ツヤクロスズメバチに遭遇したら?巣の場所や駆除方法も解説

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あたたかい季節になると活動を始めるスズメバチは、住宅や車庫など人が生活をしている場所にも巣をつくることがあります。
スズメバチにはさまざまな種類が存在しますが、ツヤクロスズメバチもスズメバチの一種です。
この記事では、ツヤクロスズメバチを見かけたときや刺されてしまった場合の対処法、巣を駆除するのに適した時期や気を付けることなどについて解説します。
・ツヤクロスズメバチの特徴
・ツヤクロスズメバチの危険性
・ツヤクロスズメバチや巣の見分け方
・ツヤクロスズメバチに刺されたときの対処法
・スズメバチの危険性や駆除の方法
スズメバチとは
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スズメバチは生物の仲間として、ハチ目細腰亜目有剣下目スズメバチ上科スズメバチ科スズメバチ亜科に属する昆虫の総称です。
スズメバチ亜科はさらに、スズメバチ属(Vespa)、クロスズメバチ属(Vespula)、ホオナガスズメバチ属(Dolichovespula)、ヤミスズメバチ属(Provespa)の4種類に分けられます。
| スズメバチの分類 | 種類 |
| スズメバチ属 (Vespa) |
オオスズメバチ、キイロスズメバチ、モンスズメバチ、チャイロスズメバチ、ツマグロスズメバチ、ツマアカスズメバチ、コガタスズメバチ、ヒメスズメバチ など |
| クロスズメバチ属 (Vespula) |
ツヤクロスズメバチ、クロスズメバチ、シダクロスズメバチ、キオビクロスズメバチ など |
| ホオナガスズメバチ属 (Dolichovespula) |
ヤドリホオナガスズメバチ、キオビホオナガスズメバチ、シロオビホオナガスズメバチ、ニッポンホオナガスズメバチ など |
| ヤミスズメバチ属 (Provespa) |
ナミヤミスズメバチ、タイリクヤミスズメバチ、オオヤミスズメバチ |
日本ではスズメバチ属・クロスズメバチ属・ホオナガスズメバチ属の3種類のスズメバチが生息しています。
スズメバチ亜科の4種類のうち、この記事で紹介するツヤクロスズメバチは、クロスズメバチ属の分類です。

クロスズメバチ属は単眼が頭頂部に近く、複眼と顎の距離が近いのが特徴です。
全体が黒色で白色や淡い黄色の模様が入っており、足は黄褐色で、黒色の頭および胸部には長い毛が生えています。
日本産有剣ハチ類図鑑|寺山守・須田博久 編著
ツヤクロスズメバチってどんなハチ?

ツヤクロスズメバチの基本情報
| 和名 | ツヤクロスズメバチ |
| 学名 | Vespula rufa |
| 分類 | ハチ目細腰亜目有剣下目スズメバチ上科スズメバチ科スズメバチ亜科クロスズメバチ属 |
| 体長 | 女王バチ:1.6~1.9cm 働きバチ:1.2~1.6cm オスバチ:1.3~1.7cm |
| 巣の場所 | 閉鎖空間(土の中、稲わらの中、家の壁間など) |
| 巣の規模 | 巣盤:3枚以下 育房:400~1500房 |
| 巣の特徴 | 灰色 素材は枯れた草や木の繊維質部分で和紙のように丈夫 |
| 主な餌 | 幼虫:ガなどの生きた昆虫 成虫:幼虫の分泌液や樹液など |
| 生息域 | 北海道、本州、四国、九州、朝鮮半島、極東ロシア、東シベリア |
ツヤクロスズメバチは、クロスズメバチ属に分類されます。
ツヤクロスズメバチは名前のとおり、全体が黒色のスズメバチで少し光沢感があるのが特徴です。
生息域は全国に渡りますが、本州、四国、九州では500~2000mの山地でのみ生息が確認されています。
日本産有剣ハチ類図鑑|寺山守・須田博久 編著
ツヤクロスズメバチの生態

