スズメバチには様々な種類が存在しており、ヤドリホオナガスズメバチは自分で巣をつくらずにシロオビホオナガスズメバチの巣を乗っ取って自分のものにしてしまう特殊な生態をしています。

この記事では、スズメバチの一種であるヤドリホオナガスズメバチの生態や人への危険性を解説いたします。

スズメバチとは

スズメバチは強力な毒針や獰猛なイメージから危険なハチとしてよく名前があがる昆虫です。

分類上は、ハチ目細腰亜目有剣下目スズメバチ上科スズメバチ科スズメバチ亜科に含まれる種類の総称を指します。

スズメバチ亜科は、スズメバチ属、クロスズメバチ属、ホオナガスズメバチ属、ヤミスズメバチ属の4種類に分けられます。

スズメバチの分類	種類
スズメバチ属 （Vespa）	オオスズメバチ、キイロスズメバチ、モンスズメバチ、チャイロスズメバチ、ツマグロスズメバチ、ツマアカスズメバチ、コガタスズメバチ、ヒメスズメバチ など
クロスズメバチ属 （Vespula）	クロスズメバチ、シダクロスズメバチ、ツヤクロスズメバチ、キオビクロスズメバチ など
ホオナガスズメバチ属 （Dolichovespula）	ヤドリホオナガスズメバチ、シロオビホオナガスズメバチ、キオビホオナガスズメバチ、ニッポンホオナガスズメバチ など
ヤミスズメバチ属 （Provespa）	ナミヤミスズメバチ、タイリクヤミスズメバチ、オオヤミスズメバチ

日本にはスズメバチ属、クロスズメバチ属、ホオナガスズメバチ属の3種類が生息しています。

オオスズメバチやキイロスズメバチなどが分類されているスズメバチ属は攻撃性が高く、特に殺傷被害が多く報告されています。

ヤミスズメバチ属は日本には生息しておらず、東南アジア（タイ、ベトナムなど）で確認されている夜行性のスズメバチです。

ヤドリホオナガスズメバチってどんなハチ？

ヤドリホオナガスズメバチの基本情報

 

和名	ヤドリホオナガスズメバチ
学名	Dolichovespula adulterina montivaga
分類	ハチ目細腰亜目有剣下目スズメバチ上科 スズメバチ科スズメバチ亜科ホオナガスズメバチ属
体長	女王バチ：1.6～1.8cm 働きバチ：存在しない（乗っ取った巣の働きバチが働く） オスバチ：1.4～1.8cm
寄生先	シロオビホオナガスズメバチの巣
巣の場所	解放空間（樹木の枝、家屋の軒下など）、閉鎖空間（壁間、地中の空洞など）につくられた巣に寄生する
巣の規模	巣盤：詳細不明 オスバチの育房数：100～200房 女王バチの育房数：50～100房
巣の特徴	灰色の提灯状（寄生先の巣）
主な餌	幼虫：クモや昆虫などを肉団子状にしたもの 成虫：幼虫の分泌液や樹液など ※餌は寄生した巣で育てられていた働きバチが運ぶ
生息域	北海道、本州、佐渡島、ロシア、ユーラシア

ヤドリホオナガスズメバチは、ホオナガスズメバチ属に分類されるスズメバチで、日本では北海道や本州の山岳地帯に生息しています。

体は全体的に黒色をしており、縞模様や顔の一部や顎はやや黄色みがかった白色もしくは黄色で全体に長い毛が生えています。

名前にヤドリがついている種類は社会寄生性昆虫と呼ばれ、他種のスズメバチがつくった巣に寄生し、主である女王バチを殺して巣を乗っ取ります。

この記事で紹介するヤドリホオナガスズメバチも社会寄生性昆虫の一種で、シロオビホオナガスズメバチの巣を乗っ取り自分の巣として繁殖行動（産卵）を行います。

ヤドリホオナガスズメバチの生態

ヤドリホオナガスズメバチはシロオビホオナガスズメバチの巣に寄生します。
寄生先のシロオビホオナガスズメバチの女王が5月下旬頃から活動を始めるのに対し、ヤドリホオナガスズメバチの女王は6月中旬頃から活動を始めます。

