スズメバチの天敵にミツバチは入る?命がけの対抗戦略

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おだやかで花から蜜や花粉を集めるイメージのあるミツバチですが、実は凶暴なスズメバチに立ち向かうこともあるのをご存じでしょうか?
スズメバチはミツバチを1匹ずつ襲うだけでなく、食料の宝庫として巣ごと狙ってくることがあります。
スズメバチに巣を襲われたミツバチは、仲間を守るために力を合わせて果敢に反撃することがあるのです。
この記事では、スズメバチとミツバチの関係性や、ミツバチがスズメバチを撃退する方法を解説していきます。
また、こうしたミツバチの存在がスズメバチ対策に役立つのかもあわせて見ていきましょう。
・スズメバチとミツバチの関係
・ミツバチはスズメバチの天敵になるのか
・スズメバチの駆除や忌避にミツバチは活用できる?
・スズメバチの駆除や忌避のために自分でできること
スズメバチとミツバチの違いは?
スズメバチとミツバチは社会性昆虫という共通点があります。
社会性昆虫とは、群れを成して生活し、巣の中で分業が行われている昆虫のことをいいます。
働きバチを産むことが仕事の女王バチと、餌を運び幼虫を育てることが仕事の働きバチで生活するスタイルはスズメバチもミツバチも共通しています。
このような共通点がある同じハチ類のスズメバチとミツバチでも、攻撃性や食性など様々な違いがあります。
ミツバチの巣を集団で襲ってくるオオスズメバチを例に、それぞれの生態について確認してみましょう。
オオスズメバチとミツバチの違い | ||
種類 | オオスズメバチ | ミツバチ |
体長 | 3.0~5.0㎝ | 3.0~5.0㎝ |
見た目 | 頭部:オレンジ色 胸部:黒色 腹部:オレンジ色と黒色の縞模様 ハネ:茶褐色 |
頭部:毛が生えている 胸部:毛が生えている 腹部:黄色と黒色の縞模様 ハネ:透明 |
巣の場所 | 閉鎖空間を好む | 閉鎖空間を好む |
性格 | 獰猛で攻撃的 毒針は何度も刺すことができる |
おだやかで攻撃性は低い 毒針を1度刺したら死んでしまう |
食べるもの | 幼虫:昆虫の肉団子 成虫:幼虫の分泌液や樹液など |
幼虫:花粉や花の蜜 成虫:花粉、花の蜜、巣に蓄えたハチミツ |
オオスズメバチとミツバチは特徴や性質には大きな違いがあります。
オオスズメバチは体長が3.0~5.0㎝と非常に大きく、頭部はオレンジ色、胸部は黒色、腹部にはオレンジ色と黒色の縞模様があり、羽は茶褐色をしています。
一方、ミツバチは体長1.2~2.0㎝と小さく、全身にふわふわとした毛が生えており、腹部には黄色と黒色の縞模様があります。見た目だけでも、両者の印象は大きく異なります。
どちらも閉鎖空間を好み、屋根裏や床下、木の根元などに巣をつくります。
オオスズメバチは地中にも好んで巣をつくりますが、ミツバチは地中に巣をつくることはありません。
性格にも大きな違いがあります。
オオスズメバチは警戒心が強く獰猛で、攻撃性が高い性格です。
毒針は何度でも刺すことができるため、群れで襲われると非常に危険です。
対してミツバチはおだやかで攻撃性が低く、基本的に刺激しなければ刺してくることはありません。
ミツバチは一度針を刺すと自らの命を落としてしまうため、毒針は最後の抵抗手段なのです。
食べるものにも大きな違いがあります。
オオスズメバチの幼虫は、成虫が運んできた昆虫類をかみ砕いて肉団子状にした餌を食べ、成虫は幼虫の分泌液や樹液をなめて栄養をとります。
一方、ミツバチは花粉や花の蜜を主な餌としており、幼虫も成虫が運んできた花粉や蜜を食べ、成虫は花粉や蜜、巣に蓄えたハチミツを食べて暮らします。
そのため食事のためにほかの生物を襲う行動はしないのです。
スズメバチとミツバチはお互いに天敵になる?