ツヤクロスズメバチは他のスズメバチと比較するとサイズが小さいです。
スズメバチのなかでもっとも大きいオオスズメバチが体長3.0~5.0cmに対して、ツヤクロスズメバチは1.2~1.9cmとなっています。
ツヤクロスズメバチを含むスズメバチ全般は、集団で生活する社会性昆虫です。
社会性昆虫は、女王バチのような産卵をする個体と、働きバチのようなメスでありながら産卵をしない個体、繁殖行動を行うためだけに存在するオスバチが、子孫を残すために群れをつくり、ともに生活する昆虫です。
女王バチ、働きバチ、オスバチは以下のように行動や役割を分担しています。
| ツヤクロスズメバチの分業 | |
| 初代女王バチ | ・初期巣の形成(巣づくり、餌集め、初期の幼虫の育成) ・産卵 ・毒針を持つ |
| 働きバチ (メスのみ) |
・巣の拡張と維持 ・幼虫の育成(狩りをして餌を運ぶ) ・巣内の温度調節 ・外敵から群れを守る ・毒針を持つ |
| オスバチ | ・新女王バチとの交尾 ・巣の拡張や幼虫の育成はしない ・毒針を持たない |
| 新女王バチ | ・オスバチと交尾をしたのちに越冬 ・翌年の春から初期巣のを形成し産卵 |
スズメバチの毒針はメスの産卵管が変化した部位のため、メスである女王バチと働きバチだけが毒針を持ち、オスバチは毒針を持っていません。
成虫は狩りをしますが、あくまで自分の餌ではなく幼虫の餌を確保するためです。
初代女王バチ
初代女王バチの活動は、単独での巣づくりから始まります。
巣が完成した後は、働きバチを増やすために産卵・幼虫の育成をします。
働きバチが育つまでの間は幼虫のための餌集めも単独で行います。
働きバチ
初代女王バチの産卵から1か月以上経つと働きバチが誕生し、名前のとおり群れのために働き続けます。
毒針を持つ働きバチは、外敵を追い払い群れを守る役割の他、初代女王バチが単独でつくった巣の拡大や、女王バチが産んだ幼虫の育成、幼虫のための餌狩りも行います。
また、巣の温度が高すぎて卵や幼虫が死んでしまわないよう、巣の内部を温度調節するのも働きバチの役割の1つです。
具体的には、温度を下げるために巣の入り口で羽を震わせて風を送ったり、水を口に含んで巣に持ち込み、繭に塗ってさらに羽で空気を送ることによる気化熱で内部から巣を冷やしたりします。
オスバチ
8月上旬から10月上旬になるとオスバチが羽化します。
オスバチの役割は新女王バチとの繁殖行動のみで、働きバチと異なり、巣の拡充や幼虫の育成は行いません。
次世代の群れをつくるために、新女王バチと交尾をしたのち、死滅します。
新女王バチ
新女王バチはオスバチと同じ8月上旬から10月上旬に羽化します。
初代女王バチが役割を終えると、新女王バチは栄養を蓄え、オスバチと交尾して越冬に入ります。
女王バチが冬眠をする場所は雑木林の倒木や朽ち木、切り株、落ち葉、稲わらなどです。
翌年の春に越冬から目覚めた女王バチは、初代女王バチとして単独で巣づくりや産卵を行い、新たな群れをつくります。
ツヤクロスズメバチの攻撃性について

ツヤクロスズメバチを含むクロスズメバチ属は、他のスズメバチよりも攻撃性が低いです。
攻撃性が低いといっても、何をしても襲ってこないわけではありません。
ツヤクロスズメバチの成虫や巣を刺激してしまうと、攻撃される可能性が高く、毒針に刺されると痛みや腫れが生じ、アナフィラキシーショックを起こす恐れがあるのは他のスズメバチと同様です。
自分の身を守るためにも、ツヤクロスズメバチや巣を見つけても近づかず、気づいたら静かに離れるようにしましょう。
ツヤクロスズメバチと見間違いやすいハチ

