知らないと危険!茶色のシロアリの見分け方と対処方法を紹介
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シロアリは、その名前から想像して白色だと思い込んでいる人も多いでしょう。
実は、茶色のシロアリも存在しますが見分けが難しく、対応を怠ると被害が深刻化するケースがあります。
この記事では、茶色のシロアリの見分け方と対処方法についてわかりやすく紹介します。
茶色で羽の生えたシロアリは「イエシロアリ」
よく見かけるシロアリの体は、イメージ通り白色の場合が多いです。
しかし、成長すると、羽が生えて体が茶色に変化するシロアリがいます。
茶色の羽アリを見かけたら、シロアリの可能性が高いでしょう。
そして、日本国内で見かける茶色の羽アリは、主に「イエシロアリ」という種類です。
イエシロアリの特徴
イエシロアリの特徴としては、以下が挙げられます。
- 体長は約7~8mm、羽を含めると約13~14mm
- 羽アリの発生ピークは5~7月頃
- 夜間に飛ぶ
- 羽アリは繁殖場所が見つかると羽を落とす
- オスとメスがペアで行動する
イエシロアリの体長は約7~8mmで、羽を含めると13~14mmほどになります。
小さいですが、羽が生えたイエシロアリは成虫です。
幼虫は巣の中にいるため、ほとんど見かけることはありません。
巣の中にいた幼虫は羽アリに成長し、5月頃になると巣から飛び立ちます。
イエシロアリが群れとなって飛ぶのは5〜7月頃が多く、さらに夜間に飛ぶのもイエシロアリの特徴です。
光に群がる性質を持っており、街灯やライトの下に群がる様子が見られます。
飛び立った羽アリは、繁殖できる場所を探し出すと、自分の羽を落とします。
落ちている羽でイエシロアリの被害に気づくこともあるでしょう。
羽を落としたイエシロアリは、繁殖のためにオスとメスの2匹で行動します。
イエシロアリの見分け方
イエシロアリの見分け方のポイントは以下の通りです。
- 全体的に薄茶色の体
- 2匹ペアで行動することがある
- 兵アリは卵型の頭
- 攻撃的な兵アリ
- 千葉県以南に生息
イエシロアリの体は全体的に薄茶色を帯びているため、体の一部分が茶色の虫は違う種類の虫である可能性があります。
色で見分けるのに加えて、シロアリが2匹ペアでいる様子を発見したら、イエシロアリを疑いましょう。
また、巣を守る役目を担う兵アリの頭の形で見分けることも可能です。
代表的なシロアリであるヤマトシロアリの頭は長方形ですが、イエシロアリの頭は卵型です。
しかし、働きアリの見た目はほぼ同じであるため、素人が見分けるのは難しいでしょう。
ほかに、兵アリの攻撃性も判断材料です。
イエシロアリの兵アリは、頭から伸びるハサミ型の大顎を用いて敵に対して攻撃します。
さらに、粘性のある乳白色の液体を分泌し、敵の行動を防ぎます。
加えて、イエシロアリは寒い地方では見かけることは少なく、主な生息地域は千葉県より南です。
このような情報を元にして、見分けると良いでしょう。
もし、イエシロアリの被害がある場合は早急な対処が必要となるため、見分けがつかなかった時は、専門業者に点検してもらうことをおすすめします。
イエシロアリの危険性
イエシロアリは、非常に危険なシロアリと言われています。
家に侵入して侵食を始めると、大きな被害を及ぼします。
イエシロアリが危険と言われる理由を、以下で見ていきましょう。
被害規模が大きい
イエシロアリによる被害は、他のシロアリ被害に比べて規模が大きくなります。
シロアリは、湿って柔らかくなった木材を標的にして侵食します。
しかし、イエシロアリは巣から遠く離れた場所まで水を運べるため、乾いた木材を湿らせて侵食することが可能です。
通常、シロアリは床下など地面に近い部分から侵入することが多いですが、水を運べる性質により、イエシロアリは2階の木材を狙って侵入してくることもあります。
また、被害が広がるスピードも早いです。
繁殖力が高い
家に被害をもたらす代表的なシロアリとして、ヤマトシロアリが挙げられます。
ヤマトシロアリは、1日に約25〜30個を産卵します。
