シロアリが飛ぶ時期と被害を防ぐための効果的な対策

シロアリが飛ぶ時期になると、家の周囲や室内で大量の羽アリを見かけることがあります。これはシロアリの繁殖行動の一環で、新たな巣を作るために発生する群飛(ぐんぴ)と呼ばれる現象です。
群飛を放置すると、建物内部でシロアリの被害が進行し、柱や床が脆くなるなど深刻な問題を引き起こす可能性があります。
本記事では、シロアリが飛ぶ時期とその特徴、発生の原因、被害を防ぐための具体的な対策について詳しく解説します。
特に羽アリを見かけた際に取るべき対応や、シロアリの侵入を防ぐための予防策についても紹介するので、シロアリ被害を未然に防ぎたい人はぜひ参考にしてください。
シロアリが飛ぶ時期
シロアリは普段、人目につかない場所で静かに活動していますが、ある特定の時期になると羽アリとなり、巣から飛び立ちます。
この行動は「群飛(ぐんぴ)」と呼ばれ、シロアリの繁殖にとって欠かせないものです。
群飛が起こる時期を把握しておくと、シロアリの発生をいち早く察知し、被害を未然に防げます。
ここでは、シロアリが飛ぶ目的や、種類ごとの群飛の特徴について解説します。
シロアリが飛ぶ目的
シロアリは普段、木材や地中の中に巣を作り、外に出ることはほとんどありません。
しかし、繁殖のためのタイミングが来ると、巣の中で育った羽アリが一斉に飛び立ちます。これが、群飛です。
群飛によってオスとメスが新たなパートナーを見つけ、より適した環境で新しいコロニー(巣)を作ることができます。
この行動は、シロアリの生存戦略の一つであり、特に気温や湿度が安定した時期に行われます。
もし自宅周辺で大量の羽アリを見かけたら、すでに近くに巣がある可能性があるため注意が必要です。
シロアリが飛ぶ時期と種類ごとの違い
シロアリが飛ぶ時期は、種類によって異なります。
日本で代表的なシロアリである「ヤマトシロアリ」と「イエシロアリ」には、それぞれ異なる群飛の特徴があります。
シロアリの種類 | 発生する時期 | 発生する時間帯 |
---|---|---|
ヤマトシロアリ | 4〜5月 | 日中(10時〜正午ごろ) |
アメリカカンザイシロアリ | 6月〜7月 | 日中 |
イエシロアリ | 日没後 | |
トビイロケアリ | ||
キイロシリアゲアリ | 9月 | 日没後 |
サクラアリ | 10〜11月 | 午前中 |
例えばヤマトシロアリは、4〜5月の暖かい昼間に飛び立ちます。
湿気の多い環境を好み、比較的近距離で巣を作るのが特徴です。
家の近くでヤマトシロアリの羽アリを見かけた場合、その周辺にすでに巣が存在している可能性が高いため、早めの対策が必要です。
イエシロアリの場合は、6〜7月の蒸し暑い夜間に群飛します。
ヤマトシロアリよりも大型のコロニーを形成し、被害が広範囲に及ぶのが特徴です。
また飛ぶ距離も長いため、新たな巣が遠くに作られる可能性があります。
特に沿岸部や湿気の多い地域では、イエシロアリの被害が発生しやすい傾向にあります。
シロアリが飛ぶ時期に見られる兆候
シロアリが飛ぶ時期は、家の周辺や室内でいくつかの特徴的な兆候が現れます。
これらの兆候を見逃さずに対処するのが、被害の拡大を防ぐ第一歩となります。
羽アリの発生と特徴
シロアリが飛ぶ時期になると、屋内や建物の周辺で大量の羽アリを見かける場合があります。
羽アリは、特に梅雨の時期や湿度が高い日に多く発生し、建物の隙間や基礎部分、浴室や窓際に集まりやすいのが特徴です。
また、光に引き寄せられる習性を持っているため、夜間に屋外照明や室内の明かりによく群がります。
もし自宅の玄関やベランダの照明付近、網戸の周りに羽アリが集まっているのを見かけた場合、近くにシロアリの巣がある可能性が高いため注意が必要です。
