絶滅危惧種のヤマトアシナガバチ|生態や駆除について解説

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黄緑色の蓋がされているハチの巣を見かけたら、ヤマトアシナガバチの巣かもしれません。
家の敷地内にあるハチの巣を放置すると、自分が刺されるだけではなく、近隣にも影響が及ぶ可能性がでてきます。
この記事では、ヤマトアシナガバチの生態や危険性、自力駆除や敷地内に寄せ付けない方法について解説します。
- ヤマトアシナガバチの生態
- ヤマトアシナガバチの巣の特徴
- ヤマトアシナガバチの危険性
- ヤマトアシナガバチと遭遇・刺されたときの対処法
- ヤマトアシナガバチの巣の駆除方法
ヤマトアシナガバチってどんなハチ?

ヤマトアシナガバチの基本情報
| 和名 | ヤマトアシナガバチ |
| 学名 | Polistes japonicus japonicus |
| 分類 | ハチ目細腰亜目有剣下目スズメバチ上科 スズメバチ科アシナガバチ亜科アシナガバチ族アシナガバチ属 |
| 体長 | 女王バチ:1.8cm前後 働きバチ:1.5~1.7cm オスバチ:1.7cm前後 |
| 巣の場所 | 開放空間(草木の枝、葉の裏、石垣、建物の軒下、壁の隙間、屋外の倉庫、庭木など) |
| 巣の規模 | 育房:50~200房程度 |
| 巣の特徴 | シャワーヘッド型 サナギの繭が鮮やかな淡い黄色~黄緑色 |
| 主な餌 | 幼虫:昆虫の幼虫や芋虫などを肉団子状にしたもの 成虫:幼虫の分泌液や樹液、花の蜜など |
| 生息域 | 本州、四国、九州、対馬島、屋久島、奄美大島など |
和名にヤマトとあるように、ヤマトアシナガバチは日本産のアシナガバチです。
見た目の特徴や大きさ、生息域などについて詳しく解説します。
ヤマトアシナガバチの見た目

ヤマトアシナガバチは、体全体が赤褐色で、胸部・腹部・脚の一部は黒色です。
特徴として中胸背板と前伸腹節にそれぞれ2本の縦線が入っています。
胸部中央にある中胸背板は黒色がベースで、2本の筋は赤褐色や黄褐色です。
胸部から腹部につながるくびれた部位の前伸腹節にも2本の黄色く太いラインが入っています。
腹部は全体が褐色を帯びた黄色で、褐色の斑紋があります。
同じアシナガバチ属のなかで攻撃性が強いキアシナガバチに擬態している他、セグロアシナガバチにも姿が似ています。

キアシナガバチは腹部の黄色みが強く、セグロアシナガバチは前伸腹節が黒一色で縦線が入っていないという違いがあります。
また、両種の大きさは1.6~2.4cmで、ヤマトアシナガバチよりもやや体が大きいです。細かな違いはあるものの、遠目から見分けるのは難しいでしょう。
ヤマトアシナガバチの大きさ

ヤマトアシナガバチの大きさは1.5~1.8cmです。
ハチのなかでも大型のオオスズメバチが2.6~5.0cm、小型のニホンミツバチが1.2~1.3cmであり、ヤマトアシナガバチは小型のハチに分類されます。
直径が2.0cmの一円玉より少し小さいサイズです。
ヤマトアシナガバチの生息域