女王バチが活動を開始する時期
ヤドリホオナガスズメバチ	6月中旬
シロオビホオナガスズメバチ	5月下旬

 

社会寄生性昆虫であるヤドリホオナガスズメバチが寄生先の巣が完成した時期に合わせて活動を開始しているのです。

多くのスズメバチは社会性昆虫と呼ばれ、下記のように巣の中で分業が行われます。

 

社会性昆虫に分類されるスズメバチの分業
初代女王バチ	・初期巣の形成（巣づくり、餌集め、初期の幼虫の育成） ・産卵 ・毒針を持つ
働きバチ	・巣の拡張と維持 ・幼虫の育成（狩りをして餌を運ぶ） ・巣内の温度調節 ・外敵から群れを守る ・毒針を持つ
オスバチ	・新女王バチとの交尾 ・巣の拡張や幼虫の育成はしない ・毒針を持たない
新女王バチ	・オスバチと交尾をしたのちに越冬 ・翌年の春から初期巣を形成し産卵

社会性昆虫の初代女王バチは群れを大きくするために巣づくり、餌集め、初期の幼虫の育成をすべて1匹で行います。

働きバチが増えると巣の中で産卵に専念するようになります。

一方で、社会寄生性昆虫であるヤドリホオナガスズメバチの女王はシロオビホオナガスズメバチの初代女王が巣をつくり、働きバチが羽化した後の巣へ侵入し、女王バチを殺して巣を乗っ取ります。

単独で必死につくった自分の城を子どもごと乗っ取られてしまうのは、シロオビホオナガスズメバチにとってはたまったものではありません。

ヤドリホオナガスズメバチの女王は、自分では働きバチを産みません。

乗っ取った先に残されたシロオビホオナガスズメバチの子どもを、これから群れを繁栄させるための働きバチとして利用します。

ヤドリホオナガスズメバチの女王が産んだ卵からは、新女王バチとオスバチのみが産まれます。

もちろん卵を幼虫から成虫まで育て上げるのはシロオビホオナガスズメバチの働きバチです。

成虫になった新女王バチとオスバチは巣から旅立ち、交尾をした後はオスバチは死滅しますが、女王バチは越冬します。

越冬した女王バチはまた翌年の6月中旬頃から活動を始め、寄生先の巣を探すのです。

ヤドリホオナガスズメバチの攻撃性について

ヤドリホオナガスズメバチが分類されるホオナガスズメバチ属は、種類によって攻撃性に差があります。

ヤドリホオナガスズメバチは働きバチが存在しないため、攻撃をしてくる可能性はきわめて低いとされています。

しかし群れ全体ではシロオビホオナガスズメバチの働きバチが巣を守るために攻撃してくる可能性があるため、不用意に近づいて巣や群れを刺激をするような行動は取らないようにしましょう。

ヤドリホオナガスズメバチに寄生されるシロオビホオナガスズメバチ

ここまでヤドリホオナガスズメバチの生態について紹介をしてきましたが、ヤドリホオナガスズメバチに巣を狙われ寄生されてしまうシロオビホオナガスズメバチとはどのようなスズメバチなのでしょうか。

シロオビホオナガスズメバチ

シロオビホオナガスズメバチの基本情報

和名	シロオビホオナガスズメバチ
学名	Dolichovespula norvegicoides pacifica
分類	ハチ目細腰亜目有剣下目スズメバチ上科 スズメバチ科スズメバチ亜科クロスズメバチ属
体長	女王バチ：1.6～1.8cm 働きバチ：1.1～1.5cm オスバチ：1.3～1.6cm
巣の場所	解放空間（木の枝や軒下など）、閉鎖空間（屋根裏、壁間、箱や缶の中、地中の空洞など）
巣の規模	巣盤：3～4層 オスバチの育房数：300～2300房
巣の特徴	灰色の提灯状
主な餌	幼虫：クモや昆虫などを肉団子状にしたもの 成虫：幼虫の分泌液や樹液など
生息域	北海道、本州、四国、千島列島、朝鮮半島、ユーラシア東部、北米、ミャンマー、チベット