対して、イエシロアリの繁殖力は、1日に300個を産卵できるほどです。
繁殖力の差から、ヤマトシロアリの巣が数万匹の規模であるのに対し、イエシロアリは100万匹の規模と言われています。
このように、イエシロアリが家に侵入して棲みつくと、恐ろしい繁殖力で増えます。
巣の中に収まりきらなくなったイエシロアリが羽アリとなって飛び立つため、被害には気づきやすいでしょう。
木材の侵食スピードが早い
イエシロアリは、木材を侵食するスピードが早いです。
1匹が侵食する量はわずかでも、巣の規模が大きいため、侵食スピードは早いです。
また、水を運べることからどんな場所でも侵入していくため、侵食範囲が広がりやすい傾向にあります。
イエシロアリの被害は、家に大きな問題を及ぼす可能性があるため、早急に駆除をする必要があります。
「イエシロアリ」に似た茶色の虫
イエシロアリは全体的に茶色を帯びていますが、体が茶色の虫は他にもいます。
イエシロアリと間違えやすい虫とその特徴を、以下で紹介します。
ヤマトシロアリ
シロアリ被害は、ヤマトシロアリによるものが多いです。
兵アリは全体的に茶色を帯びているため、イエシロアリと間違えやすいです。
頭の形が長方形であることが、卵型の頭をしたイエシロアリと区別するポイントになります。
また、ヤマトシロアリの羽アリは黒に近い色をしているため、イエシロアリの羽アリと区別がつきやすいでしょう。
日本全国に分布しているため、どの地域でも被害に遭う可能性があります。
アメリカカンザイシロアリ
アメリカカンザイシロアリは、羽アリになると濃い茶色を帯びるため、イエシロアリの見た目と間違えやすいです。
しかし、羽アリが見られる時期は7〜9月であり、イエシロアリより暑い季節です。
アメリカカンザイシロアリは乾燥に強く、建物のみでなく家具や畳も侵食します。
側面に6本線の入った米俵型という特徴的な糞をするため、室内で見かけた場合はアメリカカンザイシロアリを疑いましょう。
シロアリは、床下など湿気がこもりやすい場所から侵入するのが一般的です。
しかし、アメリカカンザイシロアリは侵入経路が特定されにくいため、駆除が難しいと言われています。
アメリカカンザイシロアリは外来種で、発生地域は局地的です。
クロアリ
クロアリの羽アリは、イエシロアリの羽アリに似ています。
クロアリにもさまざまな種類がいるので、多少の違いはありますが、体の色はおおむね黒や茶色です。
色で区別できない場合は、体形を見ると良いでしょう。
寸胴型のシロアリに対し、クロアリはくびれがある胴体です。
クロアリはシロアリと違い、家を侵食することはありませんが、糖分を含むものに群がる性質があるため室内に侵入してくる可能性があります。
キノコバエ
キノコバエは、黒に近い茶色で羽が生えており、見た目からイエシロアリと間違えやすいです。
ただし、大きさは1〜2mmとイエシロアリと比べると非常に小さい点では、見分けがつきやすいでしょう。
キノコバエは、イエシロアリと同じく6月頃に群れで飛ぶ姿が見られます。
しかし、夜間に飛ぶイエシロアリと異なり、午前中に飛ぶことが多いです。
湿度が高い時期や場所に発生しやすく、家の近くに植物が群生していると、網戸のすき間から室内に侵入してきます。
メイガ
メイガは蛾の一種で、羽を閉じて止まる姿がイエシロアリの羽アリに似ています。
家の中で見られる主なメイガは、ノシメマダラメイガです。
イエシロアリの羽アリと大きさは近いですが、羽の色が灰褐色と赤褐色の2色に分かれている点で大きく異なります。
農作物や樹木を侵食する性質を持ち、家の中だと食品に群がります。
羽の生えた成虫は食品に産卵し、大量にメイガが発生することがあるため、注意しましょう。
イエシロアリによる家の被害と兆候とは
イエシロアリの被害に遭った際、家の中や周りに見られる兆候として、以下が挙げられます。
- 木材の表面に凹凸が見られる
- 木材が穴が見られる
- 床がきしむ
- 壁を叩くと空洞音がする
- 木材の近くに木の粉が落ちている
- 床下や家の側面に幅が広く太い蟻道が見られる