ヤマトアシナガバチは、日本国内で本州や四国、九州、対馬島、屋久島、奄美大島などに生息しています。
ヤマトアシナガバチは絶滅の恐れがある
ヤマトアシナガバチは、環境省が定めるレッドリストに掲載されています。
レッドリストは、日本の野生生物のうち種の絶滅の危険度を客観的に評価したリストです。
<環境省のレッドリストのカテゴリー>
| 絶滅 | 我が国ではすでに絶滅したと考えられる種 |
| 野生絶滅 | 飼育・栽培下あるいは自然分布域の明らかに外側で野生化した状態でのみ存続している種 |
| 絶滅危惧I類 | 絶滅の危機に瀕している種 |
| 絶滅危惧IA類 | ごく近い将来における野生での絶滅の危険性が極めて高いもの |
| 絶滅危惧IB類 | IA類ほどではないが、近い将来における野生での絶滅の危険性が高いもの |
| 絶滅危惧Ⅱ類 | 絶滅の危険が増大している種 |
| 準絶滅危惧 | 現時点での絶滅危険度は小さいが、生息条件の変化によっては「絶滅危惧」に移行する可能性のある種 |
| 情報不足 | 評価するだけの情報が不足している種 |
| 絶滅のおそれのある地域個体群 | 地域的に孤立している個体群で、絶滅のおそれが高いもの |
ヤマトアシナガバチは環境省のレッドリストで情報不足に該当する他、茨城県や栃木県、群馬県、埼玉県などの都道府県では絶滅危惧種に指定されています。
個体数が減っている原因は明らかではありませんが、市街地の開発や里山の環境変化が生息を脅かす要因として考えられています。
国や自治体でも希少な種とされている一方で、保護や捕獲規制されている種ではありません。
そのため、巣をつくられて刺傷などの危険がある場合には、生活や身を守るために駆除が実施されています。
絶滅危惧種に指定されている自治体でも、駆除の際に許可や届け出は不要です。
日本の真社会性ハチ|高見澤 今朝雄 著
そもそもアシナガバチとは?
アシナガバチの分類や生態、巣などの基礎知識を知っておきましょう。
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アシナガバチはスズメバチ科に属し、世界で4族26属1000種以上が確認されているハチです。
日本ではこのうちアシナガバチ族とチビアシナガバチ族に分類される、3属12種のアシナガバチが生息しています。
ヤマトアシナガバチはアシナガバチ属の分類です。
| アシナガバチの分類 | 種類 | |
| アシナガバチ族 (Polistini) |
アシナガバチ属 (Polistes) |
ヤマトアシナガバチ、セグロアシナガバチ、キアシナガバチ、フタモンアシナガバチ、トガリフタモンアシナガバチ、タイワンアシナガバチ、タイワンアシナガバチ、キボシアシナガバチ、コアシナガバチ |
| チビアシナガバチ族 (Ropalidiini) |
チビアシナガバチ属 (Ropalidia) |
オキナワチビアシナガバチ、ナンヨウチビアシナガバチ |
| ホソアシナガバチ属 (Parapolybia) |
ヒメホソアシナガバチ、ムモンホソアシナガバチ | |
スズメバチ科に分類されていることもあり、狩りをした虫を肉団子状にして幼虫に与える食性や、毒針による攻撃などの生態はスズメバチによく似ています。
アシナガバチの刺傷による死亡事例も確認されているため、不用意に近づかないように注意すべき昆虫です。
アシナガバチの生態

アシナガバチは群れで生活し、階級によって働きを分業する社会性昆虫です。
階級は女王バチ、働きバチ、オスバチと3つに分かれています。
スズメバチと生態はほぼ同じですが、新女王バチが単独ではなく集団で越冬する種類が確認されています。
この記事で紹介するヤマトアシナガバチも、他の種と複数匹で集まって冬を越す習性があるハチです。
多いときは同じ場所に数百匹集まることもあります。
| アシナガバチの分業 | |
| 初代女王バチ |
|
| 働きバチ (メスのみ) |
|
| オスバチ |
|
| 新女王バチ |
|
初代女王バチ
初代女王バチが越冬から目覚めると群れの活動が始まります。
ヤマトアシナガバチの初代女王が目を覚ますのは5月中旬~下旬です。
働きバチを産卵・育成するため、活動初期の巣づくりや群れの維持管理などは、働きバチが羽化するまですべて初代女王が単独で担います。
具体的には巣材の採取、巣の形成、産卵、幼虫の世話などです。
働きバチ
ヤマトアシナガバチの働きバチが羽化するのは7月上旬です。
働きバチが羽化すると、産卵以外のほぼすべての作業を担います。
具体的には初代女王がつくった巣の拡大や、他の働きバチやオスバチ、新女王バチの育成です。
働きバチの成虫が狩りで得た獲物を肉団子状にし、幼虫に餌として与えます。
巣の温度管理や、毒針の攻撃で敵から群れを守るのも働きバチの役割です。
オスバチ
オスバチは巣が成熟した頃に生まれます。
ヤマトアシナガバチのオスは、8月上旬~10月上旬に羽化します。
働きバチとは異なり、巣づくり・育児・狩りなどは行わず、役割は繁殖(子孫を残すこと)のみです。
羽化後も未成熟なまま一定期間を巣で過ごし、新女王バチが巣立つ時期に合わせて巣を離れ、別の巣で育った新女王バチと交尾します。
交尾後は役割を終え、寿命を迎えます。
新女王バチ
新女王バチもオスバチ同様、巣が成熟した時期に生まれます。
ヤマトアシナガバチの新女王が羽化するのは、8月上旬~10月上旬です。
羽化後は繁殖期まで巣で過ごしてから巣を離れ、別の巣で育ったオスバチと交尾したのち、集団で越冬します。
越冬場所は木の洞、朽ち木、落ち葉の中、建物の屋根裏などです。
翌年、越冬から目覚めたら、新たな群れの初代女王バチとして活動を始めます。
アシナガバチの巣はシャワーヘッド状の形