スズメバチにとってミツバチは身近な栄養源
スズメバチはミツバチを獲物として認識しています。
なかでもオオスズメバチはミツバチの成虫を1匹ずつターゲットにするだけでは飽き足らず、良質なタンパク源を求めてミツバチの巣を集団で攻撃する習性をもちます。
ミツバチの巣を見つけたオオスズメバチが、その周囲にフェロモン分泌液を擦り付けることで仲間のオオスズメバチが集まります。
敵の襲来に反応して巣から出てきたミツバチの成虫をすべて殺し、その後巣内に侵入し、数日かけてミツバチの幼虫とサナギを自分の巣に運んで幼虫の餌にしてしまうのです。
スズメバチの科学|小野正人 著
スズメバチの天敵となるミツバチの共通点
日本にはニホンミツバチとセイヨウミツバチの2種類のミツバチが生息しています。
ニホンミツバチは日本の在来種で、セイヨウミツバチは1877年に、養蜂のためアメリカから日本に輸入されたミツバチです。
集団でスズメバチに立ち向かう習性がある
ニホンミツバチもセイヨウミツバチも単独行動をしているときに襲われた場合、スズメバチに太刀打ちできません。
巣を襲われたときに限り集団で対抗する方法を持ちます。
スズメバチの天敵となる代表的なミツバチ2選
ニホンミツバチとセイヨウミツバチは、それぞれがスズメバチに対抗する方法を持っています。この代表的な2種類のミツバチについて詳細を確認してみましょう。
ニホンミツバチ
基本情報
和名 | ニホンミツバチ |
学名 | Apis cerana japonica |
分類 | ハチ目ミツバチ科ミツバチ属 |
全長 | 1.2~1.3cm |
生息域 | 本州、四国、九州、対馬、屋久島、奄美大島 |
ニホンミツバチはハチ目ミツバチ科ミツバチ属の昆虫で、北海道と沖縄以外の日本列島の広い範囲に生息しています。
その名のとおり日本在来種のミツバチで、主に花の蜜や花粉を餌する攻撃性の低いおとなしいハチです。
ニホンミツバチは敵とみなした相手を針で刺すことができますが、一度針を刺すと死んでしまいます。
ニホンミツバチの針には逆さのトゲがついているため、簡単に針を抜くことができず、無理に引き抜こうとするとお腹までちぎれてしまうのです。
普段は攻撃的ではないニホンミツバチが針で刺すのは、決死の覚悟で立ち向かうときだけ。
刺激しなければ危害を加えてくることはありません。
ニホンミツバチのスズメバチ撃退法
ニホンミツバチは単独でスズメバチに立ち向かうことはありません。
スズメバチがニホンミツバチの巣に襲来したときに限り、熱殺蜂球(ねっさつほうきゅう)という手段を用いて対抗します。
熱殺蜂球の仕組み
熱殺蜂球とは、1匹のスズメバチに対してニホンミツバチが集団で取り囲み、それぞれが筋肉を震わせることで熱を発生させ、スズメバチを蒸し殺しにするニホンミツバチ独自の戦法です。
上限致死温度 | |
ニホンミツバチ | 48~50℃ |
スズメバチ | 44~46℃ |
ニホンミツバチの上限致死温度はスズメバチを上回っており、熱殺蜂球はそのわずかな温度差を利用したニホンミツバチの防衛戦法なのです。
スズメバチを囲うニホンミツバチの蜂球が形成されてから、熱殺蜂球が完全に終了するまでに要する時間は1時間以上といわれています。
この熱殺蜂球に捕らえられてしまったスズメバチは蜂球の中心部で抵抗を試みますが、ひとたびニホンミツバチに囲まれてしまうとそこから逃げることはできません。
スズメバチの科学|小野正人 著
熱殺蜂球のあとニホンミツバチはどうなるの?