ツヤクロスズメバチと見た目が似ているのがクロスズメバチです。
その生態や見た目、見分け方についても解説します。
クロスズメバチ

クロスズメバチの基本情報
| 和名 | クロスズメバチ |
| 学名 | Vespula flaviceps |
| 体長 | 女王バチ:1.4~1.6cm 働きバチ:1.0~1.3cm オスバチ:1.2~1.4cm |
| 巣の場所 | 閉鎖空間(主に土の中) 稀に木の洞、建物の屋根裏や壁の隙間 |
| 巣の規模 | 巣盤:8~12枚 育房:8,000~12,000房 |
| 巣の特徴 | 茶色または黄褐色 |
| 主な餌 | 幼虫:クモや昆虫などを肉団子状にしたもの 成虫:幼虫の分泌液や樹液など |
| 生息域 | 北海道、本州、四国、九州、対馬、朝鮮半島、台湾、中国、ロシア(沿海州)、インド、ミャンマー |
クロスズメバチもツヤクロスズメバチと同じクロスズメバチ属に分類され、小型で攻撃性が低いスズメバチです。
全体が黒色であることからクロスズメバチと名づけられています。
ツヤクロスズメバチとクロスズメバチの見分け方

| ツヤクロスズメバチとクロスズメバチの違い | ||
| 種類 | ツヤクロスズメバチ | クロスズメバチ |
| 見た目 | 腹部の第1節背板水平部に中央で途切れた白帯を持つ | 腹部の白色(もしくは淡い黄色)は横縞 |
ツヤクロスズメバチとクロスズメバチは、体全体が黒色で白色や淡い黄色の模様が入っており、大きさ含めて見た目がよく似ています。
違いは腹部の模様で、ツヤクロスズメバチは腹部の頭側に位置する第1節背板水平部に、真ん中で途切れたような2つの白帯模様が入っているのがもっとも大きな特徴です。
第2節背板より後ろは横縞ですが、ツヤクロスズメバチの女王バチの場合、第2節背板も途切れた白帯模様になっていることがあります。
一方、クロスズメバチの腹部の模様は白色や淡い黄色の横縞で、真ん中で途切れた部分はありません。
ミニガイドNo.6「スズメバチとアシナガバチ」|大阪市立自然史博物館(編著:金沢至・松本吏樹郎 図:金沢至、故 日浦勇、松本吏樹郎)発行:特定非営利活動法人 大阪自然史センター
ツヤクロスズメバチの巣の見分け方

ツヤクロスズメバチはどんな巣をつくる?
ツヤクロスズメバチは主に土の中や木の洞、まれに建物の屋根裏や壁の隙間など、閉鎖的な場所に巣をつくります。
| 巣の見た目 | 灰色の和紙状 |
| 巣をつくる場所 | 閉鎖空間(主に土の中や木の洞、まれに屋根裏や壁間) |
| 巣の規模 | 巣盤:3枚以下 育房:400~1500房 5月中旬~7月上旬:女王バチ単独で巣づくりが始まり、まだ小規模 7月上旬~8月上旬:働きバチも巣づくりに参加し、働きバチが増えることで巣が大きくなり、規模が最大に |
ツヤクロスズメバチの巣は灰色の和紙状です。
見た目が似ているクロスズメバチの巣は茶色や黄褐色で丸い形をしているので、ツヤクロスズメバチの巣の見た目とは色が異なります。
また、ツヤクロスズメバチの巣の規模は他のスズメバチに比べて小さく、同属のクロスズメバチの巣が10000房を越えることもあるなか、ツヤクロスズメバチは1000房以下の巣がほとんどです。

初代女王バチが単独でつくる巣は、徳利(とっくり)を逆さにしたような形をしています。
スズメバチのなかでも、ツヤクロスズメバチが分類されるクロスズメバチ属の巣は、女王バチが数十分かけて念入りにつくった三角形状の吊り手でぶら下がっており、風や巣内の振動でも簡単には落下しない耐久性があります。
ツヤクロスズメバチが巣をつくる場所一覧

ツヤクロスズメバチは主に土の中、ほかにも木の洞や屋根裏、壁の隙間など閉鎖的な場所に巣をつくります。
見えづらい場所の巣の駆除は、規模を確認するのが困難なため、不用心に近づいたり駆除を行ったりすることは控えたほうがよいでしょう。
ツヤクロスズメバチの巣は放置しても大丈夫?
ツヤクロスズメバチの巣を見つけたときは刺激しないことが大切ですが、放置するとどんどん大きくなってしまいます。
巣の規模が大きくなるほど、ハチの数が増え、警戒心も強くなるため刺される可能性が高くなります。
自宅の敷地内に巣をつくられた場合、放置して大きくなると近隣の住宅や住民にも影響が及ぶかもしれません。
ツヤクロスズメバチの巣を見つけたら、早めの駆除を検討しましょう。
ツヤクロスズメバチを見かけたらどうする?