ハチの巣は種類によって形状が大きく異なります。
アシナガバチの巣はシャワーヘッドのような形状で、下や横向きに六角形の育房がむき出しになっています。
スズメバチの巣は、育房が連なった板状の層(巣盤)がマーブル模様の外皮で覆われており、出入口は1つだけです。
ミツバチの巣は、下に垂れた平らな板状の巣(巣板)が何枚も並んだ構造をしています。
ヤマトアシナガバチの巣の特徴

ハチの種類によって巣の形状が異なることを踏まえ、ヤマトアシナガバチの巣の特徴を確認しましょう。
ヤマトアシナガバチはどんな巣をつくる?

| 巣の見た目 | シャワーヘッド型 サナギの繭が鮮やかな淡い黄色~黄緑色 |
| 巣の規模 | 育房:50~200房程度 |
ヤマトアシナガバチの巣は、鮮やかな色の蓋が最大の特徴です。
これは幼虫が育つ部屋(育房)にあるサナギの繭で、淡い黄色~黄緑色をしています。
巣の規模は、1000房を超える他種と比べると50~200房と小さいです。
巣材として、他種は植物の繊維や木材を用いますが、ヤマトアシナガバチは葉や茎の長い毛を削り集めてより丈夫な巣をつくる習性があります。
その形状は、同じく長い毛を材料とするキボシアシナガバチの巣とよく似ています。

ヤマトアシナガバチの繭は緑色が強く厚みがありません。
また、巣全体を側面から見ると傾斜が強いです。
一方、キボシアシナガバチの繭は、黄色が強いうえに分厚い特徴があります。
巣の傾斜はヤマトアシナガバチの巣より緩やかです。
ただし、キボシアシナガバチの繭も黄緑に近い色になることがあるため、2種の巣を見分けるのは困難です。
ヤマトアシナガバチが巣をつくる場所

ヤマトアシナガバチは希少種ですが、巣の駆除は禁止されていません。
主な生息地は山林などの自然が多い場所ですが、人の生活圏に巣をつくることもあるため、住宅での駆除事例も確認されています。
巣づくりに好まれる場所の条件は、開放空間でありながら雨風をしのぎ、敵に見つかりにくいことです。
自然の中では草木の枝や葉の裏など、人の生活圏では建物の軒下や壁の隙間、屋外の倉庫、庭木、石垣などに巣づくりをします。
アシナガバチの生態 : 小さなラガーたち|田淵行男 著
日本の真社会性ハチ|高見澤 今朝雄 著
ヤマトアシナガバチの危険性

ヤマトアシナガバチの攻撃性や、活動時期による危険性の変化について解説します。
ヤマトアシナガバチの攻撃性は?

ヤマトアシナガバチは、巣に激しい振動などの刺激を与えると攻撃してくることがあります。
攻撃に移る前には警戒行動、威嚇行動と段階を踏んだ防衛行動を取ります。
具体的な防衛行動は以下にまとめました。
| アシナガバチの防衛行動 | ||
| 1 | 警戒行動 | 【きっかけ】
【具体例】
|
| 2 | 威嚇行動 | 【きっかけ】
【具体例】
|
| 3 | 攻撃 | 【きっかけ】
【具体例】
|
巣への急激な接近や強い振動を与えた際は、段階を踏まずいきなり襲われることもあるため、見かけた場合は刺激せずに静かにその場を離れましょう。
遭遇時の対処法については、ヤマトアシナガバチを見かけたらどうする?も参考にしてください。
追撃距離はアシナガバチの種類によって異なり、ヤマトアシナガバチは巣から10m以内であれば追撃します。
ヤマトアシナガバチの毒性

ヤマトアシナガバチに刺されると、強い痛み、腫れ、かゆみが伴います。
アシナガバチの毒はスズメバチほど強力ではないものの、ミツバチよりは強いです。
体質によってはアナフィラキシーショックを起こし、最悪の場合は死に至ります。
巣に近づくと複数匹に襲われる他、1匹に繰り返し毒針で攻撃されることもあるため、1回の遭遇で複数回刺されるリスクがあります。
刺される回数が増えるほど、アナフィラキシーの危険性も高いです。
身の安全を守るために、後述する刺されないための対策や刺されてしまった際の応急処置についても知っておきましょう。
ヤマトアシナガバチの活動時期