シロオビホオナガスズメバチもヤドリホオナガスズメバチと同じく、ホオナガスズメバチ属に分類されるスズメバチです。体は全体的に黒色で、縞模様や顔の一部や顎は白色をしています。

ヤドリホオナガスズメバチが乗っ取るスズメバチの巣

ヤドリホオナガスズメバチが乗っ取るシロオビホオナガスズメバチの巣は、シロオビホオナガスズメバチの基本情報で記載がある通り、灰色で提灯のような形をしています。

ヤドリホオナガスズメバチが乗っ取るスズメバチが巣を作る場所

ヤドリホオナガスズメバチはシロオビホオナガスズメバチの巣を乗っ取りますが、シロオビホオナガスズメバチは解放空間と閉鎖空間どちらにも巣をつくります。

解放空間では木の枝や軒下、閉鎖空間では地中の空洞、屋根裏や壁間、箱や缶の中にも巣をつくることがあります。

スズメバチの巣は放置しても大丈夫？

ヤドリホオナガスズメバチに限らず、スズメバチに巣をつくられた場合そのまま放置するのは危険です。

スズメバチの巣は時間の経過とともに働きバチの数が増え、巣の拡大も急速に進みます。

「まだ小さいから大丈夫」「忙しいから後で駆除しよう」と油断して放置すると、巣がどんどん大きくなり、大量のスズメバチが出入りするようになってしまいます。

スズメバチの巣を見つけた場合は、早めの駆除を検討しましょう。

スズメバチを見かけたらどうする？

ここまでヤドリホオナガスズメバチの生態に関して紹介をしてきましたが、実際に遭遇してしまった場合はどのように対処するべきなのでしょうか。

ヤドリホオナガスズメバチに限らず、様々な種類のスズメバチから身の安全を確保するためには、ハチを刺激しないよう冷静に行動することが大切です。

スズメバチに遭遇したら

巣やハチを見つけても騒がない

急な動きや大きな音はスズメバチに対する攻撃と認識されてしまう可能性があります。

スズメバチが近づいて来たときに、驚いて手を振り回したり声を上げたりするとかえって刺激してしまい危険を招く危険性があります。

巣やハチを見かけたときは、慌てず騒がないようにしましょう。

その場から静かに離れる

スズメバチを見かけた場合、近くに巣をつくっているかもしれません。

近寄ってきた際に慌てて走って逃げようとすると、足音や振動が地面を通して巣に伝わり、近くの巣に待機している働きバチが危険を察知して一斉に飛び出してくる恐れがあります。

刺激を与えないよう、落ち着いて静かにその場を離れ、距離をとって安全を確保しましょう。

頭や目（黒い部分）に気を付ける

スズメバチは黒いものや動くものに反応して攻撃してくる傾向があります。

黒くて動くものをスズメバチの天敵であるクマと誤認して、天敵から自分たちを守るために攻撃をしてくると考えられています。

そのためスズメバチに遭遇しそうな自然が多い場所に外出するときは、帽子などで頭や目の黒い部分をできるだけ隠し、刺激しない服装を選ぶとよいでしょう。

スズメバチの巣に近寄らないようにする

スズメバチの巣の場所が把握できている場合、不用意に近寄らないようにしましょう。

巣に近づくと、スズメバチが身の危険を感じて攻撃してくる可能性があります。

また、頻繁に複数匹のハチを見かけても巣の場所が分からない場合は、早い段階でプロに相談することをおすすめします。

巣が大きくなるに連れて働きバチが増えるスピードもあがり、刺傷の危険性が高まります。

スズメバチに刺されないためにできること

スズメバチを見かけた際に、刺されないためにできる工夫を紹介いたします。

特に自然が多い場所はスズメバチに遭遇する可能性が高いため気を付けたほうがよいでしょう。

黒い服装を避ける

頭や目（黒い部分）に気を付けるでも触れていますが、スズメバチは黒いものを敵とみなして攻撃してくる傾向にあるため、黒をはじめとした濃い色の服装は避け、淡く明るい色の服装を選びましょう。