ハチに遭遇すると刺されることが怖くて焦ってしまうかもしれませんが、落ち着いて冷静に対処することが大切です。
ツヤクロスズメバチに遭遇したら

巣やハチを見つけても騒がない
攻撃性が低いツヤクロスズメバチですが、驚いて騒いでしまうと、自分たちや巣が攻撃されたと感じて襲ってくる可能性があります。
具体的には、大声を出す、手や棒で追い払おうとする、巣を棒で突く・石を投げるなどして震動を与えるといった行動です。
巣やハチを見つけても慌てずに行動しましょう。
その場から静かに離れる
ツヤクロスズメバチを見かけたときは、近くに巣があるかもしれません。
急いで逃げようと走ってしまうと、振動が地面から巣まで届き、攻撃と受け取ったハチの群れが襲ってくる可能性もあります。
刺激をしないように、その場から静かに歩いて距離を置きましょう。
頭や目(黒い部分)に気を付ける
ツヤクロスズメバチを含むスズメバチ科のハチは、黒色のものを攻撃する習性があります。
この習性は黒いものを天敵であるクマと認識して襲ってくるという説と、髪の毛や目が黒いアジア民族のなかにはスズメバチを食べる民族が存在していることから、天敵として認識しているという説があります。
体の部位としては頭や目が黒い部分なので、淡い色の帽子やタオルを被るなどして黒い部分を隠しましょう。
あらかじめ顔全体を守れる虫よけネット付きの帽子を被って身を守る方法もあります。
ツヤクロスズメバチの巣に近寄らないようにする
巣を見つけたときは、近寄らないようにしましょう。
ツヤクロスズメバチの巣は土の中や木の洞のような閉鎖空間にあるため、見つけることが困難です。
自宅近くで何度もツヤクロスズメバチを見かけているのに巣の場所を確認できない場合、そのまま放置すると巣がどんどん大きくなって働きバチの数が増え、攻撃性も高まる可能性があります。
もしツヤクロスズメバチの巣を自分では確認できず、ハチだけを何度も見かける場合は、巣が大きくなる前にプロに相談することをおすすめします。
日本における蜂刺症と社会性カリバチの攻撃性について|松浦誠 三重大学生物資源学部
ミニガイドNo.6「スズメバチとアシナガバチ」|大阪市立自然史博物館(編著:金沢至・松本吏樹郎 図:金沢至、故 日浦勇、松本吏樹郎)発行:特定非営利活動法人 大阪自然史センター
ツヤクロスズメバチに刺されないためにできること

登山やキャンプなど自然の多いエリアに出かける際に、ツヤクロスズメバチに刺されない方法をご紹介します。
黒い服装を避ける
頭や目(黒い部分)に気を付けるにて先述したように、スズメバチは黒いものを攻撃する習性があります。
スズメバチを避けるためは、暗い色・黒い服装は控え、白色や黄色など明るく淡い色の服装にするのがよいですが、明るい白色や黄色は他の虫が寄ってきてしまう色です。
そのため、スズメバチを避けながら、他の虫も寄ってこないようにするため、ベージュや明るいグレー、明るいカーキなどの服装がよいでしょう。
服以外の靴やカメラ、帽子などの小物の色選びも同様です。
また、色だけでなく素材にも注意が必要で、毛皮を着ていると天敵の動物として認識されやすいので控えましょう。
ただし、色や素材に気を付けた服を着ていても、スズメバチがいる場所に長くとどまっていると攻撃を受けることもあるため、すみやかにその場から離れてください。
強いニオイを避ける
スズメバチはヘアスプレーやヘアトニック、香水などの化粧品や、柔軟剤の香りなどに反応して近寄ってくることもあります。
強い香りがするものは身に着けないようにしましょう。
清涼飲料水(甘い香りがするもの)は避ける
ジュースやスポーツドリンクなど甘い香りがする清涼飲料水を残しておくと、スズメバチが餌として近寄ってくる場合があります。
スズメバチを捕まえるために、清涼飲料水を用いたトラップもあるほど、誘引させやすいです。
野外で缶の中にスズメバチが潜り込み、唇や口の中を刺されたケースもあります。
甘い香りがする清涼飲料水は避け、ボトルや缶を置きっぱなしにするのはやめましょう。
ツヤクロスズメバチに刺されてしまったら