しかし、羽アリはシロアリだけでなくクロアリにも発生するため、どちらの羽アリかを見分けるのが重要です。
シロアリの羽アリとクロアリの羽アリは外見が似ていますが、以下の特徴で区別できます。
特徴 | シロアリの羽アリ | クロアリの羽アリ |
---|---|---|
翅の大きさ | 4枚とも同じ大きさ | 前翅が後翅より大きい |
胴体の形状 | くびれがなく寸胴 | くびれがありスリム |
体の色 | 白っぽいクリーム色 | 黒や暗褐色 |
体の質感 | 柔らかい | 硬い |
触角の形 | 数珠状で緩やかにカーブ | L字やV字に折れ曲がる |
行動 | 湿気を好み、木材や土の中で生活 | 地上を歩き回ることが多い |
シロアリの羽アリは、新しい巣を作るために群飛する繁殖個体です。
翅(はね)は4枚とも同じ大きさで、透明感のある乳白色をしています。
胴体にはくびれがなく寸胴な体型で、全体的に白っぽく柔らかい体が特徴です。
触角は数珠状で、湿気を好むため梅雨時期や雨の翌日に多く発生します。
一方、クロアリの羽アリは、前翅が後翅より大きく翅に筋(翅脈)が入っています。
胴体には明確なくびれがあり、スリムな体型をしています。
体の色は黒や暗褐色で、外骨格がしっかりしているため硬い質感です。
触角は「L」や「V」の形に折れ曲がっており、気温の高い日に活発に飛び回る習性があります。
これらの違いを理解しておけば、自宅や周辺で羽アリを見かけた際、シロアリによる被害の可能性があるかどうかを素早く判断できます。
シロアリの羽アリが発生している場合は、すでに建物内に巣がある可能性が高いため、早急に専門家へ相談して、被害を最小限に抑える対策を取りましょう。
羽の大量落下
シロアリの羽アリは、飛び立った後に適した場所を見つけると地面や床に降り立ち、そこで羽を落とします。
これは新しい巣を作る準備の一環であり、繁殖が始まる前兆です。
もし窓際や玄関、床の隅などに大量の羽が落ちているのを見つけたら、すでにシロアリが家の中に侵入して、巣作りを始めている可能性があります。
特に、畳や木製家具の周辺で羽が見つかった場合は、建物の内部で被害が進行している恐れがあるため注意が必要です。
シロアリの羽はクロアリのものよりも薄く、触ると簡単に崩れる特徴があります。
床や窓際に壊れやすい羽が散らばっていたら、シロアリが活発に活動しているサインかもしれません。
羽が落ちている場所の周りに木くずや土のようなものが溜まっている場合は、シロアリが木材を食べている証拠です。
このように、羽アリの発生だけでなく、落ちている羽の有無にも注意することが大切です。もし家の中や敷地内で異変を感じたら、被害が広がる前に専門業者に相談し、適切な対策を講じることをおすすめします。
シロアリが飛ぶ時期の効果的な対策
シロアリが群飛する時期に適切な対策を講じると、家屋への被害を最小限に抑えられます。
事前の予防をしっかり行い、飛ぶ時期には迅速な対応を取ることが重要です。
事前にできる予防策
シロアリは湿気の多い環境を好むため、家の内部を乾燥させることが大切です。
床下や押し入れの換気を十分に行い、風通しを確保して湿気がこもらないようにしてください。
特に梅雨の時期や湿気の多い地域では、除湿機や換気扇を活用して、適度な湿度を保つのが効果的な対策です。
家の定期的な点検も、予防には欠かせません。
基礎部分や外壁にひび割れがないかを確認し、劣化した箇所があれば早めに補修して、シロアリの侵入を防ぎましょう。
シロアリはわずか1ミリ程度の隙間からでも侵入できるため、小さなひびでも放置せずに早急な対処が求められます。