| 時期 | 危険度 | 主な活動 |
| 5月中旬~7月上旬 | 低 | 女王バチが越冬から目覚め、単独で巣づくり、産卵、働きバチの育成を開始 |
| 7月~8月中旬 | 高 | 働きバチが増えることで巣も大きくなり、群れの成長が急加速する |
| 8月上旬~10月上旬 | 高 | 新女王バチとオスバチが羽化する |
| 9月下旬~5月下旬 | 低 | 交尾を終えた新女王バチのみが越冬する |
ヤマトアシナガバチは活動時期によって危険性が変化します。
活動が始まる5月中旬から7月上旬は、女王バチが単独で行動する時期です。
1匹で行動する女王バチも攻撃する毒針を持つため、刺激を与えないよう注意が必要です。
7月以降は働きバチが増え、群れの攻撃性が強まり危険度が高くなります。
9月下旬以降の危険度が低に移行する時期も、群れの活動が完全に終了しているわけではないため、まだ危険度が高いかもしれないという前提で行動しましょう。
9月下旬から5月下旬の越冬期は動きが少ないため危険度は低いです。
ただし、冬でも気温が高い日には、集団で越冬しているアシナガバチが、一時的に活動することがあります。
複数匹が動き出すケースもあるため、冬であっても完全に安全な状態ではないと心得てください。
活動時期による自力駆除の見極めとしては、危険度が低い期間を推奨しますが、どのタイミングでも刺傷のリスクはあり危険を伴います。
少しでも不安を感じる場合は無理をせず、駆除のプロへ依頼しましょう。
ヤマトアシナガバチを見かけたらどうする?

希少種であるヤマトアシナガバチを見かける機会は少ないですが、住宅付近での巣づくりが確認されているため、遭遇の可能性はあります。
もし見かけたときに刺されないよう、取るべき行動や気を付けることを知っておきましょう。
ヤマトアシナガバチの姿や巣を見ても冷静に対処する

ヤマトアシナガバチの姿や巣を見かけたときの第一の心がけは、冷静に対処することです。
巣やハチを見つけても騒がない
ヤマトアシナガバチと遭遇した際に騒いで刺激を与えると、攻撃のきっかけとなる恐れがあります。
具体的には大声を出す、手で払う、巣を棒で突く、たたき落とす、息を吹きかけるなどの行動です。
驚いても慌てず、落ち着いて行動しましょう。
その場から静かに離れる
ヤマトアシナガバチの姿や巣に驚いて走って逃げると、大きな動きや振動が攻撃のきっかけとなることもあります。
静かにその場から離れましょう。
頭や目(黒い部分)に気を付ける
ハチは黒色を攻撃する習性があります。
一説では、ハチの天敵であるクマやハチを食べるアジア民族の急所(鼻・頭・目など)が黒色であったことから、急所を狙うために黒色を攻撃すると考えられています。
頭や目など体の黒い部分は、淡い色の帽子を被ったり、タオルで覆ったりして隠しましょう。
頭や顔を覆うことができる、虫よけネット付きの帽子を被ることも対策となります。
ヤマトアシナガバチの巣に近寄らないようにする
ヤマトアシナガバチの攻撃性は?でも解説したように、巣に近づくとアシナガバチの警戒心を高めます。
特に急激な接近は攻撃される危険性もあるため、巣を見つけた際は近寄らないようにしましょう。
ヤマトアシナガバチに刺されないためにできること

ヤマトアシナガバチに刺されないためには、刺激する服装やニオイを避けることが大切です。
黒い服装を避ける
頭や目(黒い部分)に気を付けるで先述したように、ハチは黒色に対して攻撃する習性があるため、刺されないためには黒い服装を控えましょう。
明るく淡い色の服装が安全ですが、白色や黄色は他の虫が寄ってくる色です。
そのため、ヤマトアシナガバチと他の虫どちらも忌避するには、ベージュや明るいグレー、明るいカーキなどの色を選んでください。
強いニオイを避ける
ハチは特定の強いニオイに引き寄せられ、興奮して攻撃性が高まることがあります。
山や草原など自然が多い場所では、ニオイが強い化粧品や香水、ヘアスタイリング剤、柔軟剤などの使用は避けてください。
清涼飲料水(甘い香りがするもの)は避ける
ジュースやスポーツドリンクなど甘い香りのする清涼飲料水は、ヤマトアシナガバチが餌と認識して寄ってくる可能性があります。
放置した清涼飲料水の缶にハチが入り込み、飲もうとした人の唇や口の中が刺された事例もあり危険です。
甘い香りの飲料を巣の近くで飲むことや、空いた容器を放置することは控えましょう。
ヤマトアシナガバチに刺されてしまったら