- 家の中や敷地内に羽アリが飛んでいる
イエシロアリの被害に遭うと、木材の空洞化を起こしやすいです。
さらに、他のシロアリは木の中を好んで侵食しますが、水を運ぶことを得意とするイエシロアリは固い表面も侵食できます。
イエシロアリによる家の被害は、一般的なシロアリ被害に比べて範囲が広く、深刻な場合が多いです。
イエシロアリは家の中に大きな巣を作らず、「本巣」と言われるメインの巣は地中に作ります。
家の中に侵入すると、さまざまな場所に「分巣」といわれる中継地点を作り、さらに侵食範囲を広げていきます。
よく見られるヤマトシロアリは、侵入した家に棲みつき、巣を形成しますが、イエシロアリにとっての家の木材はエサの役割でしかありません。
そのため、侵食された木材には土はついていないことがほとんどで、食べられた痕跡のみ残っています。
また、イエシロアリが家に侵入する際、「蟻道」を作るのは他のシロアリと同様です。
しかし、一般的に見られる線のように細い蟻道ではなく、幅の広い大きな蟻道を作るという特徴があります。
これは、イエシロアリが水を運ぶ能力を活かすためのものです。
蟻道を大きく、太くすることで、地面から離れた場所まで水を運び、侵食範囲を広げられます。
巣の中で繁殖しすぎたイエシロアリは羽アリとなって外に飛び立つため、羽アリを見かけた場合は、近くに巣がある可能性があります。
羽アリが家の敷地内で発生しているのか、敷地外から一部が飛んできたのか、様子を見極めましょう。
茶色のシロアリを見つけたらやるべきこと
茶色いシロアリのような虫を見つけた場合、その特徴からどんな虫かを判断する必要があります。
その虫がイエシロアリや他のシロアリと思われる場合、以下のように対処しましょう。
掃除機で吸い込む
掃除機を用いると、一気に大量のシロアリを吸い込み、駆除できます。
非常に柔らかいシロアリの体は外からの力に弱く、掃除機の吸引力で簡単に死滅します。
吸引した際に死滅しなかった場合も、ダストボックス内にしばらく置いておくとほとんど死滅するため、中で繁殖する心配はありません。
また、ダストボックス内のシロアリは処分せず、そのまま置いておきましょう。
専門業者に依頼した際、種類の判別をするために必要だからです。
粘着性のあるテープで押す
ガムテープや粘着テープでシロアリを押して駆除する方法もおすすめです。
皮膚呼吸をしているシロアリは、粘着剤が体の表面に付着すると呼吸ができなくなり、死滅します。
シロアリは外からの力に弱いため、押す力によっても死滅します。
掃除機が届かない場所で駆除する場合や、掃除機を用いることを避けたい場合に有効です。
また、侵入経路がわかった場合、すき間をテープで塞ぐとシロアリが室内に侵入するのを防止できます。
掃除機で駆除した時と同様、駆除したテープも保管しておくと、専門業者の対応に活用可能です。
シャワーで水をかける
外からの力に弱いシロアリは、シャワーの水圧で死滅します。
羽アリにもシャワーは有効なため、外で羽アリを見かけたら勢い良くシャワーをかけると良いでしょう。
もし、風呂場などでシロアリを見つけたら、高温のシャワーをかけるのも効果的です。
シロアリは、高い温度と水圧で完全に死滅します。
高温のシャワーを用いる際は、やけどに注意しましょう。
殺虫剤は使用しない
虫を見つけると殺虫剤を使いたくなりますが、殺虫剤の使用はおすすめしません。
殺虫剤は虫を寄せつけない「忌避剤」を含むものが多く、使用するとシロアリが逃げてしまい、巣の特定ができなくなる場合があります。
それだけでなく、移動した先で棲みつき、被害が拡大する恐れもあります。
また、殺虫剤の作用が続く期間はさまざまで、被害状況によって使い分けをするのは難しいです。
さらに、殺虫剤には人や動物の体に影響を及ぼすものもあるため、注意が必要です。
薬剤を用いて駆除する
シロアリを完全に駆除するには、シロアリ駆除用の薬剤を使うのが効果的です。
薬剤を用いた駆除方法は、主に2つあります。
それぞれホームセンターで購入できる薬剤もありますが、専門知識や装備が必要となるため、専門業者に依頼するのがおすすめです。