熱殺蜂球が行われ、無事にスズメバチの脅威から自分たちの巣を守ったニホンミツバチ。
巣で生活する多くの仲間を守ることに成功しましたが、この決死の戦いに参加したニホンミツバチは余命が短くなることがわかっています。
熱殺蜂球の中心部の温度はニホンミツバチの上限致死温度である48℃に達することもあるため、相当な負荷がかかるようです。
寿命が短くなったニホンミツバチは、その後また熱殺蜂球を形成する機会が発生した際は自ら危険な中心部に向かう傾向が見られることが研究により明らかになっています。
自然界で戦い続けるため、次世代を守ることで群れの仲間を減らさないようにというニホンミツバチの生存戦略なのでしょう。
セイヨウミツバチ
基本情報
和名 | セイヨウミツバチ |
学名 | Apis mellifera |
分類 | ハチ目ミツバチ科ミツバチ属 |
全長 | 1.2~2.0cm |
生息域 | 日本全国(養蜂場でのみ生息) |
セイヨウミツバチはハチ目ミツバチ科ミツバチ属の昆虫で、日本全土の養蜂場で飼育されています。
養蜂場から逃げ出して一時的に野生化することもありますが、天敵であるスズメバチやダニの影響で群れが消滅してしまうため、セイヨウミツバチが野生化して根付くことはないようです。
近年では天敵が存在しない環境である小笠原諸島のみ、野生のセイヨウミツバチが確認されています。
セイヨウミツバチのスズメバチ撃退法
セイヨウミツバチもニホンミツバチ同様に、単独でスズメバチに立ち向かうことはありません。
スズメバチがセイヨウミツバチの巣に襲来した時に限り窒息スクラムという手段を用いて対抗します。
窒息スクラムの仕組み
スズメバチに集団で対抗する手段はニホンミツバチ特有のものと考えられてきましたが、ギリシャのアリストテレス大学(Aristotle University)の研究チームにより、セイヨウミツバチも集団でスズメバチに対抗する手段を持つことがわかりました。
それがこの窒息スクラムです。
窒息スクラムとは、1匹のスズメバチに対してセイヨウミツバチが集団で取り囲み、スズメバチの腹部を締め付け窒息死させるセイヨウミツバチ独自の戦法です。
スズメバチは呼吸をする際に腹部の収縮を必要とするため、呼吸困難になります。
セイヨウミツバチは、スズメバチを窒息させるために1時間近く命がけで戦います。
セイヨウミツバチが窒息スクラムをおこなう際、ニホンミツバチと同じく蜂球をつくりスズメバチを取り囲みますが、中心温度は44℃ほどでスズメバチが死に至る46℃には達しません。
窒息スクラムのあとセイヨウミツバチはどうなるの?
窒息スクラムの最中、中心部にいるセイヨウミツバチはスズメバチの大きな顎にかみ殺されてしまう可能性があり、非常に危険な状態に身を置くことになります。
そのため、窒息スクラム中に致命傷を負ってしまったセイヨウミツバチはその場で息絶えます。
ニホンミツバチのように戦いに参加しただけで余命が短くなるかどうかは判明していないません。
スズメバチの駆除や忌避にミツバチは活用できる?
ここまでミツバチがスズメバチに対抗する方法を紹介してきましたが、ミツバチはスズメバチの駆除や忌避に活用することはできるのでしょうか?
スズメバチの天敵としてミツバチを活用することは難しい
ミツバチは単独のスズメバチに集団で対抗する方法として熱殺蜂球や窒息スクラムを行いますが、この行動はあくまで自分たちの巣が脅かされた際の対抗手段です。
ミツバチは攻撃性が低くおとなしいハチのため、巣を脅かされる心配が無いのに自らスズメバチに攻撃を仕掛けることはありません。
また、スズメバチはミツバチやその巣を餌として認識しているため、スズメバチ対策としてミツバチの飼育を始めると、むしろ飛来する可能性が高くなってしまいます。
ミツバチをスズメバチの駆除や忌避に活用するのは難しいでしょう。
ミツバチ関連グッズも効果はない
その見た目の愛らしさから、ミツバチ関連グッズは数多く販売されていますが、前述のとおりスズメバチはミツバチを天敵ではなく獲物として認識しています。そのため、スズメバチの駆除や忌避を目的としてミツバチ関連グッズを利用しても効果は期待できません。
天敵グッズのみでスズメバチの駆除や忌避は難しい
ここまででミツバチがスズメバチの天敵になるのか、そのミツバチを模したグッズでスズメバチの駆除や忌避を行うことは難しいと紹介してきましたが、実際に駆除や忌避を行う際はどのような道具が適切なのでしょうか?