ヤマトアシナガバチに刺されてしまったときは、体の変化をよく見て、命を守るための行動を取りましょう。
アレルギー反応が出ていないか全身を確認

ヤマトアシナガバチに刺された際の症状は、局所反応と全身反応の2種類です。
局所反応は、刺された周辺に痛み・腫れ・赤みが生じます。
痛みは数時間から1日程度で治まることが多いですが、かゆみを伴うしこりや腫れは数日続く場合もあります。
全身反応は、体全体に症状が広がるアレルギー反応です。
重症化するとアナフィラキシーショックを引き起こす可能性があり、最悪のケースでは死に至ります。
また、アシナガバチ以外でもハチに刺された経験がある人は、ハチ毒に対する抗体により、2回目以降の刺傷で症状が重くなるリスクが高いです。
事前にハチ毒のアレルギーがわかっていて、ヤマトアシナガバチと遭遇する可能性がある人は、アナフィラキシーショックを防ぐための補助治療剤であるエピペン®を携帯してください。
刺された後は体調の変化をよく観察し、アレルギー反応の兆候や異変を感じた場合は、すみやかに対処しましょう。
- 不安感
- ピリピリ感
- 浮動性めまい(ふわふわと浮いているような感覚のめまい)
- 全身のかゆみおよびじんましん
- 唇や舌の腫れ
- 喘鳴(気道が狭くなり呼吸時にヒューヒュー、ゼーゼーと音がする)
- 呼吸困難
- 虚脱(失神を伴わない急激な脱力、血圧の低下)
- 意識消失
上記に挙げた全身反応があるときは、すぐに救急車を呼んでください。
全身反応がない場合は、次にご紹介する応急処置を行いましょう。
ただし、処置中や処置後も体調の変化を注意深く観察し、少しでも異変を感じたら、すぐに医療機関を受診してください。
傷口を流水で洗い毒を取り除く

毒針が残っている場合は、指先やカードなどで皮膚を傷つけないように慎重に取り除きます。
アシナガバチの針は何度も抜き差しできる構造のため、毒針が残る可能性は低いですが、念のため確認しましょう。
口で毒を吸い出すと、毒が粘膜から体内に吸収される恐れがあるため控えてください。
ハチ毒は水に溶けやすいため、患部を指でつまむように押して毒を絞り出し、流水で洗い流すと毒の量を減らせます。
毒を吸い出す道具であるポイズンリムーバーを備えておくと、応急処置に役立ちます。
抗ヒスタミン軟膏を塗布し患部を冷やす

患部を洗い流した後は、炎症を抑えるために、市販でも手に入るステロイド外用薬や抗ヒスタミン外用薬を塗布してください。
薬を塗った後は、濡れタオルや保冷剤、湿布などで患部を冷やすことで、かゆみや腫れの軽減を期待できます。
患部を持ちあげ腫れを和らげる

手足を刺された場合は、患部を心臓より高い位置にあげることで血液やリンパの滞留を防ぎ、腫れの拡大を抑えます。
患部は高い位置のまま引き続き冷やしてください。
応急処置後、30分以上体調に変化がなければ重篤化の可能性は低いです。
ただし、刺されてから約1時間後にアナフィラキシー症状が生じる場合もあるため、軽症でも油断せず、その後も体調の変化に注意しましょう。
症状が軽くても自己判断で放置せず、医療機関の診察を受けてください。
ヤマトアシナガバチを駆除するには?

ヤマトアシナガバチの巣を放置すれば、刺傷など危険が及ぶことがあるため、早めの駆除が必要です。
自分で駆除する場合は危険が伴うため、事前に可否を判断しましょう。
必要な道具や駆除に適した時間帯など、安全に作業するための方法を詳しく解説します。
事前に確認した上で、少しでも難しいと感じる場合は無理をせず、駆除のプロへ依頼しましょう。
ヤマトアシナガバチの活動初期は捕獲器で対策

アースガーデン ハチ取り撃滅 捕獲器タイプ 2個入|アース製薬
ヤマトアシナガバチの女王が活動を始める5月中旬~7月上旬に捕獲器を設置すると、巣づくりを防ぐことができます。
捕獲器は、ハチが好む香りで誘引し、一度入ると外に出られない駆除グッズです。
働きバチが羽化し始めて数が増える7月以降は、設置する際に群れに襲われる可能性や複数匹のハチを誘引する恐れがあるため、捕獲器を使用する時期を見極めてください。
ヤマトアシナガバチの自力駆除を考える前に