強いニオイを避ける

スズメバチは強い香りに反応して近寄ってくる可能性があります。香水や化粧品、ヘアスプレーなどの香りがするものは身に着けないようにしましょう。柔軟剤の香りもハチが誘引される可能性があるため注意が必要です。

清涼飲料水（甘い香りがするもの）は避ける

ヤドリホオナガスズメバチの基本情報でも触れていますが、スズメバチの成虫は主に幼虫の分泌液や樹液を餌としています。人工的な甘い液体も例外ではなく、屋外で清涼飲料水を飲んでいるとスズメバチが近寄ってくることがあります。また、糖分を含むビールや缶チューハイなどのアルコール飲料に引き寄せられるケースも確認されています。キャンプやバーベキューなど屋外で飲食を楽しむ際は、スズメバチが寄ってくる可能性があることを知っておきましょう。

スズメバチに刺されてしまったら

毒針を持つハチの中でも、スズメバチ科のハチは攻撃性が高く、毒の作用も強力です。

刺されてしまった場合は速やかに以下の対処をしましょう。

アレルギー反応が出ていないか全身を確認

スズメバチに刺されてしまった患部は、周辺に痛みや腫れ、赤みが出る局所反応が起こります。

局所反応のみの場合は痛みが数時間～1日でなくなりますが、その後もかゆみが伴うしこりが残り、完全に回復するまでには数日かかることがあります。

虫刺されに対するアレルギーがある場合、局所反応にとどまらずアナフィラキシーショックを起こす可能性があり、命の危険が伴います。

スズメバチに刺された際には、アレルギー反応の兆候がないか全身を確認しましょう。

上記の症状のうち1つでも症状が確認された場合は、放置せずにすぐに救急車を要請し、病院の受診をしましょう。

初期症状で意識がはっきりしていても、自分で病院に向かっている間に症状が悪化してしまう可能性があるため油断はできません。

全身の様子を確認し、アレルギー反応の兆候がない場合は、この後ご紹介する3つの対処法を行いましょう。

また、下記対処を行った後も20～30分ほど注意深く様子を確認し、もし途中で少しでも様子がおかしいと感じたらすぐに医療機関を受診してください。

傷口を流水で洗い毒を取り除く

スズメバチに刺された部分を流水でよく洗い流しましょう。

刺さったまま残っている針があれば、指でつまんでそっと取り除きます。

クレジットカードの端やバターナイフの背を使って軽くこすり取る方法もよいでしょう。

針が残っていないことを確認したあとは、傷口の周りを圧迫して毒液を絞り出します。

ハチの毒は水に溶けやすいため、流水で洗い流しながら行うとより効果的です。

抗ヒスタミン軟膏を塗布し患部を冷やす

かゆみと腫れを和らげるため、経口投与の抗ヒスタミン薬の服用もしくは抗ヒスタミン剤を含むステロイド軟膏を塗布し、濡れたタオルや冷湿布などで刺された部分を冷やしましょう。

患部を持ち上げ腫れを和らげる

スズメバチに刺されると、局所反応により患部が通常時の2倍まで腫れあがることがあります。

刺された場所によっては、患部の位置を心臓より高くすることで腫れが和らぐこともあるようです。

この腫れは蜂巣炎という感染症と見分けが付かないこともあるため、刺されてから1日以上経っても腫れが引かない場合は医療機関を受診しましょう。

スズメバチの駆除は油断できない！

スズメバチは種類によって解放空間、閉鎖空間どちらにも巣をつくります。

屋根裏や壁間のような閉鎖空間に巣をつくられてしまった場合は、巣の大きさを確認するのが難しいうえに狭い空間での作業になるため駆除の難易度が高く非常に危険です。

また、地中に巣がある場合は木の根を巻き込んで巣がつくられていることもあり巣の撤去が困難なケースも。

解放空間で目に見える場所に巣をつくっている場合でも、4～6月の女王バチが単独で巣をつくる時期以外の駆除は危険性が高いため、少しでも不安を感じる場合は無理に駆除作業をせずにプロに相談をしましょう。