さらに、雨漏りや水漏れが発生していないか定期的に点検し、水回りや屋根、ベランダの防水状態を確認すると、シロアリが発生しやすい湿気を抑えられます。
こうした対策を徹底することで、シロアリが好む環境を作らせず、被害を未然に防げます。
飛ぶ時期にすべき緊急対策
シロアリが飛んでいるのを目撃したら、すでに近くに巣がある可能性が高いため、迅速な対応が求められます。
まず、窓際や照明の周りに集まる羽アリを掃除しながら、どこから侵入しているのかを確認します。
発生源を特定すると、被害の拡大を防ぐための適切な対策を講じやすくなります。
また、シロアリの侵入を防ぐために、窓や換気口を一時的に閉じるのも効果的です。
外部から新たに飛び込んでくる個体を防ぎ、建物内での繁殖を食い止められます。
羽アリの発生は、すでに巣が存在している可能性を示すため、自己判断だけで対処するのは大変危険です。
できるだけ早く専門業者に依頼し、建物全体の調査を行ってもらうことで、被害の状況を正確に把握し、適切な駆除や予防策を実施できます。
飛ぶ時期の対応を素早く行うと、シロアリによる被害を最小限に抑えられます。
シロアリ被害を防ぐためにはプロの点検が重要

シロアリの被害を未然に防ぐためには、専門業者による定期的な点検が欠かせません。
シロアリは、木材の内部や床下などの普段目につきにくい場所に巣を作るため、異変に気づいたときにはすでに被害が深刻化している場合が多いです。
そのため、プロの目で建物全体を調査し、早期発見・早期対策を行うのが重要です。
シロアリ被害の再発を防ぐために定期点検が必要
過去にシロアリ被害を受けたことがある住宅は、再発のリスクが高いため、最低でも年に一度は専門業者による点検を受けることをおすすめします。
理由としては、シロアリを完全に駆除したと思っても、土中や建物の基礎部分に残った個体が再び繁殖して被害が繰り返されるケースが少なくないからです。
駆除後も定期的な点検を行い、わずかな異変にも迅速に対応できるようにしておくのが大切です。
シロアリ被害が進行すると建物の耐久性が低下する
シロアリの被害が進むと、建物の構造そのものに深刻なダメージを与えます。
例えば、柱や床がシロアリに食害されると、内部がスカスカになり、耐震性が著しく低下します。
その結果、地震が発生した際に建物が倒壊するリスクが高まります。
修繕が必要になった場合、高額な費用がかかることもあるため、事前の点検と早めの対策が不可欠です。
湿気対策もシロアリ予防に効果的
シロアリは湿気の多い環境を好むため、点検時には床下や基礎部分の湿度チェックを行い、必要に応じて除湿対策を施すのも大切です。
換気が不十分な場所はシロアリの発生リスクが高まるため、業者による点検では、通気性を確保するためのアドバイスや、防湿シートの設置などの提案を受けられます。
シロアリが発生しやすい環境を作らないことも重要
シロアリが発生しやすい時期には、家の周囲に不要な木材やダンボールを放置しないでください。
これらはシロアリの格好のエサとなり、知らないうちに巣が作られてしまうからです。
定期点検の際は、こうした環境要因もしっかりと見直して、シロアリが寄り付きにくい環境づくりを進めることが大切です。
まとめ
シロアリは、一度発生すると短期間で大きな被害をもたらす厄介な害虫です。
しかし、定期的な点検と早めの対策で、被害を最小限に抑えることができます。
特にシロアリが飛ぶ時期には、目に見える被害がなくても専門業者に調査を依頼し、早期対策を講じるのが大切です。
建物を長く安心して使い続けるためにも、シロアリ対策を後回しにせず、プロのチェックを定期的に受けるようにしてください。
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