毒針を持つヤマトアシナガバチの巣の駆除は危険な作業です。
すでに巣がある場合は、自力で駆除できるかの見極めが必要になります。
自力駆除の判断基準をご紹介するので、安全に対応できるか必ず事前に確認してください。
絶対に無理はせず、少しでも不安がある方は駆除のプロに依頼しましょう。
本当にアシナガバチ?
スズメバチをアシナガバチと勘違いしたまま駆除を行うと、刺傷リスクが大幅に高まります。
スズメバチはアシナガバチよりも群れで攻撃する際の数が多く、大顎で噛みつきながら毒針を何度も刺すなど、攻撃性が非常に高いためです。
また、スズメバチは巣の半径2~10mほどを警戒範囲としており、この範囲に入ると攻撃される可能性があります。
さらに、一度敵と認識されると50mもの距離を追いかけてくることがあるのです。(追撃距離)
一方、アシナガバチの警戒範囲は明確なデータがないものの、巣から50cmほどの距離まで近づくと警戒行動を取ったという事例が確認されています。
追撃距離は数m~30m前後です。
| アシナガバチとスズメバチの違い | ||
| 種類 | アシナガバチ | スズメバチ |
| 警戒範囲 | 明確なデータなし | 2~10m |
| 追撃距離 | 数m~30m | 3~50m |
アシナガバチの警戒範囲や追撃距離だけを見ると危険性は低いように感じるかもしれませんが、ハチの種類を正確に判別するのは難しく、駆除対象がスズメバチである可能性も考えられます。
危険性も踏まえ種類の判別がつかないうちは、安全のためにもむやみに近づかないようにしてください。
駆除を検討しているハチが本当にアシナガバチなのか確認するために、見た目や巣の特徴、飛び方の違いについて知っておきましょう。

| アシナガバチとスズメバチの違い | ||
| 種類 | アシナガバチ | スズメバチ |
| 見た目 |
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| 巣 |
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| 飛び方 |
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見た目の大きな違いは、胸部と腹部のつながりです。
アシナガバチは腹部がなだらかに太くなり、体が全体的にほっそりとしていますが、スズメバチの腹部は弾丸のような形で胸部とのくびれがはっきりとしています。
また、アシナガバチは名前にもあるように脚が長いことも特徴です。
巣の違いは先述したように形状です。
アシナガバチの巣はシャワーヘッド型で育房がむき出しになっており、スズメバチの巣はマーブル模様の外皮に覆われた球状で出入り口が1つとなっています。
飛び方の違いは主にスピード感です。
アシナガバチは長い脚を垂らし、ふらふらとしながらゆっくりと飛びます。
一方、スズメバチは脚を垂らさず、直線的に、時速30kmにもおよぶ速度ですばやく飛びます。
巣の大きさは直径10cm以下か
巣の大きさは、直径10cm以下が自力駆除の目安です。
直径10cm程度までの巣は活動初期であり、ハチの数が少ないため、刺傷リスクが比較的低いといえます。
規模が大きい巣はハチの数も多く、駆除の危険性が高いため、巣のサイズが直径10cmを超えている、あるいは巣に10匹以上のハチが常にいる場合は、駆除のプロへ依頼することを推奨します。
どこに巣がつくられているのか?
巣をつくられた場所によっては自力駆除が難しいこともあります。
もしスプレーが届かない位置や地上2m以上の高所作業の場合、自力での対応は難易度が高いです。
巣が見つからない場合や、作業しづらい場所にある場合は無理に自分で対応せず、駆除のプロへ依頼しましょう。
アレルギーは持っている?
アレルギー反応が出ていないか全身を確認で解説したように、ヤマトアシナガバチに刺されるとアナフィラキシーショックを起こす可能性があります。
特に、ハチに刺された経験がある場合は、よりリスクが高いです。
ハチに刺されると体内にハチ毒に対する抗体ができ、再び刺されるとアナフィラキシーショックなど強いアレルギー反応が生じる危険があります。
そのため、一度でもハチに刺された経験がある人は自力駆除を控え、プロへ依頼してください。
巣がある場所は自分で駆除していい場所か
ヤマトアシナガバチの巣がある場所によっては、駆除の可否は管轄への確認が必要です。
自宅が一戸建てであれば、敷地内の巣は自分で駆除の判断ができます。
具体的な確認方法については以下にまとめました。
| 駆除作業を行う前の確認 | |
| 巣の場所 | 管轄 |
| 自宅の敷地内 | 自己判断での駆除作業が可能 |
| アパートやマンション | 管理会社、管理組合の理事会、大家 |
| 自治体運営の公園 |
自治体の担当部署 |
| 電柱 | NTTまたは電力会社 |
アパートやマンションなどの集合住宅の場合は、管理会社や管理組合の理事会、大家さんの判断を仰ぐ必要があります。
自治体が運営する公園は、役所や役場に問い合わせ、道路公園センターなどの担当部署に確認しましょう。
電柱の場合、NTTまたは電力会社の管轄のため、電柱にある番号札でわかる管轄に連絡してください。
駆除グッズはそろっているか
ヤマトアシナガバチの巣を駆除するためにはさまざまな駆除グッズが必要です。
自力で駆除作業を行う前に、すべての道具がそろっているか必ず確認してください。
安全に駆除するために必要な道具一覧
ヤマトアシナガバチの安全な駆除には、攻撃から身を守るための準備が大切です。
必ず作業前に道具一式がそろっているか確認し、足りないものは事前に買い足してください。
特に、刺傷事故対策として肌の露出や隙間をなくすことを心がけましょう。
| 道具 | 商品 | 用途 |
| 駆除スプレー (2~3本) |
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ヤマトアシナガバチの動きを止める殺虫スプレー |
| 白い防護服 (7mm以上の厚手のもの) |
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ヤマトアシナガバチの攻撃から身を守る |
| 厚手の白い手袋 | ![]() |
ヤマトアシナガバチの攻撃から手元を守る |
| 白い長靴 | ![]() |
ヤマトアシナガバチの攻撃から足元を守る |
| 長い棒 | ![]() |
駆除が完了したヤマトアシナガバチの巣を落とす |
| 厚手のゴミ袋 | ![]() |
巣やハチの残骸を回収する |
| トング | ![]() |
死骸回収時に使用 |
| 掃除用具 | ![]() |
駆除作業後に落ちている巣やヤマトアシナガバチの死骸を回収する |
| ライト (赤色灯) |
![]() |
夜間作業の際に使用する (ヤマトアシナガバチを刺激してしまうため直接巣に光を当てないこと) |
| ポイズンリムーバー | ![]() |
ヤマトアシナガバチに刺されたときに毒を吸いだす |
| 抗ヒスタミン剤を含むステロイド軟膏 | ![]() |
ヤマトアシナガバチに刺されたときの応急処置に使う |
ヤマトアシナガバチの駆除に適した時間帯

