 深刻な被害がある場合は、食害された木材を撤去し、新しい防蟻処理済みの木材と交換 |
シロアリ駆除は、一度行えば完全に解決するわけではなく、再発のリスクも考慮する必要があります。
そのため、定期的な点検が重要です。
シロアリが侵入しにくい環境づくり
シロアリは湿気を好むため、家の床下や基礎部分の換気を良くすることが大切です。
通気性の悪い場所は湿度が高くなりやすく、シロアリが繁殖しやすい環境を作り出します。
以下の対策を実施すると、シロアリが寄り付きにくい環境を整えられます。
① 床下の換気を良くする
床下の湿度を下げるには換気口を確保し、空気の流れをスムーズにする対策が必要です。
以下の方法を実践することで、効果的に床下の湿度をコントロールができます。
換気扇の設置 | 床下用の換気扇を設置し、強制的に空気を循環させる |
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除湿剤の活用 | 床下にシリカゲルや炭などの吸湿剤を設置し、湿度を調整 |
通気口の確保 | 基礎部分に設けられた換気口が塞がれていないか定期的に確認 |
② 防蟻処理を施した木材の使用
シロアリは普通の木材を好んで食害しますが、防蟻処理が施された木材は忌避します。
新築やリフォームの際は、防蟻剤を染み込ませた木材を使用すると予防効果が高まります。
防蟻処理された木材には、以下のような種類があります。
加圧注入防蟻木材 | 薬剤を圧力で木材内部に浸透させたもので、高い耐久性を持つ |
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ホウ酸処理木材 | 人体には無害だが、シロアリには致命的なホウ酸を含む木材 |
天然防虫木材 | ヒノキやスギなど、シロアリが嫌う成分を含む木材 |
③ 家の周囲の整備
家の周囲の環境も、シロアリの侵入を防ぐうえでとても重要です。
以下の点に注意して、不要なものは捨てたり、定期的に点検を行ったりしてください。
庭の木材を整理 | 放置された木材や古い木製の家具はシロアリの格好のエサになるため、処分する |
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雨どいの清掃 | 詰まった雨どいは水漏れの原因となり、湿気を増やすため定期的に清掃する |
基礎部分に直接木材を置かない | デッキやウッドフェンスの設置時には、基礎から浮かせて施工する |
④市販の薬剤を活用する
シロアリ駆除用の薬剤を使用すると、一時的に被害を抑えられます。
市販の防蟻薬剤は、スプレータイプや液体タイプ、粉末タイプなど種類はさまざまです。
それぞれの特徴を理解し、適切に使用することで予防効果を高められます。
(1)スプレータイプの薬剤
スプレータイプの薬剤は手軽に使用できるのが特徴で、シロアリの通り道や侵入経路に直接噴射して効果を発揮します。
即効性が高いため、素早く対処したい場合は便利ですが、持続効果が短いため定期的な散布が必要です。
(2)液体タイプの薬剤
液体タイプの薬剤は、木材の表面に塗布して防蟻効果を持続させます。
床下や壁内部の木材にしっかりと浸透させることで、長期間にわたりシロアリを寄せ付けない効果が期待できます。
(3)ベイト剤(毒餌)
ベイト剤(毒餌)は、シロアリの巣全体を駆除するのに適した方法です。
このタイプの薬剤は、シロアリが餌として摂取した後に巣へ持ち帰り、仲間ごと根絶する効果が期待できます。
目に見えるシロアリだけでなく、巣に潜む個体まで確実に駆除できる点が大きなメリットです。
ただし、市販の薬剤では根本的な駆除が難しいケースもあるため、被害が進行している場合は専門業者との併用が望ましいです。
まとめ
シロアリの被害は、発見が遅れるほど深刻になります。
木くずが発生しているのを見つけた場合、それがシロアリの仕業である可能性を考えて、迅速に確認と対策を行うことが重要です。
木くずの特徴や発生場所を注意深く観察し、早期に適切な対応を取ることで、被害を最小限に抑えられます。
くわえて、シロアリを寄せ付けないための環境づくりを行い、再発を防ぐのも大切です。
自分での対策が難しいと感じた場合は、専門業者に相談して適切な処置を施してもらう方法を検討してください。
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