自分で駆除を行う場合は、必ずスズメバチの特性や危険性を理解したうえで行いましょう。

スズメバチの活動時期別の危険性と駆除道具

安全にスズメバチの駆除をするために、スズメバチに共通する活動時期別の危険性や駆除方法を確認しましょう。

スズメバチの活動時期別の危険性

時期	危険度	主な行動
4～5月	低	女王バチが越冬から目覚め、単独で巣づくり、産卵、働きバチの育成を開始。
6～7月上旬	中	働きバチが増えることで巣も大きくなり、群れの成長が急加速する。
7月中旬～8月	高	働きバチの数が300匹を超える巣が発生し始める。
8～9月	高	勢力が最大になり、巣の規模も最大になる。
9～11月	高	新女王バチとオスバチが羽化する。
12～3月	低	交尾を終えた新女王バチのみが越冬する。

危険度が高の時期はスズメバチの攻撃性が高まっているため、自分で無理に駆除はせずにプロへの依頼がおすすめです。

この記事で紹介しているヤドリホオナガスズメバチやシロオビホオナガスズメバチのように、種類によっては6月中旬から活動を開始する女王バチも存在しますが、ほとんどの種類が、4～5月頃には越冬から目覚め単独で巣づくりを始めます。

女王バチは初期の産卵を行い、働きバチを羽化させることで群れの基盤を築きます。

6月下旬になると働きバチの数が増え、巣づくりや幼虫の世話が分担されることで群れの成長速度が上がり始めます。

8月～9月にかけて群れの数が最大となり、勢力がピークに達します。

9月～10月の秋ごろには、翌年の世代となる新女王バチとオスバチが羽化し、繁殖活動の準備が始まります。

オスバチとの交尾を終えた新女王バチは11月～3月の間、樹木の空洞や木の幹、落ち葉の中などで越冬します。

翌年の4月～5月頃に目覚め、新たな巣づくりを開始します。

スズメバチの駆除に使えるグッズ

スズメバチの活動時期別の行動や危険性を踏まえたうえで、駆除をするためにはどのようなグッズがあるのかを確認しましょう。

捕獲器を使う

ハチがホイホイ｜アース製薬

ハチが好む甘い香りでスズメバチを誘引して捕獲します。

既に大きくなってしまった巣への対処や大量のハチを捕獲することには向いていませんが、女王バチが単独で巣をつくり始める春先に仕掛けておくには最適です。

女王バチを捕獲することで、巣づくり防止に繋がります。

駆除エサ剤を使う

ハチの巣コロリ スズメバチ用 駆除エサ剤 2個入り｜アース製薬

駆除エサには、害虫駆除に使用される成分のフィプロニルが含まれています。

甘い香りでスズメバチを誘引して、ハチが器からエサ剤を持ち帰る仕組みです。

巣に戻ったスズメバチは仲間のハチや幼虫にエサ剤を分け与えるため、巣全体にエサ剤の毒が広がり、最終的に巣の壊滅につながります。

駆除スプレーを使う

カダン スズメバチバズーカジェット 550mL｜フマキラー

スズメバチを駆除する際に、効果的かつ即効性が期待できるのが駆除スプレーです。

駆除スプレーにはスズメバチの神経に作用して動きを鈍らせるピレストロイド系の成分が含まれているものを選びましょう。

スズメバチの動きを素早く止められるため、攻撃が激しくなる前にスズメバチを駆除することができます。

また、スズメバチに巣をつくられたことがある場所や、軒下や庭木などのスズメバチに巣をつくられる可能性がある場所にあらかじめスプレーをしておくと、数か月にわたり巣づくりを防ぐ効果が期待できます。