ヤマトアシナガバチは日中に餌や巣材探しのために外で活動し、夕方に巣に帰ってきます。
そのため、日没後2~3時間後から早朝までの時間帯に、群れをまとめて駆除することが可能です。
また、夜間は日中よりもハチの行動が落ち着くことも、駆除する時間帯として適している理由の1つです。
夜に駆除作業を行う際は、日中に巣の位置や大きさを安全な場所から確認しておきましょう。
夜間に通常のライトを使用すると、アシナガバチが光に集まり、攻撃態勢に入ることがあります。
一般的にハチ目の昆虫は赤い光を認識しづらいとされ、赤色灯やライトに赤いセロハンを巻く方法が推奨されています。
ただし、赤色灯を使用していても安全が確実に保証されるわけではありません。
夜間の駆除作業は、照明の種類に関係なく常に危険が伴います。
対処法としては、巣に直接ライトを当てるのではなく、駆除現場から少し離れた場所にライトを設置して巣の周辺を間接的に明るくするといいでしょう。
ヤマトアシナガバチ駆除の手順(開放空間に巣がある場合)
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ヤマトアシナガバチの巣を駆除する手順をご紹介します。
安全に作業するため、事前に手順を確認しておきましょう。
万が一、襲われた際の逃げるルートや安全な場所を確保することも大切です。
①必要な道具がそろっているか確認
安全に駆除作業を進めるため、必要な道具がそろっているか事前に確認し、不足している場合は作業前に必ず購入してください。
防護服を着用した後は、小さな隙間からヤマトアシナガバチが侵入するのを防ぐため、穴や隙間がないかチェックしましょう。
ヘルメットと防護服のファスナー部分、手袋との隙間、長靴とズボンの間などは特に注意が必要です。
防護服ではない代用品の着用では、衣類を貫通して刺される可能性があり、確実に刺傷が防げるわけではありません。
毒針の長さが7mmのアシナガバチも発見されており、より安全に駆除するためには、生地が厚い防護服の着用が推奨されます。
また駆除スプレーは、作業の途中で1本を使い切ってしまう場合に備え、予備として複数本のスプレーを手元に置いてください。
②ヤマトアシナガバチの巣に向けて駆除スプレーを噴射する
風上に立ち、巣から1~2mほど離れた場所から駆除スプレーを20~30秒噴射します。
巣に潜むヤマトアシナガバチは一斉に飛び立ちますが、そのまま続けてスプレーを続けてください。
殺虫成分が効き始めると、動けなくなり死亡します。
③巣や死骸をゴミ袋に回収する
十分にスプレーした後、巣の周りに生きているヤマトアシナガバチがいないことを確認したら、長い棒やトングでつついて巣を根元から落とします。
木の枝についている場合は剪定ばさみで切り落としましょう。
巣を落とす際は下にゴミ袋を敷いておくと回収が容易です。
地面に落ちたハチの死骸は、トングや掃除用具を使ってゴミ袋に入れましょう。
④ゴミ袋を何重にも縛る
動かなくなったヤマトアシナガバチのなかには、薬剤が十分にかかりきらず、再度動き始める個体もいます。
ハチを回収したゴミ袋内にも追加でスプレーすると安心です。
厚手のゴミ袋を2枚重ねや3枚重ねにし、しっかりと固く縛るとより安全性が高まります。
⑤戻りバチを防ぐために駆除スプレーを噴霧する
外に出ていた働きバチは、帰巣本能により巣があった場所に戻ってくる(戻りバチ)ことがあります。
戻りバチ防止のために、巣を駆除した後は周囲に駆除スプレーを噴霧すると忌避に効果的です。
日没後の駆除作業でも、すべての働きバチが戻っていない可能性があるため、駆除スプレーで戻りバチを予防しましょう。
⑥駆除したハチの巣を自治体のルールにしたがって処分する
駆除したヤマトアシナガバチの巣を放置すると、巣の中に残ったサナギが羽化し、成虫として出てくる恐れがあります。
また、巣の中に残る栄養豊富な幼虫やサナギを目的に、他の虫が集まることで衛生面も悪化します。
そのため、駆除後のハチの巣はできるだけ早く処分しましょう。
巣を捨てる際は、お住まいの自治体が定めている分別・処分ルールを守ってください。
自分で駆除をするのが不安な方はプロに依頼したほうが安心