ツヤクロスズメバチを含むスズメバチは毒針を持っており、刺されると毒による重篤な症状を引き起こす場合もあり危険です。
もし刺されてしまった場合は、すぐに以下の対処をしてください。
アレルギー反応が出ていないか全身を確認
スズメバチに刺された場合、刺された部分の周辺に痛みや腫れ、赤みといった局所反応が起こります。
局所反応のみであれば、痛みの持続時間は数時間から1日ほどです。
かゆみが伴うしこりが残り、完全に回復するまでには数日かかるケースもあります。
しかし、虫刺されに対するアレルギーがあると局所反応にとどまらず、全身反応というアナフィラキシーショックを起こし、最悪の場合死に至ります。
この反応は特にスズメバチに刺された際に起こることが多く、刺されたときの毒の量が多かったり、毒性が強かったり、何度も刺されたりというケースも、アナフィラキシーショックを引き起こす一因です。
スズメバチに刺された場合、まず初めにアレルギー反応の兆候がないか全身を確認しましょう。
・不安感
・ピリピリ感
・浮動性めまい(ふわふわと宙に浮いているような感覚のめまい)
・全身のかゆみおよびじんましん
・唇や舌の腫れ
・喘鳴(気道が狭くなり呼吸時にヒューヒュー、ゼーゼーと音がする)
・呼吸困難
・虚脱(失神を伴わない急激な脱力、血圧の低下)
・意識消失
上記にあげた症状に1つでも当てはまる場合は、自力で病院に向かっている途中で症状が悪化してしまう可能性があるため、直ちに救急車を要請してください。
20~30分ほど様子をみて、全身にアレルギー反応の兆候がない場合は、次に紹介する3つの対処法を実践しましょう。
ただし、少しでも様子がおかしいと感じたら、迷わずすぐに医療機関を受診してください。
傷口を流水で洗い毒を取り除く

スズメバチに刺された傷口は流水でよく洗い流してください。
患部にハチの毒針が残っている場合は、指でつまんでそっと抜くか、クレジットカードやバターナイフなど皮膚が傷つきにくいもので患部を優しくこすってそぎとりしましょう。
針が患部に残っていないことを確認できたら、爪などで患部周辺を圧迫し、毒液を絞りだします。
ハチ毒は水に溶けやすいので、傷口から毒液を絞りだすように、もみながら水で流すとさらに効果的です。
抗ヒスタミン軟膏を塗布し患部を冷やす

針と毒を取り除けたら、患部に抗ヒスタミン剤を含むステロイド軟膏を塗ったり、経口投与の抗ヒスタミン薬を飲んだりすることで、かゆみや腫れを和らげることができます。
また、冷湿布や濡れたタオルなどを患部に当てることも、痛みを和らげることに効果的です。
患部を持ちあげ腫れを和らげる

スズメバチに刺されると、局所反応により患部が驚くほど大きく腫れ、通常時の2倍まで腫れあがるケースも確認されています。
刺し傷の場所によっては、患部の位置を心臓より高く持ちあげると、腫れを抑えることが可能です。
局所反応の腫れは数時間で落ち着くこともありますが、完全に回復するには数日を要することもあります。
もし刺されてから1日以上時間が経っても腫れが引かない場合は、蜂巣炎の可能性も疑って医療機関を受診しましょう。
ツヤクロスズメバチの駆除方法

ツヤクロスズメバチはどんな巣をつくる?でもご紹介したように、ツヤクロスズメバチは地中や屋根裏、木の洞などの閉鎖空間に巣をつくります。
見えない場所に巣をつくられてしまうと、巣の大きさが確認できません。
さらに、地中にある場合は木の根を巻き込んで巣をつくっていることもあり、駆除の難易度は高くなります。
自力で駆除をする際は怪我のリスクを理解したうえで、安全に駆除ができるよう、しっかりと準備をしましょう。
スズメバチに共通する危険性や駆除方法