捕獲器を使う
ハチが好む甘い香りでスズメバチを誘因する捕獲グッズです。
中に入ると誘因捕獲液に沈み、二度と出られない仕組みになっています。
大量のハチ向きではありませんが、春先に一匹で活動する女王バチを捕獲するのには最適です。
スズメバチが巣を作りやすいと考えられる場所に設置することで、巣作りの防止にも活用できます。
駆除エサ剤を使う
駆除エサ剤は、スズメバチの巣から10mほど離れた場所に置くだけで巣ごと駆除ができる駆除グッズです。
スズメバチが好む甘い香りが広がる仕組みになっており、器の中には害虫駆除に用いられるフィプロニルという成分が配合されたエサ剤が入っています。
スズメバチはこのエサ剤を持ち帰り、巣にいる仲間のハチや幼虫に分け与えます。
その結果、巣全体にエサ剤の毒がまわり、巣が壊滅します。
駆除スプレーを使う
即効性があり、効果的なのは駆除スプレーです。
スズメバチの駆除スプレーにはピレストロイド系の成分が入っており、この成分はスズメバチの神経作用をマヒさせる効果があります。
すばやくスズメバチの動きを止めることで、スズメバチの集団攻撃が激化する前にすばやく駆除することができます。
また、巣が作られやすい場所にあらかじめスプレーをしておくことで数か月間の巣作り防止効果が期待できます。
スズメバチの駆除をする場合は、頭や顔も含め、必ず肌が露出していない状態で行いましょう。
スズメバチは巣を襲われた際に集団で攻撃に出てくる習性があり、油断をすると致命的な怪我につながる可能性があります。
巣が直径10㎝を超える場合は、無理に自分で駆除をせずプロへの依頼をオススメします。
自治体で防護服などの無料貸し出しを行っている地域もあります。
参考:横浜市役所
自分で駆除をするのが不安な方はプロに依頼した方が安心
スズメバチの巣が手の届かない高い場所や、巣が大きくなっている場合の駆除作業は危険が伴います。
そのようなときは無理をせず、プロに相談するのが安心です。
プロの業者であれば、状況に合わせて適切な方法で駆除してくれるうえ、防護服や専用の道具もそろっているので、安全かつスムーズに対応してくれます。
害虫害獣コンシェルジュは「これはスズメバチの巣なのかわからない」「駆除すべきか迷っている」といった段階でも、見積りや相談を無料で受け付けています。
少しでも不安を感じる場合は無理をせず、お問い合わせフォームまたはお電話よりお気軽にご相談ください。
まとめ
・日本にはニホンミツバチとセイヨウミツバチの2種類が生息している
・スズメバチがミツバチの巣を襲ってきたときに限り対抗手段をもつ
・ニホンミツバチは熱殺蜂球によりスズメバチを蒸し殺しにする
・セイヨウミツバチは窒息スクラムによりスズメバチを窒息死させる
・ミツバチはスズメバチの駆除や忌避に活用できない
この記事ではミツバチがスズメバチの天敵になるのかと、ミツバチグッズがスズメバチ対策として活用できるかを解説しました。
ミツバチは自分の巣を守るために対抗方法を持ちますが、積極的にスズメバチを攻撃するハチではありません。
そのためスズメバチの天敵として駆除や忌避に活用することは難しく、スズメバチ対策としての効果は期待できません。
自分で対策を行う場合は、市販されている捕獲器や駆除エサ剤、駆除スプレーを利用しましょう。
また、すでにスズメバチが活発に出入りしている巣や大きくなってしまった巣の駆除には危険が伴います。
少しでも不安を感じる場合はプロの無料相談を利用しましょう。
スズメバチの駆除は害虫害獣コンシェルジュでも承っておりますので、お問い合わせフォームまたはお電話よりお気軽にご相談ください。