安全に駆除するために必要な道具一覧

安全にスズメバチの巣を駆除する際には群れからの激しい攻撃から身を守るため、万全の体制で望みましょう。

必要な道具をそろえたうえで、毒針に刺されないため肌の露出や隙間をなくして駆除に臨むことが重要なポイントです。

駆除スプレー　2～3本

カダン スズメバチバズーカジェット 550mL まとめ買い3本セット｜フマキラー

駆除の途中でスプレーがなくなってしまうと、巣への攻撃で刺激され怒った状態のスズメバチに対応できなくなってしまいます。

安全に駆除を終えるためにも、スプレーはあらかじめ複数本用意しておくと安心です。

もしスプレーが余っても、戻りバチや新たな巣づくりの予防に使えるため無駄にはなることはありません。

脱脂綿

ファミリーケア(FC) 脱脂綿 100g｜白十字株式会社

スズメバチの巣には出入口として1箇所だけ穴が空いています。

駆除を行うときは巣の中からスズメバチが出てこないように、脱脂綿を詰め込み出入口を塞ぎましょう。

隙間があるとハチが出てきてしまう危険性があるため、隙間なく詰め込むことが大切です。

プロのハチ駆除業者は、脱脂綿ではなくお風呂のタイルの隙間などに使われるコーキング剤を使用することもあります。

白い防護服セット※7mm以上の厚手のもの

スズメバチ駆除 蜂防護服 蜂武者｜株式会社イーライフ

スズメバチのなかで特に危険なオオスズメバチの針は3〜7mmと長く、薄手の防護服では貫通して刺される可能性があります。

防護服を用意するときには、必ずスズメバチに対応できる厚さかどうかを確認しましょう。

駆除作業中にスズメバチが防護服の隙間から入ってしまう危険もあるため、ヘルメットと防護服がファスナーで一体化できるタイプを選ぶと安心です。

白い手袋と長靴もセットで販売されています。

虫取り網

ネイチャーエクスプローラー 虫網伸縮｜池田工業社

スズメバチを駆除する際には、戻りバチに気をつけましょう。

狩りに出たスズメバチが巣に戻ってきた際に攻撃されてしまう可能性があります。

そのような戻りバチを虫取り網で捕獲し、集まったスズメバチはスプレーを吹きかけて駆除します。

また、プロのハチ駆除業者は閉鎖空間のような駆除が困難な場所に巣がある場合には、虫取り網で先に働きバチを捕獲して全体の数を減らすこともあります。

厚手のゴミ袋

厚口分別用45L 10枚入 半透明｜セイケツネットワーク

巣の中のハチの動きが無くなったあとは、厚手のゴミ袋で巣を回収しましょう。

生きたスズメバチが巣に残っていて刺されてしまうリスクを回避するため、厚手のゴミ袋だと安心です。

不安な方はさらにゴミ袋を二重にして回収するとよいでしょう。

ヘラ

SK11 スクレーパー ステンレス金ベラ 45mm｜セルプラ商事株式会社

軒下や外壁などにつくられたスズメバチの巣を取り除いたあと、巣がこびりついて残っていることがあります。

残骸をきれいに取り除くには、ヘラを使うと細かい汚れもしっかりと落とすことができます。

掃除用具

ほうき ちりとりセット｜samyama 楽天市場店

スズメバチの巣の駆除が終わったら、地面に落ちたスズメバチの死骸やハチの巣の残骸をほうきやちりとりでまとめて回収しましょう。

夜間作業に赤色灯は使える？

一般的にはハチ目の昆虫は赤色が認識しづらいとして、夜間の駆除作業に赤色灯の使用や通常のライトに赤いセロハンを巻き付ける方法が推奨されることがあります。

しかし近年の研究では、スズメバチの種類によっては赤色を含む暖色系の光にも強く引き寄せられるケースが確認されているため、赤色灯を使用したとしても必ずしも安全とは言えません。