ツヤクロスズメバチだけでなく、スズメバチには共通する危険性があります。
スズメバチが活動する時期の主な行動や駆除方法について知っておきましょう。
ツヤクロスズメバチの活動時期別の危険性

| 時期 | 危険度 | 主な活動 |
| 5月中旬~7月上旬 | 低 | 初代女王バチが越冬から目覚め、単独で巣づくり、産卵、働きバチの育成を開始。 |
| 6月下旬~8月上旬 | 高 | 働きバチが増えることで巣が拡大し、群れの成長が急加速する。 |
| 8月中旬~10月上旬 | 高 | 新女王バチとオスバチが羽化する。 |
| 9月下旬~5月中旬 | 低 | 交尾を終えた新女王バチのみが越冬する。 |
日本の真社会性ハチ|高見澤 今朝雄 著
ツヤクロスズメバチは5月中旬に女王バチが越冬から目覚め、7月上旬にかけて単独で巣づくりを始めます。
女王バチが産卵し、働きバチを育て始めるのも同じ時期です。
6月下旬から8月上旬になると、働きバチが増えることで、女王バチが単独で行っていた巣づくりや幼虫の世話などの役割が分担され、群れの成長が急激に加速します。
8月中旬から10月上旬になると、巣の大きさや働きバチの数が最大になり、群れの勢力も最大になります。
翌年に活動する新女王バチと、繁殖活動をするためのオスバチが羽化するのも同時期です。
また、一般的な家屋に巣をつくる可能性が高いキイロスズメバチやコガタスズメバチは11月頃まで活動することもあるため、この時期が過ぎても注意が必要です。
初代女王バチや働きバチ、オスバチは死滅し、オスバチとの交尾を終えた新女王バチだけが、巣から離れた切り株や朽木の隙間、落ち葉や土の中などで越冬します。
一度使われたスズメバチの巣は、翌年に使われることはなく、一年限りで役割を終えます。
翌年の5月中旬に新女王バチが目覚め、新たな巣づくりを開始します。
もし自分で駆除を検討する場合は、女王バチが単独で巣づくりを始め、まだ巣のサイズが小さく働きバチも少ない5月から6月の間に作業を行うのが理想的です。
危険度が高い時期に自力で駆除をする場合は、駆除道具の購入や駆除方法の確認など、適切なアプローチが必要です。
もし準備中に少しでも不安がある場合は、自分で無理に駆除をせず、プロに依頼することをおすすめします。
日本の真社会性ハチ|高見澤 今朝雄 著
スズメバチの駆除に使えるグッズ
捕獲器で一匹ずつ駆除する
ハチが好きな香りで誘引し、入ったら二度と出られない捕獲器です。
夏は約20~30日間、春と秋は約30~40日間効果が持続します。
使用するのに最適な時期は4~6月頃で、単独で巣づくりを始める女王バチを捕獲することで、巣がつくられるのを防ぐことができます。
一度に大量のハチを捕獲することには不向きですが、一匹ずつ確実に駆除したい場合におすすめです。
駆除エサ剤で巣ごと壊滅
ハチが好む香りで誘引して毒入りの餌を巣に持ち帰らせ、毒が巣にいる仲間や幼虫に行き渡ることで巣ごと壊滅させるのが駆除エサ剤です。
4月~5月頃なら巣づくりの予防に、6月~10月頃なら巣の駆除に役立ちます。
駆除スプレーでスズメバチや巣を撃退
飛んでいるスズメバチや巣の中にスプレーすることで駆除できるのが駆除スプレーです。
巣がつくられやすい場所にスプレーしておくと、新たに巣をつくらせない予防対策もできます。
こちらの商品は有効成分のピレスロイド系殺虫剤を2種類配合することで、スズメバチを駆除すると同時に、巣づくりも防止します。
スズメバチの駆除をする場合は、頭や顔も含め、肌が露出していない状態で行うことが必須です。スズメバチは巣を襲われた際に集団で攻撃に出てくる習性があり、油断すると致命的な怪我を負う可能性があります。巣が直径10㎝を超える場合は、無理に自分で駆除をせずプロへの依頼をおすすめします。
安全に駆除するために必要な道具一覧
自分でスズメバチの巣を駆除する際は、攻撃から身を守るために必要な道具で万全に対策しましょう。
毒針で刺されないためには、特に肌の露出や隙間をなくすことが重要です。
駆除スプレー 2~3本