ハチの巣を自力で駆除するには不安要素が多くあります。
必要な道具の種類が多く、過不足なくそろえる準備からハードルが高いです。
巣の位置が明確にわかっていないと危険が伴います。
閉鎖空間の土の中や床下、開放空間でも2m以上の高所は駆除の危険度が高いです。
自力駆除に少しでも不安がある場合は、無理をせずプロの駆除業者への依頼を検討してください。
プロであれば多様な経験と専門知識を携えており、状況に応じた適切な駆除ができます。
道具としては業務用の駆除スプレーも活用します。

業務用ハチ駆除用殺虫剤 ハチノックV 480ml|住化エンバイロメンタルサイエンス
ハチノックLおよびハチノックVは、ハチ駆除の現場で使われるプロ仕様の殺虫剤です。
有効成分として、速効性が高いと期待される、d・d-T80-プラレトリンというピレスロイド系薬剤が配合されています。
高い効果が期待できる一方で、知識や防護装備がない状態での使用には健康リスクを伴い、一般利用は推奨されていません。
一般用には、成分や仕様が異なるハチノックSという製品があります。
ただし、この商品は屋外で突然ハチに襲われた緊急時の使用を想定した携帯用スプレーのため、巣の駆除には不向きです。
駆除で使用する薬剤に迷う際も、プロのハチ駆除業者へ依頼を検討してください。
まとめ
- 見た目は全体が赤褐色で、中胸背板と前伸腹節にそれぞれ2本の縦線がある
- 日本産のハチで、国内では本州や四国、九州、対馬島、屋久島、奄美大島などに生息
- 巣はシャワーヘッド型でサナギの繭が鮮やかな淡い黄色~黄緑色
- 巣の場所は開放空間(草木の枝、葉の裏、石垣、建物の軒下、壁の隙間、屋外の倉庫、庭木など)
ヤマトアシナガバチの生態や巣の特徴、駆除方法について解説しました。
希少な種類のアシナガバチですが、住宅での駆除事例も確認されており、遭遇する可能性は十分に考えられます。
巣への刺激によって攻撃されることもあるため、忌避や巣の駆除などの対策が必要です。
自力での駆除に少しでも不安がある場合は、無理をせずプロの無料相談を利用しましょう。
害虫害獣コンシェルジュでは、ヤマトアシナガバチの駆除に関する無料相談を行っています。
「これはヤマトアシナガバチの巣?」「駆除したほうがいい?」といったお悩みにも対応しているので、ぜひ害虫害獣コンシェルジュのお電話やお問い合わせフォームから気軽にご相談ください。
害虫害獣コンシェルジュは、害虫害獣に関する正しい知識を発信し、厳格な品質管理基準をクリアした害虫害獣駆除のプロとのマッチングサービスを提供するサイトです。編集部では「自分でできること」と「プロに任せるべきこと」を明確にし、依頼前の不安解消を目指しています。
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