夜間にスズメバチを駆除する際は、光の有無にかかわらず危険が伴うことを忘れないようにしましょう。

スズメバチ駆除の手順

①必要な道具がそろっているか確認

まずは安全に駆除するために必要な道具一覧で紹介した駆除道具がそろっているか確認しましょう。

防護服がある場合は、装着後に穴や隙間がないか全体を確認しましょう。

ヘルメットと防護服のチャック、手袋の間、長靴とズボンの間などに隙間があると、駆除の最中にスズメバチが侵入してくる可能性があります。

また、不足している道具があれば駆除前に購入しましょう。

②スズメバチの巣穴に駆除スプレーを噴射する

スズメバチの巣穴に駆除スプレーを一気に噴射しましょう。]

スプレーは必ず予備を手の届く場所に置いておき、手持ちのスプレーが切れてしまった際に素早く交換できるようにしておきましょう。

スズメバチの羽音が収まったタイミングでスズメバチが外に出てこないように巣穴に脱脂綿を入れてフタをします。

③巣を切り離してゴミ袋の中に入れる

十分にスプレーをして巣穴に蓋をしたあとは、巣がつくられている場所から巣を切り離して厚手のゴミ袋に回収しましょう。

巣が土の中にある場合は手で掘り起こします。

※スコップを使用すると巣が崩れて回収しづらくなったり、生き残ったハチが襲ってくる可能性があります。

④ゴミ袋を何重にも縛る

もし生きているハチが残っていた場合は非常に危険なため、ゴミ袋は何重にも縛るようにしましょう。

⑤戻りバチを防ぐために駆除スプレーを噴霧する

狩りのために巣の外にいたスズメバチが戻ってくる場合があります。

戻りバチがもともと巣があった場所に寄り付かなくするために、忌避剤として駆除スプレーを噴霧しておきましょう。

⑥駆除したハチの巣を自治体のルールにしたがって処分する

ハチの巣をそのまま放置した場合、残ったサナギが羽化して成虫になる危険性や他の虫が残骸を餌として群がってしまう可能性があり衛生的にもよくありません。

駆除したハチの巣は各自治体のルールにしたがって処分しましょう。

一例として、神奈川県の横浜市ではハチの巣を燃えるゴミとして処分することができます。

高所や入り組んだ場所の巣は危険度が高い

スズメバチは屋根裏や床下のように人が入りにくい場所や、手の届かない高所に巣をつくることもあります。

特に屋根裏や床下では外から巣の全体像やハチの数を確認できないため、想定以上に大きな巣で、多くの働きバチが生活している場合があります。

また、狭く暗い場所での作業は動きが制限されやすく、慣れていないとハチに囲まれてパニックになることも。

このような環境での駆除作業は、軒下や木の枝につくられたスズメバチの巣よりも危険性が高いため、無理に自分で手を出さず、プロのハチ駆除業者に相談するのが安全です。

自分で駆除をするのが不安な方はプロに依頼した方が安心

手の届かない高所にスズメバチの巣がつくられていたりすでに巣が大きくなっていたりする場合は、駆除作業に思わぬ危険が伴います。

そのようなときは、無理をせずプロのハチ駆除業者に相談するのが安心です。

プロであれば巣がつくられている場所やスズメバチの種類など、状況に合わせて適切な方法で駆除してくれるうえ、防護服や専用の道具もそろっているため、安全かつスムーズに対応してもらえます。

まとめ

この記事ではヤドリホオナガスズメバチの生態や、スズメバチに共通する駆除や対策方法について解説しました。

ヤドリホオナガスズメバチは働きバチを産まないことや生息地が限られているため、生息数が少なく珍しいスズメバチではありますが、もし遭遇してしまった場合は刺激しないよう静かにその場を離れるようにしましょう。

害虫害獣コンシェルジュは「これはスズメバチの巣なのかわからない」「駆除すべきか迷っている」といった段階でも、見積りや相談を無料で受け付けています。

少しでも不安を感じる場合は無理をせず、お問い合わせフォームまたはお電話よりお気軽にご相談ください。