(フマキラー)カダン スズメバチバズーカジェット 550ml まとめ買い3本
飛んでいるスズメバチや巣にいるスズメバチの攻撃を抑える駆除スプレーはマストアイテムです。
ただ、攻撃の勢いが収まる前にスプレーを使い切ってしまうと、スズメバチを攻撃しただけで撃退できず、より危険な状況になります。
安全に駆除するためにも、駆除スプレーは2~3本用意しておきましょう。
もし余ったとしても、戻りバチや巣づくりの予防にも使えるので、無駄にはなりません。
脱脂綿
必要に応じてスズメバチの巣穴を塞ぐときに脱脂綿を活用します。
建物の隙間を埋めるために使うコーキング剤でも代用可能です。
白い防護服セット※7mm以上の厚手のもの

蜂の巣の駆除作業向け 新スズメバチ防護服 アンチホーネット 3 KA-8883|ミドリ安全
スズメバチの駆除で刺されないよう全身を守るために防護服を着ましょう。
黒い服装を避けるでも解説したように、黒いものはスズメバチを刺激するため、防護服は白色がよいです。
肌が出ないよう全身を覆い、隙間ができないようにファスナーをしっかりと閉め、ヘルメットや手袋、長靴も着用しましょう。
セットで販売されている商品だと便利です。
スズメバチのなかでもっとも危険性が高いオオスズメバチの針は2~7mmあり、薄手の防護服では貫通して刺されることもあるため、7mm以上の厚手の素材を選ぶ必要があります。
防護服の下に着るインナーで7mm以上の厚みをだすのも方法の1つです。
虫取り網
スズメバチの巣穴に駆除スプレーをして脱脂綿を詰めて大量のスズメバチが出てくるのを防いだあとも、巣の外に出て狩りをしていたハチが戻ってくるかもしれません。
いわゆる戻りバチを含む、巣の周りを飛び回るハチを捕獲するために虫取り網が必要です。
捕獲したハチはスプレーをかけて駆除します。
また、スズメバチの巣を駆除する際に、巣を確保するために虫取り網を使うことがあります。
厚手のゴミ袋
巣の中にいるハチの動きがなくなったあとは、厚手のゴミ袋で巣を回収しましょう。
もし巣の中に生きているスズメバチが残っていた際に刺されないように、厚手のゴミ袋に入れてください。
ゴミ袋を二重にして包むとより安心です。
また、スズメバチの巣の大きさは直径約20~30cmですが、キイロスズメバチの巣は直径60cm超、ツマアカスズメバチの巣は直径約100cmに及ぶこともあります。
回収したいスズメバチの巣の大きさに合わせて、ゴミ袋のサイズを選びましょう。
ヘラ
軒下や外壁などにつくられたスズメバチの巣を除去しても、こびりついた残骸が残ってしまうことがあります。
残骸をきれいに取り除くためには、ヘラを使って汚れを削り落としましょう。
掃除用具
駆除した後に、地面に落ちたスズメバチの死骸や巣の残骸などを回収するために、ほうきとちりとりも用意しておきましょう。
夜間作業に赤色灯は使える?
一般的にハチ目の昆虫は赤色が認識しにくいとして、赤色灯や通常のライトに赤いセロハンを巻き付けて夜間の駆除作業に使用する方法が推奨されることがありました。
しかし、近年の研究では、スズメバチの種類によっては赤色を含む暖色系の光にも強く誘引される事例が確認されています。
そのため、赤色灯を使用したとしても、安全を確保できるわけではありません。
夜間の駆除は光の有無にかかわらず危険性が高いことを忘れないようにしましょう。
スズメバチ駆除の手順