専門業者に依頼すると、被害状況の点検をした上で状況に応じて適切な駆除方法を選択できます。
バリア工法
バリア工法は、巣やシロアリに直接薬剤を噴きつける駆除方法です。
薬剤を散布すると、すぐに効果が現れるのが利点です。
シロアリが活動していなくても、木材に散布すると予防効果も得られます。
床下で駆除作業を行う場合は、しっかりと換気し、体を防護する必要があります。
被害状況によっては広範囲に薬剤を散布するため、薬アレルギーがある人は注意が必要です。
ベイト工法
ベイト工法は、毒が含まれたエサであるベイト剤を用いた駆除方法です。
シロアリの行動範囲にベイト剤を設置すると、引き寄せられたシロアリがベイト剤に食いつきます。
ベイト剤を食べたシロアリが巣に帰ると、毒が巣の中で共有されて、巣にいるシロアリをまとめて駆除できるのです。
毒が共有されれば一気に巣を撲滅できますが、シロアリの動きによって効果が得られるため、ある程度の時間を要します。
また、ベイト剤を定期的に補充する手間も必要です。
ただし、ベイト剤は室外に設置するため、ペットや子どもの手に触れることがない点では安心でしょう。
茶色のシロアリを寄せつけない家づくりとは
茶色のシロアリの一種であるイエシロアリが家に棲みつくと、家に重大な問題を及ぼすことがあります。
イエシロアリ以外のシロアリによる被害も、駆除するのに多大な費用と労力を要します。
それだけでなく、心身へのストレスを感じるでしょう。
そうならないために、日頃から茶色のシロアリを寄せつけない家づくりを心がけることが大切です。
侵入経路になりやすい場所の換気と除湿を行う
シロアリの侵入経路になりやすい場所は、床下や玄関周りと言われています。
それらの場所の換気や除湿を、普段から行いましょう。
湿気を含み、柔らかくなった木材はシロアリに狙われやすいです。
換気ができるところは通気性を保つようにし、床下など換気が難しい場所は床下換気扇や除湿剤などを設置します。
床下換気扇や除湿剤は、ホームセンターでも手に入ります。
湿度が高い状態が続くと、カビが発生しやすいです。
カビの生えた木材は、シロアリの標的になります。
湿気が逃げにくい場所には、防カビ剤を散布する方法が有効です。
カビを防ぐことが、シロアリを防ぐことにつながるでしょう。
家の外に木材やダンボールを放置しない
家の外に放置した木材やダンボールにシロアリが引き寄せられ、家の中に侵入するケースがあります。
木材やダンボールに含まれるセルロースは、シロアリの好物です。
さらに、湿った状態だとさらにシロアリを引き寄せます。
家の周りは清潔に保ち、シロアリのエサになるものを放置しないように心がけましょう。
定期的に家の点検を行う
定期的な家の点検は、シロアリの予防と被害の早期発見につながります。
家の点検をすることで、雨漏りや水漏れに気づくことがあるでしょう。
雨漏りや水漏れが原因で家の木材が湿ったり、腐食したりすると、シロアリが侵入しやすい環境になってしまいます。
特に床下には漏れた水が溜まりやすいため、注意深く点検することをおすすめします。
床下通用口がある家では、侵入経路になりやすい床下の点検をして、清潔に保つよう努めましょう。
また、点検の際にシロアリの侵入サインである蟻道を見つけ、被害を最小限に抑えられる場合もあります。
まとめ
茶色のシロアリのような虫の中には、非常に危険なイエシロアリがいます。
茶色の羽アリを見つけた場合、イエシロアリの可能性が非常に高いでしょう。
イエシロアリの巣には膨大な数のイエシロアリが存在し、巣に入りきらなくなったイエシロアリが羽アリとなって飛び立ちます。
飛び立った羽アリは繁殖をし、さらに数が増えていくため、家に侵入すると被害が大きくなります。
被害に遭わないためにも、普段からシロアリを寄せつけない家づくりを心がけることが大切です。
イエシロアリを発見した場合は、自分でできる範囲で駆除した後は専門業者に被害状況の点検と駆除を依頼するのがおすすめです。
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