①必要な道具がそろっているか確認
安全に駆除するために必要な道具一覧でご紹介した駆除道具がすべてそろっているか確認しましょう。
もし不足している道具があれば、駆除する前に購入してください。
②スズメバチの巣穴に駆除スプレーを噴射する
スズメバチの巣穴に駆除スプレーを一気に噴射しましょう。
スプレーは1本では不足する可能性があるため、必ず予備のスプレーも手の届くところに置いてください。
自分自身にスプレーがかからないように、風上に立って作業しましょう。
スズメバチの羽音が収まってもスズメバチが外に出てくる場合があるため、巣穴に脱脂綿を入れてフタをしてください。
③巣を切り離してゴミ袋の中に入れる
駆除スプレーをして巣穴にフタをしたら、巣がつくられている場所から切り離し、厚手のゴミ袋の中に入れて回収します。
巣が土の中にある場合は手で掘り出しましょう。
スコップを使うと、巣が崩れて持ちにくくなるほか、生き残ったハチが襲ってくることもあります。
安全に作業するためにも手袋は必須です。
④ゴミ袋を何重にも縛る
万が一生きているハチが巣に残っていた場合非常に危険なため、巣を入れたゴミ袋は隙間なく厳重に、何重にも縛りましょう。
⑤戻りバチを防ぐために駆除スプレーを噴霧する
狩りに出ていて巣にいなかったハチが戻ってくる可能性があるので、巣を駆除したあとの場所にもスプレーを噴霧して、戻りバチ対策をしておきましょう。
⑥駆除したハチの巣を自治体のルールにしたがって処分する
駆除したハチの巣をそのまま庭などに放置してしまうと、サナギが羽化して成虫になる危険性や、他の虫が餌として群がる可能性があります。
駆除したハチの巣は、各自治体のルールに則って処分しましょう。
一例として、神奈川県横浜市では、ハチの巣は燃やすゴミとして出すことができます。
高所や入り組んだ場所の巣は危険度が高い

スズメバチは人の手が届かない高所や、床下・屋根裏などの入りづらい場所に巣をつくることもあります。
特に床下や屋根裏につくられた巣は、外から巣の大きさやハチの数を把握できないため、想定以上に巣が大きく大量の働きバチがいる危険性もあります。
高所で安定しない、狭い場所で身動きが取りづらい、暗所で周りが見えづらい、といった駆除作業は、慣れていないとスズメバチに囲まれてパニックになってしまい、追い払おうと動き回ることでより刺激してしまうこともあります。
手が届かない、入りづらい場所につくられたスズメバチの巣を駆除するのは危険性が高いため、自分で無理に作業せず、ハチ駆除のプロに依頼するのがよいでしょう。
スズメバチ駆除のプロが土の中に営巣するスズメバチの巣を駆除する際はスコップを使わず手で掘り進める。
《理由》
①スズメバチを刺激してしまう恐れがある
②巣を傷つけ改修しづらくなる
自分で駆除をするのが不安な方はプロに依頼した方が安心
ツヤクロスズメバチは閉鎖空間に巣をつくるため、軒下や木の枝のような目に見える解放空間と比べると駆除は難易度が高いため注意が必要です。
自分での駆除作業に少しでも不安がある場合は、プロに相談・依頼するのが安心でしょう。
プロのハチ駆除業者であれば、状況を鑑みて最適な方法で駆除してくれるのはもちろん、防護服や専用の道具の用意も万全なので、安全かつスムーズに対応してくれます。
害虫害獣コンシェルジュは「これはスズメバチの巣なのか判断できない」「駆除すべきか迷っている」といった段階でも、無料で見積りや相談を受け付けています。
少しでも心配な場合は無理をせず、お問い合わせフォームまたはお電話よりお気軽にご相談ください。
まとめ
・クロスズメバチ属の攻撃性が低い小型のスズメバチ
・閉鎖空間(土の中や壁間)に巣をつくる
・巣は灰色の提灯型で和紙状
・北海道、本州、四国、九州、朝鮮半島、極東ロシア、東シベリアに生息している
この記事ではツヤクロスズメバチの生態や似たスズメバチとの見分け方、スズメバチの駆除や対策方法について紹介しました。
ツヤクロスズメバチは閉鎖空間に巣をつくるため、すでに働きバチが活発に出入りしている巣は外から見えない部分で巣が大きくなっている可能性が高く、駆除には危険が伴います。
万全な準備を行うことができれば自分での駆除も可能ですが、少しでも不安を感じる場合はプロの無料相談を利用しましょう。
スズメバチの駆除は害虫害獣コンシェルジュでも承っておりますので、お問い合わせフォームまたはお電話よりお気軽にご相談ください。
- 現地調査・お見積り:無料
- スズメバチ:13,000円
- オオスズメバチ:25,000 円
※現地地調査・お見積りは対応エリア・加盟店・現場状況等により記載内容の通りには対応できない場合がございます。
害虫害獣コンシェルジュは、害虫害獣に関する正しい知識を発信し、厳格な品質管理基準をクリアした害虫害獣駆除のプロとのマッチングサービスを提供するサイトです。編集部では「自分でできること」と「プロに任せるべきこと」を明確にし、依頼前の不安解消を目指しています。
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